戦闘力?皆無ですが防御力とトラップには自信があります。

ブラック兄者

イザユケボウケンシャー!

しかしでかい街だ。
昨日のおっさんの話だと商人の数がこれで半分以下って事にまず驚かされる。
 
店に並ぶ品物はどれも高品質、価格もどの店も相場は均一、消費者としては嬉しい限りだ。 

聞けばここに来る商人の半数は北の川を渡りコーハンまで来るらしいが推移の減少でめっきり減ったとのこと。

迂回してやっとたどり着いた商人曰くやはりドラゴンが巣を作っているらしい。

「ドラゴンさんって強いのかなー?」

オレたちは露店を回りつつずっと思っていた事を呟いた。

まぁ単純に大きな川を塞きとめるほどの巣を作るのだからまずサイズ感に圧倒されるだろう。でかいだけでかなり強そうな気さえするしな。

「今の段階だと情報が少なすぎるしなんともわかんねーなー、戦う気は無いが情報は集めておいて損はないだろううよ、ただどこで情報を集めるかなー」

商人たちの話では正直強さや対策なんて全くわからないだろうし参考にはならなさそうだ
かといって自身で調査に行くのはリスクが高い、こう言う時に掲示板とかwiki先生かまあれば即座に情報集められそうなんだが…酒場にたむろってそうな傭兵にでも聞いてみるか?

あれこれ考えながら俺たちは観光がてら街を散策し回った特にこれといって情報が聞き出せそうな場所もなく半端詰み状態だった…

が!

《ギルド 宵の明星》

あーいかにもな奴が出ましたよこれは、間違いなく情報集められそうだ。

「ギルド…ここならいい情報が手に入れそうですね、物は試しに入って見ますか?」

「ああ、そうだなダメだったら出ればいいだけだし。」

ギィ、と言う音を立てて正面の入り口から中に入る
外観から中は大きいと思っていたがその広さは想像を大きく超えていた。ぱっと見はかなり大きめの城だったが中は正面に円形の受付カウンター、その周りは円形の机が大量に置かれた酒場となっていて目を疑ったのが酒場エリアより奥にはカウンターから見て右手には森、正面は湖、左手には草原が広がっている。

オレたちはその光景に驚いているとカウンターの方から一人の女の子が歩いてきた

「ようこそ、ギルド宵の明星へ、今日はどういったご用件でしょうか?」

受付の娘が満面の笑みで話しかけくれた。

「当ギルドは初めてですよね?皆さん初めてここに来た時は同じような反応をされるのですぐにわかりました、ご用件はあちらでお聞きしますので私について来てもらえますか?」

ツンツン

ノノが目をシイタケのように輝かせながらあっち見てきてもいいかと無言で訴える、小さくぴょんぴょん飛び跳ねていてしばらく愛でていたかったがオレは行ってもいいと首を縦に振り受付の娘についていく。

「シート様、ノノ様は私がついていきますのでご心配なく」

「あぁ、頼むよ」  

「では改めまして、ようこそ宵の明星へ本日はどういったご用件でしょうか?」

「オレたちヤマトに行きたいんだが途中に巣を作ったって言うドラゴンについて情報が欲しいんだ、ここにそういった情報は置いてないだろうか?」

「ええ、データはしっかりとありますよ探査クランの方が持ち帰ってきております、あちらのボードに掲載してありますのでそちらをご覧ください。」

どうやら情報自体はあっさり手に入りそうな雰囲気がする、そこでオレはふと気になったこの建物の事について聞いてみることにした。

「ところでこの建物はどうなってるんだ?オレたち田舎から出てきたばっかりでびっくりしちゃったんだ、後ギルドって主に何をするところなんだ?」

「ではご質問に答えさせていただきます。まずはこの建物についてですかが最大レベル近くまでレベルの上がったクランホールになっております。クランマスターがどのような方でも使用できるように一般公開されております。また、多くのクランの方が利用し有志の協力の元まとまった団体、その団体を総じてギルドと呼んでおります。そしてギルドで行う事ですが主に3種類あり、1つ目は情報の交換、2つ目にパーティーの募集3つ目に依頼の発注、受注ができます。当ギルドではそれ以外に後ろに見えるエリアを使用した模擬戦が可能です。もしどれかをされたい時はこちらのカウンターまでおこしください。」

なるほどここへ来ればいろんな情報が集まるのか、今後利用させてもらおう。 それにしてもこれがクランホールか…こんなこととも出来るなんて凄いんだな。

「なるほど、なんとなくわかったよ。またすぐに使わせてもらうよ。」

そう言うとオレは受付の娘に礼を言いその場を離れた。

それにしても、改めて中を見るとすごいな。
あちこちで超大皿に盛られた大量の料理、顔ほどの大きさはあるだろう木製のジョッキ、料理を食い酒を飲みながらどんちゃん騒ぎをあちらこちらでやっている。彼らもオレたちと同じで情報でも探しに来ているのだろうか?物凄い活気でここに居るだけで楽しい気分になれるな、オレ、こういうところ好きだし。

 まっさっき別れたノノ達でも探しますか、せっかくだしここの飯でも食いながら情報でもいろいろ集めたいしな。

ズドーン!!  

森のエリアから爆音が聞こえた。
オレは音がする方を見た。
どうやら巨木が倒れた音だったらしい。
巨木が倒れ、響き渡った轟音が鳴り止むと酒場にいた客が一斉に湧いたのだ!

「嬢ちゃんやっちまえ!いいぞー!」
「燕尾服のにーちゃんもやったらー!!」
「だらしねえな!素人に負けそうって舐めてんのか!?」

怒声が飛び交う、どうやら模擬戦が行われているらしい。
舞い上がる土煙の中から銀髪の小柄の女の子が飛び出し手に持った剣で空を切り裂く、すると剣先から衝撃波が飛び出し前方の障害物を切断した。
ノノだ、戦っているのはノノだった。
今までスピードが制御できていなかったというのに突然どうしたっていうんだ?少し離れたところでカムが交戦していたのだがオレの居る場所がわかってるかのように微笑んだ。
あいつ余裕すぎないか?
ノノは制御(?)できるスピードで森の中を立体的に動き回り隙を見つけては衝撃波で相手を翻弄。カムが怯んだ相手を土の錬金術で固定してサポート兼牽制を担っている。悪くない連携だと思う、あれ?パーティーにオレいらないんじゃね?とか思い始めた頃には試合が終わっていた。

試合が終わっても観客の熱気が凄まじく二人はヒーローインタビューを受けていた。
楽しそうに話していたノノだったがオレを見つけたらしく笑顔で俺の事を呼ぶ。
「ししょー!こっちですよー!」

ざわめくギャラリーあちこちで(あいつ、あの娘より強いのか!?)(師匠って事はあいつも相当やばいんじゃねーのか?)ヒソヒソとそんな言葉があちこちから聞こえる。

やめてくれー!オレはあんたらが思ってるほど強くねーぞ!内心オレの心の中にいるもう一人のオレが頭を抱えながら叫ぶのだった。

「私、一度もししょーに勝った事ないんですよー」

少し恥ずかしそうに頭に手を置きながら呟くノノ、周りの目が一斉にこっちを向く、そりゃそうだろうあれだけ派手に暴れまわって強さを見せたんだ、こういう反応になるよな、普通。
オレもそうするし。

「シート様がお強いのは当たり前のことです、我ら二人のクランのマスターなのですから。」

カムの発言によりこちらを向いていた視線に熱を感じるようになった、どうやらここにいる大体の奴はオレの戦闘力に興味深々らしい。

(おい、誰かあいつに勝負仕掛けてみろよ)
(今戦ってたやつより強いかもしれないんだろ?勝てるわけねーよ俺みたいな一般人にはよぉ…)

「ちょーとおーしてくれねーかー?」

オレに興味はある野郎どもをかき分け1組の男女のグループがオレの前までやってきた。

「そこのにーさんや、あんたさえ良ければいっちょ俺と1対1で手合わせ願えないか?あんたにちょっと興味がわいてなー、ボウケンシャーとしてその興味そそるものに手を出さざるを得ないんだ、頼めないだろうか?」

えっ?マジで?何事もなく自体は収束されると思ってたのに戦闘挑まれちゃったんだけどぉ!2人のメンツもあるし断るわけには行けないんだよな…

「おっと手合わせ頼んどいて自己紹介がまだだったな、オレはバーツ、ボウケンシャーをやってるもんだ、こっちはアニア、ボウケンシャーだ。」
「…よろしく」
「ああ、よろしく。オレはシートさっき戦ってた2人のクランのマスターをやってる。バーツオレはお前の挑戦受けようと思う、よろしく頼むぜ?」

正直なところあまり乗り気ではないが挑まれた挑戦は受けるしかないよな…しかし、こいつらがさっきから言っているボウケンシャーって何だ?ただの冒険者とは違うのだろうか?それについてオレもこいつらに興味がわいた。

「ありがとう、早速で悪いけどフィールドはどうする?挑戦を受けてくれたあんたに選んで欲しいんだが」

バーツはそう提案をしてきた、もちろんオレが選ぶステージは…

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