魔剣による(※7度目の)英雄伝説

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第1章『最強の魔剣』編 11話「お久しぶりです」


 契約をした後、リーシャは気になっている事を聞いた。
 
「……あのリュート?」
 
「何でしょうか?リーシャさん」
 
「クロさん以外の子ってどうしたの?」
 
 先ほど、契約を交わしたあたりからクロ以外の人がいなくなってしまっていた。
 
「あぁ、これは今のリーシャさんの魔力量ではクロしか現界出来ないからです」
 
「現界?」
 
「はい。まぁ、私の中に戻ったという言い方が正しいですね」
 
「「…………」」
 
「?」
 
 またもや変な雰囲気が流れる。
 
「も、もしかして……」
 
 震える声でリーシャが言う。
 
「ここにいた皆さんって、全員魔剣なの?」
 
「そうですよ?」
 
「「先に言ってよ(ください)!!」」
 
 ようやくツッコめるようになった二人であった。
 
 



 
 その後、リーシャは魔聖剣についてリュートから詳しい事を聞いていた。魔聖剣が力を発揮できるのは、あくまで主の魔力の範囲だと言う。裏技で魔聖剣自体が無理やり力を行使して主に力を渡すこともできるが、リスクが生じるのでなるべく使いたくないらしい。リーシャはそのようないくつかの注意を聞いて、脳に叩き込んでいた。
 
「………と言うことです。まぁ、私からも注意はしますので、覚えなくてもいいと思いますが……」
 
「ううん、私が覚えたいから」
 
「……真面目ですね、リーシャさん」
 
「べ、別にそんなんじゃないわよ……。それと、その『リーシャさん』って言うのやめてくれる?」
 
「これは申し訳ありませんでした。リーシャ様……。以後気をつけます」
 
「違うわよっ!なんで堅苦しくなってんのよ!」
 
「違うのですか?では、どうしたら…」
 
「呼び捨てでいいわよっ!」
 
「……分かりました、リーシャ」
 
 なんとも仲良さげである。
 
「それでいいわ。それと、敬語もなしでいいわよ?」
 
「すみません。これはそういう性分なもので…」
 
「そういえばリュートって、誰に対してもその口調だもんね。ならいいわ」
 
「ありがとうございます」
 
「……リーシャ様?そろそろ、帰らないと……」
 
「あ、そうね。リュート、それじゃあ、学園に戻るわよ」
 
「【ルーズベルト魔法学園】にですね。分かりました。クロ、行けますか?」
 
「はい。大丈夫です」
 
「では……【空間転移】」
 
 そう言うと、リュートたちの目の前の空間に裂け目が入り開かれた。
 
「では行きましょうか」
 
「はい」
 
「………」
 
「………ねぇ、リュート?」
 
「何でしょうか、リーシャ」
 
「コレ何?」
 
「空間魔法の一種です。自分が過去行った場所のみではありますが、このように空間を繋げることができます」
 
「「………はぁ」」
 
「??」
 
 もう驚くことに疲れてしまったリーシャとレイであった。
 
 



 
「……着きましたね」
 
「えぇ、思ったより早く着いて良かったわ」
 
 【ルーズベルト魔法学園】は【ロイズテイル】の中で唯一の魔法学園である。そのため、試験なども難しく全員がエリートの道を進むことができる。貴族だから、という理由も一切聞き入れていない、完全実力主義の学園だ。一学年300人で一クラス30人、計10クラス体制である。そして、この学園では月に一度各学年ランキングトップ10の生徒によるトーナメントが行われる。ランキングは日々の決闘デュエルによるポイントによって決まる。これは、お互いが承諾さえすれば生徒だけでも行うことができる。さらに10月のトーナメント成績トップ5の生徒たちは国別の世界対抗大会【ベレスフォード】への出場権を得ることが出来る。
 
「それじゃあ、行きましょうか」
 
「分かりました」
 
 そう言って四人は学園の中に入っていった。
 
 



 
「……着いたわね」
 
「はい」
 
 四人は現在校長室と書かれた立札が掛かっている部屋の前に来ている。と言うのも、リーシャとレイが学校をさぼった件に付いて話があるそうだ。そこでリュートの事も認めて貰おうとしている。彼らは特殊過ぎてそのまま話したら、とてつもない混乱が訪れるだろう。だからこそ、校長にリュートのことを打ち明け、協力してもらおうとしているのだ。
 
「協力してくれるでしょうか?」
 
「そればかりは分からないわね。結構な堅物な方ですし…」
 
 この二人が言っているようにここの学園長は頭が硬いとよく言われている。リーシャは仕事の腕はいいのだが、なにぶん深く考えすぎているのでは、と感じていた。とはいえ、
 
「もし、そうだとしても私のことを隠すのであれば通らなくてはならない道です」
 
「……そうですね。では、行きましょうか」
 
 コンコン、扉をノックする。
 
「入りなさい」
 
 と、女性の声がする。
 
「………あの、ご主人様?この声ってどこかで聞いたことがありませんか?」
 
「クロもですか?私もです。大人びてはいますが、昔どこかで……」
 
「失礼します」
 
「失礼いたします」
 
 と四人が中に入ると、中には一人の女性が座っていた。髪はロングで薄い金色。目は深い海のような青い色。メガネをかけており、美人ではあるのだが少しキツイ感じがしている。何より特徴的なのはその少し長い耳。
 
「(エルフ族?いえ、この雰囲気はハーフエルフですかね…)」
 
 ハーフエルフとは文字通り、人族とエルフ族の間に生まれる者である。エルフ族は魔法の適正値が人族よりも高く、他の種族と比べてもその差は歴然としている。そのかわり身体能力が低いのが特徴である。そして、ハーフエルフとは人間よりのエルフ族という認識で身体能力もそれなりに高く、魔法も純粋なエルフ族よりは劣るがそれでも、相当の物がある。
 
「(【ロイズテイル】では他の種族の在住が認められているのでしたね)」
 
 この国は世界でも数少ない種族平等主義の国である。そのため、奴隷も許されていない(貴族はいるが…)。そしてリュートは改めて目の前の女性を見る。
 
「(……やはり何処かで…?)」
 
 一人思い浮かんだ人がいたがその人とは全く雰囲気が違ったので、その可能性はないとしていた。すると、女性がリュートたちに気づいたようで、
 
「?……そちらの方たちはどちらさ……ま………?………って、えぇっ!?!?!?」
 
「「へ?」」

 急に校長が驚いたような声を上げ、目を大きく開き口に手を当てる。そして………
 
「……………リュート様……ですか?」
 
「「へ??」」
 
 リーシャとレイは普段からは想像も出来ないようなか細い声を出した学園長を見る。なぜか、若干目が潤んでいた。
 
「はい。……もしかしてあなたは、ラナですか?」
 
「っ!!はい!そうです!!覚えててくださったのですね!リュート様!!」
 
 先ほどまでの雰囲気が吹き飛び、恋する少女のような雰囲気になった学園長を二人は見る。
 
「お久しぶりです、ラナ。お元気でしたか?」
 
「は、はい!この通り!!」
 
「それはなによりです」
 
「あっ……」
 
 そう言って、優しい笑みを浮かべるリュート。その笑顔をみたラナは耳まで真っ赤にさせる。
 
「??どうかしましたか?」
 
「い、いえ!!大丈夫ですからっ!!」
 
 顔を赤くしながら慌てて離れるラナ。そこに、
 
「相変わらずですね。ラナ?」
 
「えっ!あ、クロ様も!!お久しぶりです!」
 
「はい」
 
「そ、そうだ!あ、あのそこへお座りになっていてください。私はお茶を入れてきますので…」
 
「手伝いますよ?」
 
 クロがそう言うと、
 
「い、いえ!!大丈夫ですから!!リュート様とクロ様はお座りになっていてください!!……………あ」
 
「「……………」」
 
 お茶を準備しようとしに行く途中でリーシャとレイと目があってしまう。完全に二人を忘れていたラナは、恥ずかしそうに……
 
「………あなた達もそこに座っていなさい……」
 
 と言った。
 
「は、はい」
 
「…失礼します」
 
 と二人は若干申し訳なさそうにしながら座るのだった。
 
 



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