魔剣による(※7度目の)英雄伝説

D_9

第1章『最強の魔剣』編 9話「驚愕の事実、判明」


 少年の優しい微笑みにノックアウトされた女性陣が回復したあと、彼らはリビングへ向かっていた。
 
「クロ、夕食は出来ていますか?」
 
「はい。用意できています」
 
「それでは、夕食にしましょうか」
 
「ようやくか!お腹ペコペコじゃ!主様、早く行くぞ!」
 
 イザナミがそう言って、少年の腕に抱きつく。
 
「むっ!あっ!ねぇ、主!今日は私が狩ってきた魔物も食べようよ!」
 
 そう言ってヘスティアも彼の腕にくっつく。
 
「そうですね……。何を狩ってきたんですか?」
 
「ふっふっふ。実はね……プレシャスドラゴンがいたんだよ!!」
 
「それはまた、珍しい魔物がいましたね。確かにそれなら早めに食べたほうがいいですね。クロ、追加してもよろしいですか?」
 
 クロに向かって少年が聞く。
 
「………ズルイです。なんで、あの二人がご主人様の隣にいるんですか……ようやくご主人様にくっつけると思ったのに……」
 
 クロは何かをブツブツと言っている。心配そうに少年が聞いた。
 
「クロ?どうかしましたか?」
 
「へ?………あ、はい大丈夫です。すぐに準備しますね」
 
 すぐに笑顔を浮かべてクロはそう言った。それに対して少年は、
 
「よろしくお願いします、クロ。……いつも美味しい食事をありがとうございます」
 
「あっ……」
 
 そう言って、クロの頭を撫でる。ネコ耳と尻尾がピンッと立って、すぐにフニャフニャになる。
 
「〜っ❤〜〜〜❤〜〜〜〜っ❤」
 
 ………一瞬でデレデレになった。

「むぅ……主!早く行くわよっ!」
 
「主様〜!腹が減ったのじゃ〜!」 
 
 と二人が手をとって、行ってしまう。クロは少し不機嫌そうにするが、頭を撫でられたことを思い出し、すぐに機嫌を取り戻す。
 
「……はぁ、相変わらずだな」
 
 と、インドラがため息をつく。
 
「相変わらずですね〜。でも、インドラもナデナデされたいんじゃないですか〜〜?」
 
 とテラス。
 
「なっ!!」
 
「まぁ、そうでしょうね。インドラって、結構むっつりですし…」
 
 とサラス。
 
「なっ!!!」
 
「ねぇ?アネモイ?」
 
「ふぇ!?わ、私ですか!?……あ、あの別にいけないわけではないと思うので……。わ、私もいいなぁって思いますし…」
 
「べ、別にいい!!」
 
「「え〜〜」」
 
 サラスとテラスがニヤニヤしながら、インドラをからかっている。その真ん中でアネモイがワタワタしている。リーシャとレイはそんな光景を見て……
 
「……なんか、さっきから想像してたのと違うのだけど……」
 
「……そうですね。なんか、今の今まで流されちゃってましたけど。しっかり、目的を果たさないといけません」
 
「えぇ、そうね」
 
 次の夕食のときに聞こうと、決意を固める二人であった。
 
 



 
「食事の前に自己紹介をしておいたほうがいいですかね?」
 
「そうですね〜。一応しておいたほうがいいかと〜」
 
 リビングに着き、クロがすぐに準備をすませた。全員がテーブルに着くと、少年がそう切り出した。
 
「じゃあ、まずはあたしからね!」
 
 赤髪ショートの少女が元気よく言う。
 
「私はヘスティア!よろしくね。えっと………リーシャとレイだっけ?」
 
「はい。よろしくお願いします」
 
「よろしくお願いいたします」
 
「次は私ですね」
 
 青い髪をハーフアップにした女性が立ち上がる。

「私はサラスヴァティと申します。サラスと呼んでください」
 
 そう言って微笑む。ヘスティアが可愛い女の子と言う感じなら、サラスは綺麗な女性と言った感じだ。
 
「つ、次は私ですね」
 
 と緊張しているのか、若干声が裏返ってしまっている。そして、緑の髪のボブカットが立つ。
 
「え、えっと!は、はじめまして!わ、私は、あ、アネモイって言います!よ、よろしくお願いします!!」
 
 と勢い良く頭を下げる。
 
「それでは、最後は私ですね」
 
 と、黒髪黒瞳の少年が立ち上がる。
 
「私はリュートと申します。以後、お見知りおきを…」
 
 と、胸に手を当てきれいに頭を下げる。その姿に、
 
「ハァ…❤」
 
 と、クロがうっとりしていたのは言うまでもないだろう。
 
 



 
「……なるほど、【ロイズテイル】の王女様でしたか」
 
「そっかー。……あ!じゃあ、一応敬語使ったほうがいいの?」
 
「いえ、今まで通りで大丈夫ですよ。私もそちらのほうが嬉しいですので」
 
「そっか!じゃあさ……」
 
 自己紹介の後はすぐに食事に移った。色とりどりな食事はリーシャやレイからしても、レベルの高いものだった。そして、食事も終盤に迎えた頃……
 
「……あの」
 
 リーシャが切り出す。
 
「なんでしょうか?リーシャさん」
 
 リュートが返事をする。そして、リーシャが本題を切り出す。
 
「……私達がここへ来たのは、ある目的があったからです」
 
「目的というのは?」
 
「……はい。実はこの辺りに伝わる伝説の魔剣を求めて私たちは来ました」
 
「伝説の魔剣?」
 
「はい。それを求めてこの辺りに来ていたのです……私たちはここの扉の向こうにある洞窟でそこにいるイザナミさんと戦ってここに連れてきて頂いたのです」
 
「なるほど……」
 
 それを聞いているイザナミが何故かニヤニヤしているが、それに気づかずリーシャは続ける。
 
「ですので……。どうか、魔剣を譲っていただけないでしょうか?」
 
「?譲る?」
 
「はい。そうです」
 
「ですが、リーシャさんたちはイザナミを認めさせたのですよね?」
 
「はい、そうですが……」
 
「彼女が認めた、と言うならば私は何も言いません」
 
「!それじゃあ!」
 
「はい。では、改めてよろしくお願いします。リーシャさん」
 
「?は、はい。……それで、あの……魔剣はどこに?」
 
「?目の前にいるでしょう?」
 
「へ?」
 
「?」
 
「「……………………」」
 
 見るとイザナミが腹を抑えて、笑うのを我慢しようとしている。
 
「………あ、あの。リュートさん?」
 
「はい?なんでしょうか?」
 
「ここには、魔剣があるんですよね?」
 
「はい。いますよ」
 
「それを譲ってほしいのですが…」
 
「えぇ、わかりました。よろしくお願いします」
 
「……………」

「……………」 

 なんとも噛み合っていない会話である。
 
「……イザナミ」
 
 リュートは床に四つん這いになって笑いを必死に耐えようとしているイザナミに声をかける。
 
「はぁ、はぁ……な、なんじゃ。主様」
  
 笑いながらもなんとか返事をする。
 
「あなたはまさか、何も説明していないのですか?」
 
「ぷっ、くくくくっ!す、すまん。そっちの方が面白そうじゃと思って……くくくっ!」
 
「…………」
 
 リュートは、イザナミを見ながら一つため息をつく。すると、イザナミの頭がいきなり掴まれた。さっきまで爆笑していたイザナミがピタッと止まる。……かと思ったらガタガタと震え始める。その正体は……
 
「イザナミさん?」
 
 もちろん、クロである。
 
「あなたは何度ご主人様にご迷惑を掛ければ気が済むのでしょうか?」
 
「い、いや!でも、楽しめたじゃろって痛い痛い痛い痛い!!!!」
 
 懲りないイザナミである。思わず、全員がため息をつく。そして、
 
「…クロ。そのぐらいにしてあげてください」
 
「!……ご主人様がお優しいことは存じていますが、ここは一度締めるべきだと思います」
 
「私のためにありがとうございます。ですが、そろそろやめてあげてください。意識が飛びそうになっています」
 
「ですが………」
 
「それに……私も確認せずに質問をしてしまったので、私にも非はあります」
 
「そ、そんなことはありません!!ご主人様が悪いことなど!!すべて、この馬鹿が悪いのです!!!」
 
「(これは説得に時間が掛かりそうですね…)」
 
 そう考えたリュートは最終手段をとる。
 
「だいたい、この馬鹿は……」
 
「クロ」
 
「はい。何でしょう……………っっ!?!?!?!?」
 
 突然、リュートがクロを自分の胸に抱き寄せる。
 
「ふえぇぇぇぇぇっ!?!?!?!」
 
 クロが顔を真っ赤にして、さらにネコ耳と尻尾がピンッとこれでもか!と言うくらいにたつ。
 
「はわわわわわわわ!?!?!?!」
 
 さらに優しく頭を撫でる。これはクロが暴走したときにリュートがよく使う手である。昔、彼女が階段で踏み外して落ちそうになったところを彼が抱きかかえて助けたのだ。すると、どうしたことかクロが大人しくなって固まってしまっていたのだ(リュート視点)。もちろん、そのときも顔を真っ赤にして、頭がショートしてしまっていたのだが……。それ以来、彼は何故だか分からないが、彼がクロを抱きしめるとおとなしくなる、という認識をしている。………なんとも、罪づくりな男である。それをしばらく続けていると………
 
「プシュ〜〜〜〜〜〜」
 
 ふにゃあ、とクロの体から力が抜けてしまう。どうやら、限界を迎えてしまったようだ。目がハートになってしまっている。
 
「にゃあ〜〜❤ご主人様〜〜❤❤」
 
「すみません、インドラ。彼女を頼めますか?」
 
「…………はぁ、相変わらずね」
 
「何がですか?」
 
「…………」
 
 恐ろしいほどの鈍感男である。そして、インドラが何とかクロを起こそうと四苦八苦している中……
 
「申し訳ありません。時間が掛かってしまいました」
 
「…………」
 
「リーシャさん?」
 
「へ?あ、あぁ大丈夫ですよ」
 
「そうですか………。まずは、こちらの手違いでご迷惑をかけたこと、深くお詫びします。申し訳ありませんでした」
 
「わしもすまんかったのじゃ」
 
 そう言って二人が頭を下げる。
 
「いえ!頭をあげてください!私たちは大丈夫ですから……。ねぇ、レイ?」
 
「はい。ですから、頭をお上げになってください」
 
「ありがとうございます。ご配慮、感謝いたします」
 
 そう言って、もう一度頭を下げる。そして、

「それでは、もう一度自己紹介をさせて頂いたほうがおそらく早いですね」
 
「「?」」

 二人は頭にクエスチョンマークを浮かべる。そして、リュートが言った言葉は二人の予想を遥かに超えるものであった。
 
「改めまして……私は魔剣、【絶剣】アブソリュートと申します。……リュートとお呼びください」
 
 



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