魔剣による(※7度目の)英雄伝説

D_9

第1章『最強の魔剣』編 4話「見えない?」


「さてと………じゃあ、行きましょうか。レイ、大丈夫?」
 
「はい。問題ありません」
 
 リーシャとレイは炎獅子との戦闘後、体と魔力を回復させるためにしばしの休息をとっていた。これまで、1回の休息もなしにここまで来た2人である。それを考えると、あの炎獅子はやはり強力な敵だったのであろう。
 
「よし。それじゃあ…………えっ」
 
 リーシャが【気配察知】を発動させると、突然驚いたように声を上げた。
 
「リーシャ様?」
 
 不思議に思ったレイは声をかけてみる。しかし、
 
「これは?さっきは………はず……もしかして、……いやでも……」
 
 リーシャはこのように1人でブツブツと言っている。試しにレイも【気配察知】を使ってみるが、
 
「(特に異常はありませんね…)」
 
 レイの【気配察知】には特に不審な点は見つからなかった。しかし今もなお、ブツブツと1人の世界に入り込んでいるリーシャ。少し、心配になったので声をかけようとすると…
 
「あの……」
 
「よし!じゃあ、行ってみようかな?」
 
「へ?」
 
 いきなり顔を上げたと思ったら、何処かへ行ってしまう。
 
「リ、リーシャ様!?」
 
 すぐにレイも追いかける。
 
「(いきなりどうしたのでしょうか?何かの精神魔法をくらった?いえ、そんな素振りは見られませんでした。でしたら、一体何が………)」
 
 レイは冷静に状況を確認しようとするが、今はそれよりもリーシャを追いかけるほうが先決だと割り切り、自分の主を追いかける。
 
「お待ちください!リーシャ様!!」
 
 


〜リーシャside〜
「よし、それじゃあ…」
 
 レイも回復したので探索を再開しようと思い、私は【気配察知】を発動させる。すると、
 
「………えっ」
 
 私の【気配察知】にある不思議な空間が感知された。魔力の塊のような空間。しかも、そこそこ大きい。これだけの空間なら、もっと前から気づいてたはずなのに……
 
「リーシャ様?」
 
「(どういうこと?確かにこんな物さっきはなかった。じゃあ、私達が休息を取っている間に出来たのかしら?)」
 
「これは?さっきは………はず……もしかして、……いやでも……」
 
「(ここに来たときにこんな物確かになかった。ってことは何かに反応して発生した?何かって?そんなの1つしかない………炎獅子を倒したこと……それによって、この空間が現れた?でも、どうしてそんな事で?)」

 様々な可能性が私の頭の中に浮かび上がるが、どれも決定的な証拠に欠けている。
 
「(考えてても仕方ないか……)」
 
 そう割り切ることにした私は、
 
「よし!じゃあ、行ってみよう
かな?」
 
 そういって、謎の空間へと歩いていった。
 




 
 そこはさっきの場所からそう遠くなかったのですぐにつくことができた。そして、そこで私が見たのは…
 
「…………」
 
「あ、あのリーシャ様?なぜこのような所に?」
 
「見つけた……」
 
 そしてそのまま、目の前にある洞窟に足を踏み入れる。
 
「あ、あのリーシャ様?何を……っ!?!?」
 
 



 
 私は目の前にある洞窟に足を踏み入れる。一目見ただけで分かった。ここには、不思議な魔力が漂っていることに。圧倒的なまでに質の濃い魔力、にも関わらず何故か優しい気持ちになる。どうしてだろう?
 
「………」
 
 中は松明が置かれており、思っていたよりも明るかった。松明と魔力以外は特に変わったことはない、普通の洞窟だった。
 
「レイ、行くわよ」
 
 いつも通り声をかけるが、返事がない。
 
「レイ?」
 
 そういえば、さっき何か言っていたような気が……
 
「あれ?」
 
 そこにはレイがいなかった。
 
「まだ外にいるのかしら?」
 
 そう言いながら、私は一度外に出た。すると、レイが何やら考えごとをしているように立っていた。私に気づいてすらいない。
 
「(レイが私に気づかないなんて……)」
 
 不思議に思った私は、すぐにレイに話しかけようとレイに近づく。すると、

「きゃあ!?!?」
 
「えっ!?」
 
 突然レイが驚いたように、可愛らしい悲鳴を上げた。レイがこんな声を上げるなんて、余程考え事に集中していたのだろうか?
 
「リ、リーシャ様!?いったい、どこへ行っていたんですか!?心配したんですよ!!」
 
「え?えっと、ごめん?」
 
「なんで、疑問系なんですか!!」
 
「ご、ごめんなさい。でも、私は普通にこの洞窟に入ってただけで……」
 
「洞窟?なんのことですか?」
 
「え?いや、だからここ」
 
 そう言って、私は洞窟を指差す。
 
「………」
 
 レイは少しの間、不思議そうな顔をする。そして、
 
「あの、リーシャ様」
 
「な、なに?」
 
「リーシャ様にはそこに洞窟が見えるのですね?」
 
 レイがさっき私が指を指した洞窟の方向を指差しながらそう聞いてくる。
 
「え、えぇそうよ」

 レイの言い方に違和感を感じたが、とりあえず頭の隅にやる。
 
「………」
 
 レイはまた、考え事をしているようだ。しかし、すぐに顔を上げ
 
「……リーシャ様。私にはリーシャ様の言っている洞窟が見えないのです」
 
「へ?ど、どういうこと?」
 
「先ほどリーシャ様がその洞窟に入ったと思われる瞬間。私には………リーシャ様が消えたように見えました」
 
「え!?」 
 


〜レイside〜
「見つけた……」
 
 リーシャ様が突然そんなことを言う。
 
「(見つけた?このお墓を?)」
 
 私の目の前には一つの墓碑があった。見た感じ相当古そうな感じだ。リーシャ様には他の目的があったのだろうか?そう思っている内にリーシャ様が歩き始めてしまう。
 
「あ、あのリーシャ様?何を……っ!?!?」
 
 何をするのですか?そう聞こうとしたが、次の瞬間………リーシャ様が消えた。
 
 私は目を疑った。もちろん、魔法ならば姿を隠すのは簡単だ。しかし、それには魔力兆候が見られる。ところが、今目の前で起こった現象には魔力兆候が一切感じられなかった。
 
「リーシャ様!?」
 
 すぐに墓碑に近づき、名前を呼ぶが何の反応もない。
 
「(どういう事?今のは魔法じゃなかったの?じゃあ、何?それとも、私の知らない魔法?魔力兆候が一切感じられない?こんな近くで?ありえない。だったら…)」
 
 レイはなんとか冷静に考える。
 
「(もうすでに魔法に掛かっていた?いつ?……炎獅子との戦いの後の休息のとき……あの時からリーシャ様もご様子がおかしかった。だとしたらあの時しかない…でも、リーシャ様が簡単に魔法に掛かるでしょうか?しかも私には効いていない。私には使わなかった?それとも、私が魔法に掛かっている?……)」
 
 私は必死に考えるが、
 
「(分からない……)」

 どれも証拠のない推理ばかり。こうなったら、リーシャ様に聞くしか…そう思っていた矢先、リーシャ様が突然目の前に現れた。
 
 



  
「……これが先ほど私が考えていたことです」
 
「なるほど……でも、なんで私には見えてレイには見えないのかしら?」
 
「……分かりません。現在、可能性としてはあの炎獅子を倒した人間にしか探知することができない……いえ、もしかしたらもっと根本的な問題なのかもしれませんね」
 
「根本的?」
 
「……いえ、なんでもありません。忘れてください」
 
「そっか。ちなみにそのお墓にはなんて書いてあるのか分かる?」
 
「だいぶ汚れているのできれいにしないと……あと、それなりに昔の物だ何なので掘られている文字が残っているかが問題ですね。とりあえず……【水流ウォーター】」
 
 レイが魔法で墓碑を洗い流す。ある程度きれいになったので、墓碑を観察してみる。すると、
 
「……文字が掘られてありますね。……っ!?これは……」
 
「どうしたの?」
 
「……リーシャ様。ここに掘られているのは、『リレン語』です」
 
「え!?それって、確か200年以上前に使われていたっていう言語じゃ…」
 
「その通りです。こんな物があったなんて…」
 
「なんて書いてあるか読める?」
 
「もちろんです。リーシャ様の侍女ですから」
 
 そう言って、レイは微笑む。何を隠そう、レイは学年で全教科総合、各教科全てで1位の頭脳を持っている。元々頭の回転は早いが、それ以上に彼女が侍女は主人の質問にいついかなる時でも、どのようなものでも答えられるようにする、というポリシーを持っており、知識欲が半端ではないため、過去に使われていた言語なども伝承されているものならばほとんど使える(いや、やりすぎじゃね?……なんて思うが、「当然のことです」と返される。そもそも、それってほんとうに侍女の仕事?なんて思うが彼女からすれば、それも当然のことだそうだ)。
 
「そ、そうね。それじゃあ、よろしく」
 
 若干引きながらも、レイに言う。
 
「畏まりました」
 
 そう言って、レイは解読していく。すると、

「字が潰れてしまっていますね。なんとか読めるとこだけでも…………っ!?これって!?!?」
 
 レイの表情に突然、驚愕が訪れる。
 
「なんて書いてあったの!?」
 
 リーシャが問う。すると、レイの口から驚きの言葉が告げられる。
 
 




「……『風の勇者、ここに眠る』……」
 
 
 



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