魔剣による(※7度目の)英雄伝説
第1章『最強の魔剣』編 1話「魔剣を求めて…」
─西暦4800年─
─【クロスフィア】─
それは剣と魔法の世界。科学は存在せず、人々の生活の基盤は魔法であり、生活水準は現在の地球と比べても遜色ないものであった。
この世界は主に5つの大陸に分かれている。東の大陸【日ノ国】、西の大陸【パシフィス】、北の大陸【メガラニア】、南の大陸【ミヨイ】、それらの中央に【レムリア】大陸である。
さらにこの世界には人族の他にも獣人族、エルフ族、魚人族、魔族、動物、魔物、精霊なども存在する。
そして、西の大陸【パシフィス】の国の一つ【ロイズテイル】の国境付近にある国立魔法学園【ルーズベルト学園】(ここでは、国境とは人が暮らす国内と魔物などがいる国外の境目のこと。この学園の後ろ側には魔物の森と呼ばれる場所が広がっている)。
ここは冒険者育成のための機関で、国中の若者が集まっている。冒険者というのは、『ギルド』に所属し魔物などを討伐したり、護衛をしたり、『ギルド』に依頼された任務を達成し、それを仕事としている人たちのことである。
そして、ここの学生が学ぶのは主に3つ。1つ目は普通の勉学。これはどの世界でも共通して必要なものである。2つ目は武術。剣や槍、弓、体術など、様々戦闘技術を学ぶことができる。そして最後は、『魔法』である。
一口に魔法と言っても、その種類は膨大な数があり、普通は属性でわけられている。主には火・水・雷・風・氷の5つの属性があり、それに加えて光・闇・無の3つの属性があるが、光属性は主には補助魔法や回復魔法が多く、闇属性に関しては使い手がほとんどいないため、伝説的な存在とされている。無属性は身体強化など、属性を必要としない魔法の種類である。
魔法には属性ごとに1〜10までレベルがあり、属性レベルと呼ばれている。属性レベルが高いほど強力な魔法を発動できる。例えば、属性レベル1の魔法使いと属性レベル10の魔法使いでは、料理に使える程度と世界を破滅に導ける程度という絶対的な差が存在する。しかも、属性レベル8以上になった魔法使いは自分で魔法を創れるのである。魔法は詠唱により発動するが、無詠唱という技術もあり、優れた使い手である証拠でもある。
さて、そんな【ルーズベルト学園】の魔物の森につながっている扉の前には一人の少女が目を閉じて立っていた。金髪でセミロングくらいに揃えており、身長は160後半はないように思える。胸は普通サイズ。顔は綺麗というよりは可愛いというべきだろう。それでも、彼女が美少女であることには違いない。
今の時間はお昼を少し過ぎたぐらいで、学生は普通ならば勉学に励んでいる時間である。にも関わらず、この少女は授業に出ようとせず、さらには学園の許可なく国外に出ようとしている。授業の演習などで国外に集団で出ることはあるが、一人でなど普通はありえない話だ。ところがこの少女、これが初めての犯行(?)ではないのである。今までにも何度も、こうして無許可で国外に出ている。……ある目的のために……
そして少女は覚悟を決めたように目を開く。その目は碧眼で透き通っていた。しかし、その中にも強い意思を感じることができる。その扉に手をかけようとして……………
「お待ちください。リーシャ様」
突然後ろからそんな声が聞こえた。その声は綺麗ではあるがどこか怒気を含んでいるようにも聞こえる。少女にはその声が誰のものであるか、顔を見ずとも分かっていた。
「・・・なにかしら、レイ。今は授業中のはずだけれど・・・」
「それはリーシャ様も同じです。・・・そんなことより、またお一人でいかれるのですか?」
リーシャと呼ばれた少女が振り向くと、そこには綺麗な白髪ショートの可愛らしい女子生徒が立っていた。身長は160cmぐらいだろう。やや貧乳ではあるが、とても細見でモデルでもやっているのでは?と思わせる容姿だ。いつものクールな表情ではあるが、少しの怒りを込めた表情になっているのが分かる。
「その通りよ。何か問題ある?」
確かにリーシャは、学年魔法ランキングトップの成績を持つほどの実力者であり、普通の実習程度では怪我などしないだろう。
しかし、レイはこれからリーシャが行く場所を知っている。だからこそ、彼女を引き留めようとしているのだ。
「問題しかありません。授業をサボってダンジョンに行く、ということ自体が問題です。さらに言えば、あなたはこの国の王女なのですよ。もう少し、行動はわきまえてください」
そう。レイが言ったようにリーシャは【ロイズテイル】の第二王女で、リーシャ・アルテウスと言う。レイがそう言うと、リーシャは
「私が王女だから、行ってほしくないの?」
「ふざけないでください」
レイは先程よりも怒気を含めた声でそう言った。
「リーシャ様は私がそのような事を気にして、心配しているとお思いなのですか?」
「・・・冗談よ。分かってるわ。あなたがどれだけわたしのことを思ってくれているか。だって、あなたは私の侍女であり・・・私の一番の親友ですから」
レイはリーシャに仕える侍女である。そして、レイは基本的にリーシャを中心にして物事を考えている。たとえ自分が嫌われても…たとえ自分が命を落とすことになっても、リーシャだけは守ると決めている。それには、理由があるのだがそれはまたの機会に話すことにしよう。
「でしたら・・・」
「でも駄目なの。私は諦めるわけにはいかない。それは、あなたも分かっているでしょう?」
そう。レイには何故リーシャが頑なに国外へ行こうとしているのか。その理由を知っており、その気持ちは十二分に分かってしまうため、あまり強くは言えないのだ。すると、レイは少し考えるような仕草をして………………ため息をついた。
「・・・はぁ。分かりました」
「そう。じゃあ、・・・」
リーシャはさよなら、と言おうとしたが、思いがけないレイの言葉によって遮られる。
「では、私もご一緒いたします。私はあなたの侍女ですから。それでは行きましょう」
などと言った。
「・・・え!?だ、駄目よ!そんな危ないこと!!」
「ソレをお一人で何回もやっているあなたに言われても何の説得力も感じませんね」
「うっ!で、でも・・」
「説得しようとしても無駄ですよ。それはリーシャ様もわかっていらっしゃいますよね?」
とニッコリと言われてしまう。結局自分は彼女には勝てないのだなぁ、などと思いながら、
「・・・後悔しても知らないからね」
「大丈夫です。こう見えて、学年ランキングは4位ですから。足手まといにはなりませんよ」
この2人は平然とこんな話をしているが、学園側からしたらたまったもんじゃない。学園の学年ランキング1位と4位という最強戦力の2人が勝手に森へ行こうというのだから。とはいえ、ここにはこの2人以外は誰もおらず、この2人を止めるものは誰もいなかった(誰かがいたとしても止められるかどうかは別問題だろう)。
「それで今回はどこのダンジョンへ行くのですか?」
「この間、昔の文献を調べていたら少し気になる場所を見つけたの」
「気になる?」
「えぇ、どうやらそこには結界が張っているらしくて、普通の人では認知することもできないらしいの」
「可能性としてはどの程度なのでしょう?」
「・・・分からないわ。可能性の話をしだしたらキリが無くなっちゃうし。少しでも気になるところがあれば、行ってみるしかないってことね」
「・・・そうですね。それでは、行きましょうか」
「えぇ、なんとか夕方までには帰って来たいのだけれど・・・」
そんな緊張感の無い言葉とともに2人は、森へと進み始めた。
(・・・【最強の魔剣】。絶対に手に入れてみせる)
静かな闘志を燃やして…
To be contiune.
─【クロスフィア】─
それは剣と魔法の世界。科学は存在せず、人々の生活の基盤は魔法であり、生活水準は現在の地球と比べても遜色ないものであった。
この世界は主に5つの大陸に分かれている。東の大陸【日ノ国】、西の大陸【パシフィス】、北の大陸【メガラニア】、南の大陸【ミヨイ】、それらの中央に【レムリア】大陸である。
さらにこの世界には人族の他にも獣人族、エルフ族、魚人族、魔族、動物、魔物、精霊なども存在する。
そして、西の大陸【パシフィス】の国の一つ【ロイズテイル】の国境付近にある国立魔法学園【ルーズベルト学園】(ここでは、国境とは人が暮らす国内と魔物などがいる国外の境目のこと。この学園の後ろ側には魔物の森と呼ばれる場所が広がっている)。
ここは冒険者育成のための機関で、国中の若者が集まっている。冒険者というのは、『ギルド』に所属し魔物などを討伐したり、護衛をしたり、『ギルド』に依頼された任務を達成し、それを仕事としている人たちのことである。
そして、ここの学生が学ぶのは主に3つ。1つ目は普通の勉学。これはどの世界でも共通して必要なものである。2つ目は武術。剣や槍、弓、体術など、様々戦闘技術を学ぶことができる。そして最後は、『魔法』である。
一口に魔法と言っても、その種類は膨大な数があり、普通は属性でわけられている。主には火・水・雷・風・氷の5つの属性があり、それに加えて光・闇・無の3つの属性があるが、光属性は主には補助魔法や回復魔法が多く、闇属性に関しては使い手がほとんどいないため、伝説的な存在とされている。無属性は身体強化など、属性を必要としない魔法の種類である。
魔法には属性ごとに1〜10までレベルがあり、属性レベルと呼ばれている。属性レベルが高いほど強力な魔法を発動できる。例えば、属性レベル1の魔法使いと属性レベル10の魔法使いでは、料理に使える程度と世界を破滅に導ける程度という絶対的な差が存在する。しかも、属性レベル8以上になった魔法使いは自分で魔法を創れるのである。魔法は詠唱により発動するが、無詠唱という技術もあり、優れた使い手である証拠でもある。
さて、そんな【ルーズベルト学園】の魔物の森につながっている扉の前には一人の少女が目を閉じて立っていた。金髪でセミロングくらいに揃えており、身長は160後半はないように思える。胸は普通サイズ。顔は綺麗というよりは可愛いというべきだろう。それでも、彼女が美少女であることには違いない。
今の時間はお昼を少し過ぎたぐらいで、学生は普通ならば勉学に励んでいる時間である。にも関わらず、この少女は授業に出ようとせず、さらには学園の許可なく国外に出ようとしている。授業の演習などで国外に集団で出ることはあるが、一人でなど普通はありえない話だ。ところがこの少女、これが初めての犯行(?)ではないのである。今までにも何度も、こうして無許可で国外に出ている。……ある目的のために……
そして少女は覚悟を決めたように目を開く。その目は碧眼で透き通っていた。しかし、その中にも強い意思を感じることができる。その扉に手をかけようとして……………
「お待ちください。リーシャ様」
突然後ろからそんな声が聞こえた。その声は綺麗ではあるがどこか怒気を含んでいるようにも聞こえる。少女にはその声が誰のものであるか、顔を見ずとも分かっていた。
「・・・なにかしら、レイ。今は授業中のはずだけれど・・・」
「それはリーシャ様も同じです。・・・そんなことより、またお一人でいかれるのですか?」
リーシャと呼ばれた少女が振り向くと、そこには綺麗な白髪ショートの可愛らしい女子生徒が立っていた。身長は160cmぐらいだろう。やや貧乳ではあるが、とても細見でモデルでもやっているのでは?と思わせる容姿だ。いつものクールな表情ではあるが、少しの怒りを込めた表情になっているのが分かる。
「その通りよ。何か問題ある?」
確かにリーシャは、学年魔法ランキングトップの成績を持つほどの実力者であり、普通の実習程度では怪我などしないだろう。
しかし、レイはこれからリーシャが行く場所を知っている。だからこそ、彼女を引き留めようとしているのだ。
「問題しかありません。授業をサボってダンジョンに行く、ということ自体が問題です。さらに言えば、あなたはこの国の王女なのですよ。もう少し、行動はわきまえてください」
そう。レイが言ったようにリーシャは【ロイズテイル】の第二王女で、リーシャ・アルテウスと言う。レイがそう言うと、リーシャは
「私が王女だから、行ってほしくないの?」
「ふざけないでください」
レイは先程よりも怒気を含めた声でそう言った。
「リーシャ様は私がそのような事を気にして、心配しているとお思いなのですか?」
「・・・冗談よ。分かってるわ。あなたがどれだけわたしのことを思ってくれているか。だって、あなたは私の侍女であり・・・私の一番の親友ですから」
レイはリーシャに仕える侍女である。そして、レイは基本的にリーシャを中心にして物事を考えている。たとえ自分が嫌われても…たとえ自分が命を落とすことになっても、リーシャだけは守ると決めている。それには、理由があるのだがそれはまたの機会に話すことにしよう。
「でしたら・・・」
「でも駄目なの。私は諦めるわけにはいかない。それは、あなたも分かっているでしょう?」
そう。レイには何故リーシャが頑なに国外へ行こうとしているのか。その理由を知っており、その気持ちは十二分に分かってしまうため、あまり強くは言えないのだ。すると、レイは少し考えるような仕草をして………………ため息をついた。
「・・・はぁ。分かりました」
「そう。じゃあ、・・・」
リーシャはさよなら、と言おうとしたが、思いがけないレイの言葉によって遮られる。
「では、私もご一緒いたします。私はあなたの侍女ですから。それでは行きましょう」
などと言った。
「・・・え!?だ、駄目よ!そんな危ないこと!!」
「ソレをお一人で何回もやっているあなたに言われても何の説得力も感じませんね」
「うっ!で、でも・・」
「説得しようとしても無駄ですよ。それはリーシャ様もわかっていらっしゃいますよね?」
とニッコリと言われてしまう。結局自分は彼女には勝てないのだなぁ、などと思いながら、
「・・・後悔しても知らないからね」
「大丈夫です。こう見えて、学年ランキングは4位ですから。足手まといにはなりませんよ」
この2人は平然とこんな話をしているが、学園側からしたらたまったもんじゃない。学園の学年ランキング1位と4位という最強戦力の2人が勝手に森へ行こうというのだから。とはいえ、ここにはこの2人以外は誰もおらず、この2人を止めるものは誰もいなかった(誰かがいたとしても止められるかどうかは別問題だろう)。
「それで今回はどこのダンジョンへ行くのですか?」
「この間、昔の文献を調べていたら少し気になる場所を見つけたの」
「気になる?」
「えぇ、どうやらそこには結界が張っているらしくて、普通の人では認知することもできないらしいの」
「可能性としてはどの程度なのでしょう?」
「・・・分からないわ。可能性の話をしだしたらキリが無くなっちゃうし。少しでも気になるところがあれば、行ってみるしかないってことね」
「・・・そうですね。それでは、行きましょうか」
「えぇ、なんとか夕方までには帰って来たいのだけれど・・・」
そんな緊張感の無い言葉とともに2人は、森へと進み始めた。
(・・・【最強の魔剣】。絶対に手に入れてみせる)
静かな闘志を燃やして…
To be contiune.
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