俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです

朝霧 えてる

第14話 〜覚悟を〜

「そろそろ、お二人共出てこられては…?」

イノが隠れて聞いていたシェルアとサンシアの方を見て微笑んだ。

「!!!!!」

「ば、バレてましたかっ…えへへっ。」

「シェルアに、サンシア。」

「私たちを知っていーるの?」

「もちろん。イノ…という。よろしく。ふたりの事情等も、すべて把握してる。」

「ほへぇ。今私、ここにいるのに捕まえたり殺ったりしないの?」

「私の仕事はあくまで奏真の監視。奏真の友達を殺ったりはしない。次の戦争では暴れるけれど。」

「あ、暴れるっ…?!」

「サンシアは私の名前、聞いたことある?」

「赤いマントの謎の女の子がいるとは聞いたことがありましたけどそんな詳しくは聞いたこと…。」

「それは私の記憶を人に突っ込んでるから。元々私はここに存在していたわけじゃない。混乱している奏真に状況説明、それと後押しに来た。」

「後押し?」

「奏真があまりにもサンシアに捕らわれているから。」

「だって別に俺はこの世界でなにもないからなー。」

「せっかくあなたは異能力を持ち強くなったのよ。人を殺しても何も怒られない立場にあなたはいるのだから。」

イノの言葉に奏真ははっとした。

『そうだ俺、いま異能力が存分に発揮できるんだっ。遊べるんだっ。悪い奴をころせる。前の世界とは違う。』

奏真のリアクションにイノがふっと笑った。

「やっと、本領発揮ができそうですね。」

「奏真さん、よく分かりませんが、あなたは人間側について戦うんですか…?」

「あぁ、楽しむことにするよ。この氷能力。悪い奴、始末しねぇとなぁ。それに、お前の友達死なせたらだめだろっ。」

にひっとサンシアに向けて笑った。

「そうですか。お願いしますねっ。」

サンシアも笑った。その時だった。

「メデューサが街を襲ってるって!戦争前を狙って小さなメデューサ反乱軍のチームが街襲ってるらしいよっ。」

屋上の下で皆が騒いでいた。シェルア、サンシア、奏真、イノの4人は目を丸めた。

「シェルア、サンシア、ただちに帰って。奏真、行くよ。」

イノが指示をして奏真を連れ出した。奏真はぐいっと引っ張られたため、サンシアとシェルアに言葉をかけずにぺこりとお辞儀だけした。

「で…、サンシアちゃん…どぅーするよ?奏真くんは心を決めたみたいだーけど。」

「私はメデューサ側についてシェルアちゃんの居場所を守りますっ!」

「あーらーありがーと。」

「試しに街荒らしに参加してみますか?」

「見に行ってみよっかぁ〜。」

「どこの街でしょうか?」

「みんなについて行けばいーいでしょ。」

「じゃあ行きましょ!」

サンシアとシェルアも人間達とともに荒らされている街へと行った。人間とメデューサが戦いあっていた。

「な、なんでシェルアとサンシアがここにいるんだ。」

後ろから声がした。ふたりが振り向くとアシェフがメガネを光らせて立っていた。

「アシェフさん!」

「アシェフこそ何でここにいるのっ!」

「ゴーメルさんがいなくなった今メデューサ達が勝手に暴れ回ってるから止めに来たんだが…。」

「聞いて!私ーとサンシアちゃん、人殺すってーきめたーの!」

「な、何があったんだ。」

「ふふっ。ちょっといろいろーね。」

「そーか。なら争いをどうにかしろ!」

「アシェフもどぅーにかしてーね!」

「ほいほい。」

「じゃあ、暴れ開始ー!」

3人は初めて暴れ回った。人間が石にされどんどん壊されていく。だがメデューサもバタバタと倒れていく。1人の男が暴れていたのだ。

「あれはっ!!」

シェルアとアシェフが目を丸めた。ネルを殺した奴だった。

「あいつっ、私が、殺すっ!!!」

シェルアが苛立ちのあまり覚醒し、飛び出した。

「待てっ!!」

アシェフが止めるも覚醒したシェルアには聞こえなかった。アシェフはついて行った。サンシアは周りの人間を殺っていた。

「お前っ、死ねっ!!」

シェルアが石にしようとしてもなぜか石にならない。すると次の瞬間シェルアの腕などが切れた。

「?!」

「君、大きくなったねぇ。覚えてるよ、君のこと。」

男が笑いながら言った。

「馴れ馴れしく話すんじゃないわよ。」

「悪いけど髪で俺に触ろうが手で俺に触ろうが触らずに石にしようが俺の蜘蛛の糸を扱う能力には効かないよ。透明な糸を張ってるからその糸が俺を守ってくれてるんだよねぇ。俺今人類最強かも。」

「じゃあまず糸を石にすればっ!!」

「どこに糸があるか分からないでしょ?死ぬのはてめぇだっ!はっはっはっ!!!!」

男が笑いながらシェルアに襲いかかってきた。糸が見えないため攻撃が上手くいかない。シェルアだけどんどん傷ついていく。

「これで仕上げだっ!!」

鋭い糸の塊をシェルアに突き刺そうとした。

『だめだっ。死ぬっ。』

シェルアがそう思った時だった。

「シェルア、危ねぇっ!」

アシェフの声がした。アシェフには糸が見えるのか、空中を切りシェルアを守った。アシェフの体を糸が突き抜けた。血がシェルアにも飛ぶ。

「あれぇ。僕の糸が見えるとは、凄いねぇ?」

バタッ。アシェフが倒れた。

「アシェフ…?アシェフ!!」

シェルアが呼びかけるも答えない。

「今日はここまでね。ははっ。次こそ楽しませてね。」

男が笑いながら去っていった。

「アシェフっ!!」

ここは危ないと、シェルアはアシェフを連れ裏路地に入る。そこに奏真とイノを連れたサンシアが来た。

「アシェフさんっ!!」

「アシェフ!!」

サンシアと奏真がアシェフに駆け寄る。

「おいっ、しっかりしろっ!はやく、ケリスさんのとこに行かねーと!」

「無理。間に合わない。」

イノが言う。

「どうすればっ!」

シェルアが涙目で慌てる。

「イノ、お前天から来たんだろ!どうにかできるだろ!」

「一つだけ、手段がある。」

「なんだっ?!」

「奏真の不死身じみた体をアシェフに移す。そうすれば一命を取り留める。」

「移せ!俺はいいっ!」

「だがそれはっ。」

「サンシアくらいちゃんと守れるっ!」

「サンシアはそれでいいの。」

「奏真さんがいいって言ってるから私はいいですよ。」

「…。仕方ない。サンシアと奏真のお友達の命の危機。奏真、そこに寝転んで。」

奏真がアシェフの隣に寝転ぶとイノが手をふたりの心臓のところに置いた。そして数秒後暗かった裏路地が光出した。そして赤いイノのマントがメデューサの髪のようにふわふわと浮き出した。シェルアとサンシアが驚いてみているとまたもとの暗かった裏路地に戻った。

「これで、一命は取り留めた。」

シェルアとサンシアが深呼吸をすると奏真が苦しみ始めた。

「な、なんだこれっ。」

「奏真くんっ?どうしたの?」

「くそ、めちゃくちゃいてぇ。」

「多分、普通の体になったから、前の傷が痛んでる。」

「なるほど、まぁこれくらい、しょうがねぇかっ。」

そう言って笑うがふらつき倒れた。

「無茶しないでくださいっ。」

サンシアが奏真を膝枕で寝転がす。

「カプセルの補充がもうないでしょ。これを。医者の方に見てもらった方が。奏真の体もそちらに見てもらう方が、いい。奏真は後で帰ってくるように。伝えて。特訓すると。」

「あなたは来ないのっ?」

「街取られては、困るからもう少し。」

「…。気をつけてーね!」

「私は天使。死ぬわけ、ない。」

そういい赤いマントをなびかせ走り去っていった。

「私はアシェフを連れるからサンシアちゃんは奏真くんを連れてくれる?」

「もちろんです!奏真さん軽いし!」

「じゃあ行きまーしょ!」

シェルアがカプセルを潰してケリスの医務室へといった。

「おうおうどうしたよ。とりあえず寝かせろ。おやおや奏真もかい。」

「私のせいで…。」

「奏真はともかくアシェフはこの怪我だと戦争に出れねーな。」

「なっ?!」

「まぁっ…。」

「アシェフは戦争に出るって決めてたらしいがお前らはどうするんだ?あと、髪ほどけ。健康に悪い。」

「私達も出ると決めてました!」

サンシアとシェルアが髪をほどきながら頷く。

「お前らは戦争までこの城で安静にしろ。奏真も大人しくしてたら戦争には出れるはずだから。」

「でも奏真さんは人間側につくんですよっ。」

「だが安静にしてないとまた倒れる。」

「サンシアちゃん、大丈夫ーよきっと。イノちゃんがいるからー。イノちゃんはすべて把握しているはずだしぃ。」

「そうですねっ!」

「よし、決まりだな。」

そうしてサンシアと奏真、アシェフはシェルアの城でお世話になることになった。そして戦争まであと三日。

「シェルア様〜!」

1人の城の使用人がシェルアに一つの手紙を持って走ってきた。

「どうした?」

「差出人は書いていない手紙が届きました。危ないものでは無さそうなのでお届けにまいりました。」

「ありがとう。」

手紙を開けてみるとシェルアは目を丸めた。

『美しく、堂々と。
   我がこの街の王だと胸を張って証明しなさい。』

「誰からかしら…?」

「あ、シェルア様、後ろになにか小さく書いてあります。」

シェルアが後ろを見るとまた目を丸めた。

『ルネより。』

エヴェルからだ。シェルアはなぜか確信し、その手紙を握りしめ頷いた。

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