俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです

朝霧 えてる

第10話 〜土下座〜

「…、まぁ、それで私は、人を石にしないと決めたの。大事なルネとの約束だったから…。ぐでぐでと話してごめんね。」

シェルアが過去を話し終わると医務室の空気はなんだか重かった。

「もしかしたら、私の親を殺したのはアシェフくんかもしれないっ…。しかも、パールさんは私を育ててくれた人だしっ…。」

サンシアが手をぎゅっと握り恐る恐る言った。

「へっ…。」

「私は…昔メデューサを助けてしまった。倒れてたから…。お姉ちゃんの反対を押し切って親には内緒にして。でもそのメデューサに裏切られてそのメデューサは何も悪くない私の親を殺したの。だから私はメデューサ討伐隊に入った。メデューサが許せなかったの。シェルアちゃんにはまだ言ってなかったかもしれないけれど私ね自殺しようとしていたの。親の墓参りに行くたびに私がメデューサを助けたことによる死だったことを思い罪悪感が湧いて…。自殺を決めたあの日、奏真が現れてすべてが変わってしまったわ。」

「私達の過去は少し繋がってるのねぇ。す、凄い…。」

「これもすべて奏真さんのおかげかもね…。」

「サンちゃん、私はアシェフを探してくる。」

「今は、今はいい。」

シェルアが立ち上がり歩きだそうとするとサンシアはシェルアの服の袖を掴みとめた。シェルアはとりあえずもう一度座った。

「どうして?あいつにすべて吐かせないと。」

「奏真さんが目覚めてからすべて解決する。奏真も何かを知っているかもしれない。」

「サンちゃん。いえ、サンシアちゃん。真のメデューサとして、アシェフのペアとして、謝らせて。謝るだけでどうこうなる話ではないけれど。謝らせてください。」

シェルアが椅子から立ち上がり医務室の床にぺたりと土下座をした。

「シェ、シェルアちゃん…?」

「ほんとうに、ほんとうにごめんなさい。」

床に涙と思われる水が数滴落ちた。

「私は親を亡くしたことないけれど大事な友達を亡くしたからサンシアちゃんの気持ちわからなく無い。言葉で言い表せないほどの辛さだと思う。だから、だから、謝らせてほしい。」

「謝らないでよシェルアちゃん…。謝らないで…。それに王家の者がそんな簡単に頭を下げちゃダメだよ。」

「私は頭を下げたことはないわ。今日が初めて。今回ばかりは頭を下げたいと思った。頭を下げなければと思った。」

そうシェルアが言ったあとガタッと音がした。シェルアがビックリして顔を上げるとサンシアが泣きながらシェルアの前に座った。

「シェルアちゃんが謝ることじゃない。アシェフさんが親を殺ったとことが明らかになっても私はアシェフさんを殺したいとか思ったり恨んだりしないわ。約束する。」

シェルアは自分の能力でサンシアが嘘をついていないことが分かった。その時だった。ベッドからもぞもぞと音がした。2人はバッとベットの方を見た。奏真が目を開けていた。

「そ、奏真くんっ!!」

「奏真さん!!」

ふたりが奏真を呼んだ。奏真が頭をかきながら笑った。

「あー、バレちった?悪ぃ…。話してたのに…。」

「ど、どこから聞いてたの?」

サンシアが恐る恐る聞いた。

「土下座の当たりからかな…。」

「…。」

三人に沈黙が走った。その時だった。今度はケリスがもぞっと動いた。

「んっ…。痛てて…。」

「ケリスさんっ…!!大丈夫ですか?!」

「なにがだ?って…え、ちょ、なぜこいつがもう起きている?」

ケリスが目を丸めて奏真を指さした。

「…え?」

奏真も驚いた。

「か、回復が早すぎる…!!」

「ま、まぁまぁ、気にせず気にせず。数日ここで休んでもいいですか?」

「……っ…。べ、別にいいがっ…。」

「シェルア、少しこいつと二人きりで話したいんだがいいか。」

「…、分かったわ。ケリスさん、外で私に話したかった話をしましょう。」

シェルアがケリスを連れ医務室の外に出ていった。ガチャリ、ドアが閉まる音がしたと同時に奏真が動いた。サンシアの腕をつかみサンシアを自分の体にサンシアの体を寄せた。

「ひゃぃっ?!」

サンシアが変な声を出して驚いたが奏真は気にせずサンシアを抱きしめた。

「そ、奏真さん?!」

「悪かったな…。」

奏真がぼそっと呟いた。

「なにが…?」

「俺のせいでお前の人生を狂わせた。お前を生かしたことに後悔はしていないがお前は俺と出会ってから辛いこと続きだ。」

「奏真さんっ…。」

「それにシェルアの過去を知った今、お前は混乱してるだろ。」

「アシェフさんが私の親を殺したのには衝撃を受けた…。でもアシェフさんを殺したいとか思う憎しみ…?とかはない…。でもやっぱりちゃんと、アシェフさんの口から話を聞きたい…。そう思う…。」

サンシアが鼻声になりながら言った。

「我慢せずに泣いてもいいぞ。」

奏真がサンシアの頭を撫でながら言った。サンシアはそう言われぶわっと涙を流して泣き出した。

「うぅっ。おばさんもゴーメルさんと関わりがあったのもひどく衝撃を受けた…。私の周りの人…みんな繋がりすぎてて怖い。」

「俺も一つ怖いことがあった。」

「…なに?」

奏真がサンシアを離して話し始めた。

「刺された時、痛みを感じなかった。」

「…?」

「俺が前の世界で死んだ話はしたよな。あの時俺は痛みを感じた。なのに今回は痛みを感じなかった。」

「痛みを感じなかったのに意識を失ったの…?」

「麻酔を打たれた時みたいな感じで体が麻痺してるような感じでなんというか…。」

「魔法みたい…。」

「俺のことちょっと殴ってみてくれ。」

「?!」

「殴ってくれれば多分わかる。」

「い、いくよ…。」

サンシアが恐る恐るばしっと奏真の頬を叩いた。奏真の顔がぐいっと叩かれた方へ向いた。

「だ、大丈夫…?!」

「あれ、痛てぇ。」

「ひゃぁぁぁ、ご、ごめんなさいっ!!」

「いや、大丈夫だ。あの時まぐれで痛くなかったのか…?」

「どうだろう…?私には分からないわ…。それよりどうして二人きりで話そうと思ったの?」

「お前のちゃんとした本音が聞けるかなと思って。それと、まだ俺自身自分の体についてよく分からないからあの人の前で話すとあの人医者だから解剖とか研究されるかと思って…。」

「あははっ。ケリスさんはそんなことしないと思うよ?あ、あのお医者さんの名前はケリスさんって言うそうだよ。」

「お前がちゃんと笑うの久々に見た気がする。よかった。」

「シェルアちゃんの話を聞いてなんか吹っ切れた感じかな…?元気が出た。」

「サンシアそんなに元気ある子だったか?びっくり。」

「えへへ…。」

その時だった。

「バンっ!!」

思い切り医務室のドアが開く音がした。2人は同時にびっくりした。

「アシェフが帰ってきたわ。サンちゃん、ちょっと行きましょう。奏真はまだ動けないだろうし…。」

「奏真くんは私が見ている。行ってきなさい。」

「ありがとうケリスさん、じゃあサンちゃん行きましょう。」

シェルアがサンシアの腕をつかみ走っていった。

「奏真くん、私と少し話をしよう。」

ケリスが椅子に腰掛けた。

「は、はい。」

「君は何者なんだい?」

「俺は…。サンシアの護衛人のようなやつです。」

「なぜ、人間とメデューサが一緒にいる?」

ケリスはサンシアはサンの事だろうと察したがとりあえず突っ込まないことにした。

「もともとサンシアは人間でした。ゴーメルによってメデューサにされてしまいました。」

「お前のその回復力の速さはなんだ?」

「それは俺にも分かりません。」

「…。そうか。」

「ケリスさんの能力はなんなんですか?」

「私は医者らしく病気について見える能力だ。」

「病気について見える…?」

「こいつはなんの病気だ。とかそういうのが見え最善の治療法が見えてくる能力だ。お前の能力はなんだ?」

「…。俺の能力は氷魔法です。」

「氷…?まさかっ…!!」

「ホントです。」

目を丸めるケリスを前に奏真は氷魔法を見せた。

「…。前にもいたな。そんなやつが。」

「…。へっ…。」

「お前には兄弟がいたりするか?前にも空想上の魔法と言われている魔法が使えるやつが来てな。空想上の魔法はどんなのがあるか知ってるか?」

「俺の氷魔法が空想上の魔法だと言うことしか知りません。あと、俺に兄弟は…。この世界にはいません。」

「前にきた空想上の魔法を使えるやつは雲を操る能力だ。」

「雲?」

「雷雲や雨雲などを生み出したり霧を生み出し視界をくらましたり…とかだったな。」

「そいつはどんな奴でしたか…?」

「んー…。数ヶ月前に来たなぁ。そいつも誰かの護衛をしてると言っていた。そいつは雲魔法を使える他に未来予言ができたかな…?あれ、他のやつとこんがらがってるかな。」

「そいつは今どこですか?」

「人間の街にいるはずだ。」

「メデューサの街より探しにくいですね。」

「奏真くんよ。俺はメデューサだ。お前をいま石にすることもできる。この街のみんなお前を石にすることができる。ビビらないのか。」

「それはこっちも同じですよ。俺だって今一瞬であなたを氷の像にすることができる。」

「メデューサはメデューサを石にすることは出来ない。だが人間を石にすることで生きる気力がつくんだ。だからメデューサは人間を石にする。人間は生きる気力が元々あるから人間を殺す必要がない。それに人間同士の争いは罪として捕らわれる。メデューサが人間を石にする行為も罪だが、住む場所が違う分捕らえにくい。だからメデューサ討伐隊というものが出来たんだ。」

その時だった。ドタバタと足音がして近づいてきた。

「ケリスさんっ!!助けてください、アシェフさんとシェルアさんがっ!!」

サンシアが息を切らして走ってきた。

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