俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです

朝霧 えてる

第6話 〜血色の服は人助けの誇り〜

「だ、誰か!!誰か!!」

シェルアが叫ぶと少し遠くにいたメデューサたちが集まってきた。

「何事だ何事だ?」

「やだ、血だわ!!」

「刺されてる!!」

「誰か早く救護ドラゴンを呼べ!!」

「救護ドラゴンも反乱軍に連れていかれたんじゃねぇのか?!」

「あの血の量は早く呼ばねぇと!!」

「くそっ、サンシアちゃん!!私が担いで王家まで走るわ、救護ドラゴンなんて呼んでも遅い!!サンシアちゃんタオルか何かある?傷口にタオルかなにか当てたいんだけど!!」

「た、タオル…、あ、こ、このコートでいいかな?!」

サンシアが来ていたコートを脱いだ。

「いいけれど、そんな大事なものを汚してしまっていいの?血なんて早々取れないわよ?」

「奏真さんの緊急事態だからいい!!」

「ありがとう、じゃあ、行くわよ!!」

サンシアと奏真をおぶったシェルアが走り出した。王家の人間ということでシェルアの顔は知れていたため、皆がシェルアを見た。まぁ、顔がしれている他に女が男を担いで、しかもその男は血まみれだからということもあった。サンシアは血が滲むコートを見ながら奏真を心配し走っていた。

「こんな時に、アシェフはどこへっ…、あ、もうすぐつくわよ!!」

シェルアが言うと大きな城が見えてきた。

「あれは、アシェフさんだったんでしょうかっ…。」

「多分アシェフね。」

シェルアが唇をかみしめた。サンシアはその言葉にはっとした。だが、城の門へとついた。そこには二人の門番がいた。

「シェルア様?!」

門番が驚いてシェルアに駆け寄った。

「怪我人。急いで手当しないと死ぬ!!こっちの子はこやつの連れ。とにかく早く入れてちょうだい!!」

門番の1人が奏真を担ぎ急いで救護室へと走っていった。疲れすぎてシェルアとサンシアは城の中の草はらに倒れ込んだ。

「サンシアちゃん…、大丈夫…?」

シェルアが息を切らしながら聞く。

「私は大丈夫。それよりシェルアちゃんの服が血まみれ…。」

「この服は冒険用だったから大丈夫。それに、この血は私が人を助けた誇らしい血だし。」

動きやすいワンピースについた血を見ながらシェルアが微笑んだ。

「奏真さんは絶対助かる自信があるのはなぜだろ…。」

「奏真くんは体が強いかーらね。」

「分かる?」

「初めて見た時から謎の違和感があったわ。あ、もう、話し方私らしく行くわ。」

「本当はちゃんとした話し方なんだ。なんで、喋り方を変えたりしてたの?」

「メデューサの王家の者だなんて、私は恥ずかしいと思っていた。メデューサが人間と共存できなくなったのは元々力を持った王家のせいだったし。だから、ちゃらい女の子になりたかった。なろうとしていた。でも芯からそうなるのはやっぱどうしても無理…。で、そうだ、ずっと気になっていたんだけど、あなたの名前はサンシア、アがつく名前。どこかの王家の人間でしょ?」

「…。内緒!」

サンシアが少し悲しそうに笑った。

「そ、そっか…?」

それからも色々会話を交わしていると奏真を連れていった門番が来てひざまずいた。少し血がついていた。

「シェルア様!!!!なんとか今のところ生きておられるそうですが、血が足りないそうです。」

「輸血が必要ということか。」

「そうなります。シェルア様のご命令ということで助けますが、人間の血はここにはあまり置いてないそうで。」

「はっ…。もう人間とバレてしまったのかっ。しょうがない、私の血をやろう。」

「それは私めが決めれることではないのでとりあえず救護室へと来てください、お願いします。」

「分かった。」

「わ、私も同行してよろしいでしょうか。」

サンシアが聞いた。

「シェルア様、こちらはお連れの方ですよね。」

「あぁ、そうだ。サンシ…、サンちゃん。行きましょ。」

シェルアとサンシアは城の中へと走っていった。城はとても立派で中もとても広かった。サンシアは少し見入ってしまった。

「こっち。」

シェルアが階段を登り始めた。

「広くて素敵な建物ね。」

「両親の城でしかないわーよ。」

「うちの城は…。あっ。」

「ん?」

「いや、なんでもない。」

「そぅ。あ、ここよ、救護室。」

シェルアが一つの扉を指さした。上に救護室という小さな看板があった。そしてシェルアが扉をノックした。

「ケリスさん。シェルアです。そちらの患者のお連れの方も一緒です。」

「入ってくれ。」

扉の向こうから男の声がし、シェルアは救護室の扉を開けた。救護室の中へ二人が入るとたくさんの器具などがあった。

「シェルア、とりあえず輸血だ。話はそれが終わってからだ。」

「は、はい…。あ、サンちゃん。こちらこの城のいちばん優秀な医者、ケリスさん。」

「初めまして、サンです。」

「君も後で話を聞こう。」

シェルアとサンシアは少しビビった。シェルアはケリスが指示したベットへと横たわった。隣に奏真も寝ていた。

「奏真さんっ…。」

サンシアが小さな声で呟いた。そして、ケリスがぱっぱと輸血をした。

「あとは回復待ちだ。シェルア、輸血には感謝する。だが、なぜ人間がこの街にいる。」

「こちらこそ、彼を助けてくれたこと感謝します。彼が人間だと、何か問題がありますか。」

「シェルア、お前は昔から王家の人間の自覚がなさすぎる。人間なんかがいたら、メデューサたちは怯える。何も石にすることなく、自分は人間だ、そのくらいに思っている者達がもし彼が人間だと知らずに彼を石にしてしまったらどうだ。生きていけなくなるかもしれないくらいだぞ。」

「ケリスさん、それは言い過ぎかと。それに、元々は私達が先に向こうへと行きました。それに、人間も、メデューサに怯えています。罪のないメデューサが殺されたケースも少なくない、メデューサと人間は同じです。」

「違う。シェルア、それは違うぞ。メデューサと人間は一緒には生きていけない。メデューサが人を石にするのは生命力そのものだ。」

サンシアはふたりの言い合いを真剣に聞いていた。

「でも、人間を石にしなくても私達は生きれています。」

「それは少し生きていれるだけで石にした方が寿命は伸びる、生きる力もだ。そのためには人間の多少の犠牲は必要だ。」

「ケリスさんも、そっちの考えなんですか。今日のケリスさんは何か変です。」

「違う、城のものは皆、お前を心配しているのだ。お前はもう覚えてないかもしれない、だが…。」

「私が人間に連れていかれた話ですか。」

「知っているのにどうしてだ、どうして人間に同情をする。ゴーメルの意見に心を持っていかれるな。ゴーメルは死んだ、あいつは間違えていたのだ。」

「ゴーメルさんの意見が正しいとは思っていません。ですが、間違っていたとも思っていません。ゴーメルさんは人間といろいろ交流を交わし、たくさんの事を学んでいました。私もそれで色々知りました。人間から学ぶことは大切だ、と言っていました。それは正しいと私は思います。ですが、人間をメデューサに変えてしまうのは私は正しいとは思いませんでした。」

「だが人間に近づくことは正しくない。我らにとって人間は危険なもので人間にとっても我らは危険なものなのだ。人間が動物を食べるのと同じように、我らメデューサも人間を殺して生きなければならない。」

「ケリスさん、あなた、いま、あなたではないですね。」

シェルアがケリスを睨んだ。サンシアはシェルアが何を言っているのかいまいち良く分からなかった。

「ケリスさんの中で貴様は何をしている、誰だ。早くケリスさんを元に戻せ。」

シェルアが目の色を変えケリスを指さした。怒りのあまり我を忘れかけているのだ。するとケリスが口を開いた。

「なぜ、バレたかなぁ。こいつの情報を手に入れて、きちんと乗り移ったのに。」

「いつからケリスさんの体にいる。」

「手術が終わってからだな。ケリスも何か話しがあったようだが、我にも話があったからな。」

「貴様は誰だ。」

「我の名はルゴン・ルーゲルだ。」

「ルゴン…。貴様、この街で何をしている。別の街の王家のものだろ。」

「貴様らの街の身勝手な行動はメデューサ界に大きな影響を与えている。ズバリ言おう。迷惑なのだ。」

「あの、話が全く読めないんですが1度詳しく説明していただいていいですか?」

サンシアが勇気を振り絞って聞いた。

「…あぁ??」

「あ、サンちゃんごめんっ…。えっと…。私の過去から話すのがいいかなっ…。」

「シェルアちゃんの過去…?」

「私の過去から繋がってるからね…。ルゴン、この子と少し話しがしたい。時間をくれ。」

「くそっ。今日は俺はこの体から去る。また機会があれば来る。」

ルゴンがケリスの体から抜けたようでケリスはばたりと倒れてしまった。

「サンちゃん…。まぁ、聞いて…。」

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