俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです

朝霧 えてる

第4話 〜メデューサの街〜

奏真とサンシアは手を繋いだまま図書室と走った。皆が大騒ぎのお陰で誰にも怪しまれずに図書室までたどり着いた。サンシアは走りすぎてコートのフードが乱れたため慌ててフードを直した。2人が図書室の扉を開けようとしたその時だった。

「サンシア、何しているの。」

聞き覚えのある声だった。2人がばっと後ろを向くとパールがいた。

「お、おばさんっ…、」

「カシアがいないいまあなたが頑張ってくれないとほかはあまり使える人材が今いないのよ…。ほかの街に出向いてるひど多くてね…。だから来てちょうだい。」

パールが手招きをした。

「えっと…でも…。」

「サンシア、行ってこい。」

奏真がサンシアに言った。サンシアは驚いた顔をして奏真をみた。

「あなたは行かないの?」

パールがじろりと奏真をみた。

「えぇっと…。俺はまだ戦えるような奴じゃないんで…、べ、勉強を…。」

「なるほどね、まぁむやみやたらに死人を出すわけにも行かないか…。じゃあ、サンシアだけ行きましょ。指揮官の私が行かないとこの混乱はどうにもならないし」

パールがくるりとサンシアと奏真に背を向けたその時、奏真がサンシアの耳元に行き、小さな声で呟いた。

「本を持って修行室に先に行って待ってる。こんな皆混乱してるから抜け出せるだろう。」

サンシアはこくりとちいさく頷いてパールの後を追いかけ走り出した。奏真は図書室に入り先程読もうとしたメデューサの本を服に隠しこそっと図書室を出た。そして、人にバレないように修行室へと入った。走りすぎて奏真はへとへとだった。

「あら、早かったのねぇ。」

シェルアが修行室になぜあるか分からないデスクのくるくる回る椅子に座り遊びながら言った。アシェフはデスクに腰をかけ何かの本を読んでいた。

「サンシアはまだか…?」

「サンシアちゃんはまだ来てなぁーいよ?なーんで一緒じゃないのぉ?」

「事情があって…一旦別行動した…。」

奏真が息を整えながら言うとアシェフがメガネをかけ直してすっと立ち上がり口を開いた。

「お団子は大丈夫そうだ。おいお前、服とかはそれでいいのか?」

「おいお前呼ばわりかよ…。俺のいつものは汚れて洗濯してる。なぜサンシアが大丈夫だと分かる。」

「詳しい事はまた後でだ。なら、準備はいいな。シェルア、お前は遊んでないでここを出る準備をしろ。」

そういいアシェフはべちっとシェルアにチョップをした。

「いったー…。私の準備はもういいもんねーっ。あんただけよ本出して準備出来てないのわ!!」

「俺だって別に準備は出来て…。あ、お団子が来た。おい、シェルアカプセルを出せ。」

アシェフがキリッと修行室の扉を見て、シェルアに手招きをした。

「ほーい。」

そういいシェルアはポケットから小さなカプセルを出した。カシアやサンシアが持っていたカプセルとよく似ていた。

「ワープ用のカプセルか?」

奏真が聞くとアシェフがちらっと奏真をみた。

「あぁ、これはメデューサの街の指定された場所にしか行けないがな。その代わり数人一気に行ける。」

アシェフが今度はカプセルを見つめながら言った。

「へぇ…。」

そう言っていたその時だった。修行室の扉があいた。

「お、お待たせしてごめん…。」

サンシアが修行室へと入ってきた。

「おぉ、来たか。じゃ、俺の近くに来い。」

アシェフが手招きをした。奏真とサンシアはアシェフの近くまでいった。もともとアシェフとシェルアはすぐそばにいたためシェルアはまだ椅子で遊んでいた。奏真とサンシアがちゃんとアシェフのすぐ近くまで来たことをアシェフが確認し、カプセルを握りつぶした。するとすぐ、どこかへと行った。そこはただの街に見えたが、あたりを見渡すとメガネの男と髪が浮いた女しかいなかった。

《ここがメデューサの街か…普通の街っぽいな…。》

奏真がキョロキョロ見渡すと、奏真は少しびっくりした。

「サンシア、髪下ろしたのか。」

「ごめんね、お団子にしてると髪が痛いの。メデューサの街だしいいかなって。」

「あぁ、そうだな…。痛かったのか…。よく耐えたな。」

奏真がサンシアの頭を撫でた。サンシアは少し嬉しそうに笑った。

「あー!!奏真くん、ちょっと!!」

シェルアが奏真の頭をガシッと掴んで奏真の服のフードを奏真に被せた。

「あっぶなぁい、えっとー、これかけて。」

「な、なんだよ…。」

奏真がシェルアを見るとシェルアがメガネをポケットから出して奏真に渡した。

「なんでこれかけんの…。」

少し洒落たメガネだったが奏真は少しかけるのを拒んだ。

「後で説明するから、ほれ!あんた殺されちゃうわーよ!」

「んー、分かったよ…。」

「度は入ってないからきにしないでーぇ
。」

奏真は恐る恐る眼鏡をかけた。

「へぇ、奏真さん眼鏡姿もいい!」

サンシアが目を輝かせて言った。

「え、そう?ありがとう。」

奏真は満更でもなかった。

「ほれ、私達あんま長くここにいれないからちょーっと歩くよー。」

そういいアシェフとシェルアが先に歩き出し、奏真とサンシアもあとを追った。少し歩いていくと市場があった。色々売っていたがアシェフもシェルアもずんずんと進んでいった。そして市場を抜けると家の集まりがあった。

「THの方は近未来的な感じの建物が多かったのにここら辺は昔ながらの感じだな?」

奏真が歩きながら言った。

「メデューサは人間の街を略奪しているからメデューサの街にはあまりお金はかけてないからさーぁ。ここら辺は人間を殺さないメデューサが多く住んでるのよぉ。」

シェルアがくるりと回って奏真の方を向いて歩きながら喋った。

「へー。」

「悪いねー。あんま高貴な感じじゃなくてー。」

「いやいや、メデューサの街なんて新鮮だ。」

奏真がキョロキョロと見渡しながら言った。そして少し歩くとアシェフとシェルアが立ち止まった。

「よーこそー、うちらの作戦会議基地へー。」

シェルアが両腕を広げて一つの小屋の方を向いた。そんなに大きくはなかったが少し洒落た家だった。アシェフが鍵を開けて4人は入った。中は結構スペースがあり広かった。

「いやー、メデューサの方まで来てもらって悪いねー。奏真くんにー、サンシアちゃーん、それにー、奏真くんは本ずっと持ってもらっててー。」

「いや、こちらこそ案内どうも。」

「ありがとう。」

奏真とサンシアはぺこりとお辞儀をした。アシェフはキッチンスペースに行き、紅茶を注ぎ始めた。

「じゃー、てきとーにそこら辺座ってぇー。」

シェルアが床にストンと座り床をぽふぽふと叩いて座る指示をした。奏真とサンシアはストンと床に座った。そして奏真は本を服から取り出した。

「ホイ、お望みの本。」

「あー、これこれぇ、ありがとう、よかったぁー。」

シェルアが本に抱きついた。そしてアシェフがトレーに紅茶の入ったコップ四つと砂糖の入った小さなびんををのせ、三人が座っている場所へと来た。

「どーぞ。」

「わーぁ、喉乾いてたのよー。」

「あ、ありがとうっ。」

「どーもー。」

4人はゴクリと紅茶を飲み話を始めることにした。

「でぇ、君たちの願い、聞いてあげようじゃなーいの。なんだっけ?」

「サンシアはゴーメルにメデューサにされたんだ、だから、メデューサのこと色々教えて欲しい。」

サンシアの背中にポンと手を当て奏真が言った。

「なーるほどねー。まぁ人間にはあまり教えるべきではないだろうけど、サンシアちゃんのボディーガードっぽいしぃ?まぁいっかぁー。で、なんか質問とかあれば答えるけどぉ?」

「メデューサの基礎から色々教えてくださいっ!」

サンシアが少し大きめの声を出した。

「あっははっ!!ほんとに何も知らないのかぁ。じゃあ、べらべら話すからよーく聞いといてねぇー、メモとか取りたければ取ってもいいけどー。」

サンシアも奏真もメモは取ろうとしなかったが真剣に聞き始めた。

「アシェフー。後で私の補足はお願いねぇ。」

「二度手間は面倒くさすぎるから全部自分で喋れ。」

アシェフは紅茶を飲みながらまた本を読み始めた。

「えーっと、基礎かぁ…。んー…。あ、今日THの方は雨だったじゃない?メデューサは雨や大量の水に弱いわぁー。雨だと本領発揮できないし、水の中だと私たちが石のように固まってしまうのぉ。ほら、私たちと奏真くんがー、初めてあった時私たち溺れたでしょー。石になって泳げなかったからなのよー。いやー、あの時はまじ死ぬかと思ったねぇ。今日私たちがメデューサの街に行ったのは、雨だとメデューサ討伐隊が油断するからなの。だから、攻撃されずに人を石にしなくて済むからねー。」

「なるほど、水には弱い…と。」

「まぁだから、サンシアちゃんも海とかに溺れないようにしないといけないねーぇ、あとは足のつかないような深いお風呂とかもー。」

「き、気をつけるっ!!」

それからもいろいろとシェルアが説明をした。

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