俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです

朝霧 えてる

第2話 〜水たまり〜

ホールが人で満員になるとパールが人が並ぶ前に立ち、話し始めた。

「えーっ、今日からは特別任務が始まります。メデューサが1つの街を侵略してしまいました。幹部2人は不在だったため、阻止はできず…。」

パールがちらっとサンシアを見たがサンシアはフードで顔を隠していた。

「街の侵略はひどいことです。大勢もの人が石にされ、殺されました。私たちはメデューサを許してはいけません。」

パールが自分の手を握りしめ言った。それからパールの後ろにスクリーンが垂れてきて、いろいろ特別任務のことを説明しだした。奏真とサンシアは持っていたメモ用紙にいろいろメモをした。命の危険もあるとても危険な任務だった。サンシアはなにか悩んでいたようだ。難しい顔をして固まっていた。会議が終わり、皆は解散し奏真とサンシアはサンシアの個室へと歩いていた。その途中、奏真はサンシアに聞いた。

「何悩んでんの?」

「私はメデューサになっちゃったから…。ぶっちゃけどちらに着いたらいいのかよくわからない…。」

「サンシアがメデューサ側に行ったら俺お前のこと守れないし討伐隊にいる意味もなくなる。むやみに殺す意味がなくなる。俺を取るかメデューサを取るかどっちかにしとけよ。」

奏真が鋭い目つきでそういった。サンシアがこれから先も罪悪感に包まれることがあっては困るため、ここで決めさせる。そう奏真は決めたのだった。

「奏真さんがいるのはあくまでお姉ちゃんの願いを叶えるため。その願いの先が私に向いているだけ。そんな怖い言い方とかしないでよ…。やめたいならやめてもいいし…。」

サンシアは怖い言い方をしたのが本気だと思い奏真にビビっていた。

「これから先もそうやって任務のたびに悩まれたらこっちが苦しくなるだろ。」

「あ、そうだよね、ごめん、弱くて。」

「お前のことはいつもカシアが決めていたんだろうな。その度お前は我慢してたんだろ。でもカシアがいたらお前はなんでもいいとか思ってたんじゃねーの。カシアがいなくなってからお前はお前じゃないみたい。」

奏真が立ち止まり言った。サンシアは止まらず歩き続けた。細い廊下に差し替っていたため奏真はガラス張りの壁の外を見た。外は雨が降っていた。

「雨…か。」

奏真は呟いた。奏真が外をじっと見ているとサンシアは立ち止まった。

「お姉ちゃんが先に死んじゃうことは分かってた。お姉ちゃんだし。お姉ちゃんがこんなに早く死んで、ましてや私がメデューサになっちゃうなんて思ってなかった。奏真さんが来てからいろいろ変わりすぎた。私は死ねばよかったと、ただ思う。ねぇ、ほんとは何か知ってるんじゃない?奏真、何か知ってるなら言ってよ。」

サンシアが突然目つきを変えて目を光らせ言った。メデューサの覚醒かなにかかと奏真は思い、後で調べるとにした。そしてなんて言おうか考えていると奏真の左手が突然重くなった。奏真は何事かと思い自分の手を見ると驚いた。石化していた。サンシアがやったのだろう。

「おいっ、おれが石になりかけたのがばれたらお前がメデューサなのがバレるだろ、早く、戻してくれ。」

そう奏真が言うとサンシアはハッとし、目つきが戻った。

「えっ、あだっ、も、戻します‼︎」

サンシアは奏真の手をパッと触ると石化が解けた。

「ご、ごめんなさいっ‼︎」

サンシアが必死に謝った。

「石にしたいところを見ると石になる感じか?まぁ体全体じゃなくてよかったよ。」

サンシア自身も驚いていた。

「メデューサ自身についてもっと知るべきだな…。メデューサに聞くなんてできないから本にあることだけ…あああああああ?!?!?!?!」

奏真が廊下に響く大声を出した。

「な、ど、どおしたの?!」

サンシアが驚いて聞いた。

「ね、ネルは?!ネルのこと忘れてた!!!!」

奏真がサンシアに聞いた。

「ネルちゃんは向こう側の人間だから…。傷の治りがいい薬をあげといたよ。お姉ちゃんのフォローはするって言ってたけどこっち側には来ない…。」

サンシアが寂しそうに言った。奏真はサンシアの両肩にガシッと手を置いた。

「ネルに会いに行くぞ‼︎特別任務が始まる前に‼︎」

奏真がニヤッとして言った。サンシアはその言葉に驚いていた。奏真はハッとしてしまった。カシアの死に場所に行こうと言っているようなものだ。

「…。わ、私は…。」

サンシアが自分の手を握りしめ考え込んでいた。

「す、すまん、俺一人で行ってくるから‼︎」

奏真がサンシアの肩からパッと手を離し走り出そうとサンシアに背を向けたその時だった。

「奏真さん、一人は嫌だから…。行く…。」

奏真の服の裾をくいっとつかんでつぶやいた。

《なんだこれなんだこれなんだこれ…っやべぇ、やべぇ、外が雨のせいで暗いから余計に空気がなんか…、やべぇ…。》

奏真は顔を赤くし固まってしまった。

「は、はわっ‼︎これまたすみません‼︎なんか、今日の私おかしい…。」

サンシアが自分の両頬に手を当て恥ずかしそうにしていた。確かに少し変だ。

「お前の本性と仮面の性格とメデューサの覚醒がごちゃごちゃなんじゃね?」

奏真が言った。

「本性ってな、なにっ…。と、とりあえずは、本で調べよ…。ネルちゃんのところへ行くのは私の気持ちの整理が出来てから。」

そういいサンシアは走り出した。

「お、おいっ‼︎」

奏真はサンシアが見ようとしている本がどこにあるかなんてわからないためサンシアを慌てて追いかけた。

「は、はえぇ…。」

サンシアが立ち止まったりそこは図書館だった。奏真はとても息が切れていたがサンシアは全然切れておらずピンピンしていた。そして目が光っていた。奏真は一瞬サンシアが本当のヘビに見えた。

「さ、サンシア…。お前の本性は…どれだ…。」

奏真はサンシアをじっと見て聞いた。サンシアがギロリと奏真をにらみ口を開いた。

「どれだと思う?」

首を傾げイタズラに笑った。奏真はなぜかカシアの影が見えた気がした。口を開いたまま奏真はじっとサンシアを見ていた。

「また、見せてあげるね。」

笑ったままサンシアが言った。そしてサンシアは奏真に背を向け図書館の中へと足を踏み入れた。次にサンシアが振り返った時はいつもの大人しめの上品なサンシアに戻っていた。奏真は不思議で不思議でたまらなかった。だが、メデューサの本を見つけると一旦そのことを忘れた。

「あった。」

奏真が呟くとサンシアがぴょんぴょん跳ねながら来た。

「あったー?それ見てみよー。」

サンシアが図書館の中のデスクへと本を持っていった。奏真はゆっくり後を追った。

「なになに?タイトル、私が知ったメデューサの秘密。作者は…ゴーメル……。」

「自作自演か。ゴーメルのことだからいろいろ書いたんじゃね。多分表向きのこととして間違ったことは書いてないと思う。」

「そうよね。なになに、…。」

サンシアが読み始めようとしたその時だった。

「メデューサの襲撃だ‼︎」

誰かが図書館に飛び込んできて叫んだ。

「なっ…‼︎そんな‼︎」

サンシアが本を置き走り出した。奏真もとことこと走り出しついて行った。図書館の外に出ると討伐隊の皆が大騒ぎしていた。メデューサが強くて戦いに行けない人々だ。

「あんな弱いのも討伐隊にいんのか。」

「THは緩いから仕方ないわ。その分強い人間が成長するけど。」

走りながら奏真とサンシアは会話を交わした。人ごみの中で奏真は気づいた。

《あれ、あそこに走ってるの…。》

髪がふよふよ浮いているように見える女がいた。

《たんに髪が揺れてただけか?》

奏真はなぜか気になりサンシアは走って行ったため一人でその女を追いかけた。追いかけていくとわかった。男もいたが女は明らかにメデューサだった。

《男のメデューサはゴーメル以来初めて見たな…》

奏真が追いかけていくとメデューサ男女はさっき奏真が氷の彫刻を作った部屋へ入ろうとした。

《そこは彫刻まみれ…。》

その時だった。女の方がドアを開けると大量の水が流れ出てきた。

「はっ?!」

奏真がびっくりして声を出してしまうとメデューサ2人がバッと奏真を見た。隠れるためか石の壁を作ってしまった。だが、奏真は一瞬見えた。2人は水に飲み込まれた。

《彫刻が溶けたのか…っ‼︎》

奏真がなるほど!と思っているとメデューサ2人が水の中で何か言っているのが消えた

「た、たふえて…‼︎」

奏真は耳を疑った。

「2人とも泳げないのかっ…?」

奏真はびっくりしていたがなぜか足が動き出した。溺れている2人の方へと。

《俺なんで走ってんだ…っ》

奏真は自分で作り出した氷で石を破壊した。すると奏真の方へとわっと水が流れてきた。

《でかい彫刻作りすぎたっ。》

奏真は今更後悔した。だが、通路へと水が流れていった。そして排水溝のような場所に吸い込まれていった。メデューサと思われる2人は倒れていた。

「おい、大丈夫か。」

奏真は2人に声をかけた。

「げほっげほっ…。」

男の方が酷くむせた。

「はぁ、死ぬかと思ったぁぁ。」

女の方がむくりと起き上がり男の方の背中をパシッと叩いた。

「ばか、石の壁を作るんじゃないわよ。私たちが死ぬじゃない。」

「ご、ごめ…。」

男の方がかけていたメガネをかけ直し謝った。すると女がクルッと奏真に振り向いた。奏真はびっくりして攻撃の構えをした。だが女と男は頭を下げた。

「助けてくれて、ありがとうございますっ。」

女の方が声を出した。奏真は目を丸くして驚いた。

「め、メデューサなんだよ…な?」

奏真が聞いた。2人は頭を上げた。
 
「メデューサを誤解してる人の誤解を解きに来ました!」

女の方が元気よく言った。

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