俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです

朝霧 えてる

2章 第1話 〜フード付きのコート〜

サンシアは自分の意思とは別に髪が浮いてしまうため、髪をお団子を束ねた。THに帰るのをとりあえずの目標とし、2人は山を超えようとしていた。サンシアは大人しくトコトコ奏真の後ろを歩いた。奏真はなんと言葉をかけていいかわからなかった。姉が死んだのにこう大人しくしていられるのが逆にすごいとも奏真は思った。だが静かだとカシアのことをやたら気にしてしまうと思い奏真はしゃべりだした。

「TH辞めるの?」

かける言葉を間違えたかなと奏真は思った。

「メデューサの世界に私は馴染めるかわからない…。一応THに戻るけどもし私がメデューサになったことがばれたりしたらどうにかしようかな…。」

サンシアがぼそぼそと呟いた。いつもの敬語とタメ語の混じった喋り方ではなかった。

「まぁTHでは、俺ががっちり守ってやるから安心しろ。」

奏真がもしゃもしゃと頭をかきながら言った。

「ふふっ。本当に私のこと守ってくれるんですね。」

サンシアがニコッと笑った。

「俺の生まれてきた理由がお前だからな。」

奏真もニッと笑った。

「あと、敬語じゃなくていいからな。気使うだろ。」

「あ、ありがとう…。」

サンシアが恥ずかしそうにお礼を言った。そうこうしているうちに山を越えた。

「山超えたけど、サンシアはワープのカプセル持ってるのか?」

奏真が聞いた。

「うん、ここのポケットに…。」

サンシアが汚れた服のポケットから袋を出し、その中からカプセルを出した。カシアが持っているものとは少し違った。

「これは旧作のカプセル。声に反応していきたいところに飛ばしてくれるの。THに帰りたい!」

サンシア説明をし、場所指定をし、カプセルを握りつぶした。するとあっという間にTHの玄関入り口へ帰った。サンシアはカタカタと震えていた。メデューサとバレるのがよほど恐ろしいのだろう。奏真がサンシアの頭に手をポンッと置いた。サンシアはびくっとなった。

「へっ。」

「お団子だけじゃ心配かな。なんかフード付きのコートみたいなの持ってねーの。」

奏真がポンポンサンシアの頭を触りながら呟いた。

「こ、更衣室に多分ある…。」

サンシアが呟いた。

「服も汚れてるし着がえろ。ちなみに男服はねーの。そろそろ俺もこの世界に馴染む服が着たいんだが。」

「一緒に更衣室にい、いこ。着替えは別だよ。」

サンシアが奏真の手をパッと握り歩き出した。奏真はサンシアの手を握りもう震えてないとわかり安心し歩き出した。THに入ると数人が2人を見たが服が汚れているのもメデューサ討伐隊ではあまり珍しいことではないようでパッと見たあとは皆平然とTHの中を歩いていた。だが、遠くから1人猛ダッシュで走ってくる人がいた。

「サンシアァァァァァァ‼︎」

ワンピースからパンツが見えそうで見えず走ってきた。女だ。サンシアの目の前まで行くとサンシアに抱きついた。

「そんなに傷だらけ泥だらけになって‼︎‼︎昨日は帰ってこないしどうしたのかと思ったじゃない‼︎‼︎‼︎」

サンシアに抱きついた女は大声を出した。

「お、おばさん、ごめんね…えへへ…。」

サンシアがメデューサとバレないかドキドキしながら言った。

《おばさん…?お母さん代わりの人とかか?いやそれだとお母さんと呼ぶか?ほんとに血の繋がったおばさんなのかな…。》

奏真は2人の関係性が気になりいろいろ考えていた。

「そ、奏真さん、こちら私のお母さんのように私を育ててくれた私のお母さんの昔からの大親友パールさん。」

サンシアが抱きつかれすぎて苦しそうにおばさんの説明をした。

「あら、見慣れない顔ね、どなた?」

パールはサンシアを離し奏真を見た。

「数日前から討伐隊に入りました、奏真といいます。ドタバタしててあまりTHにはいませんでしたが…。」

「新入生の話なんて聞いてないけど?新入生に仕事が回るはずもないのにどうしてドタバタしていたの?」

パールは奏真を怪しんだ。

「お、おばさんあのね、奏真さん、異国から来たんだけど氷魔法が使えるの。だから、入ることに、お父さんの許可を得たし‼︎」

サンシアが怪しむパールに説明をした。

「氷魔法が???」

パールはますます怪しんだため、奏真は氷魔法を見せることにした。ただTHのメインホールと言っていいこの場所ではさすがにまずいとなり、修行室へと行った。サンシアは早く更衣室に行きたいようだが先に見せてとパールに言われたため、仕方なく奏真の氷魔法が使えるという証拠を見せることにした。1人で更衣室に行く勇気はないようだった。そして修行室につくと奏真は氷魔法をひょいひょいと使った。

「あ、ありえない…。初めて見たわ…」

パールは目を丸めた。奏真はパールのリアクションが面白くなりいろいろな彫刻物を修行室いっぱいに作った。

「わぉ。」

すべての彫刻物ができるとパールは目を輝かせた。そして、パールの怪しみはなくなったため、2人は更衣室へと急いだ。

「そろそろ髪がほどけそうだったので良かったです。」

サンシアが奏真の服の袖をキュッと握りながら呟いた。奏真は彫刻物を作りすぎ体力がなくなりヘトヘトになっていた。更衣室につくとサンシアが自分のクローゼットを開けた。可愛らしいロリータっぽいふわふわとした服がたくさん入っていた。 

「お、お外出てて‼︎着替えくらいは1人でもできるから…‼︎」

サンシアが奏真の背中をグイグイ押して更衣室から奏真を追い出した。

「俺の服…。」

「用意しとくから‼︎」

そしてサンシアが更衣室に戻って行って10分ほど経った。奏真は更衣室の前で寝てしまっていた。

「奏真さ…。寝てる…。か、可愛い…。」

サンシアは奏真の寝顔を見ながら顔を赤らめていた。

「お姉ちゃん…素敵な贈り物…ありがとう。う、うぅ…。」

サンシアは奏真の隣でしゃがみこみ静かに泣いた。奏真は目を覚ましていたが寝たふりをしてじっとしていた。数分後、サンシアが涙を拭いたため、奏真は動き出した。

「わりぃ、寝てたわ。」

奏真は言ってサンシアの顔を見たが思っていたより泣いたようで目が真っ赤だった。奏真はびっくりしてしまったが何も言わなかった。だが、目の真っ赤さより服が変わった可愛さに目を奪われた。

《異世界のセンスよすぎっ…‼︎うおお、幸せ…。》

奏真は思わずにやけてしまった。サンシアはにやけてる奏真にびっくりしていた。そしてサンシアは奏真に服を渡した。奏真はその場で着替え始めた。

「えっ、ちょっ、ここで着替えちゃうの?」

「上だけな。」

奏真が上の服を脱ぐとサンシアは目を輝かせた。

「き、きれい…」

奏真は腹筋は割れ、腕はきれいな筋肉がついていた。

「妹と鍛えてたからな。」

「妹さんも…?」

「あ、いや、妹は俺が筋肉ついてる方がいいって言うから妹を上に乗せて腕立てしたりしてた。」

「え、すごいっ…‼︎」

「ま、男は筋肉だろ。」

奏真がふふんと胸を張った。

「さ、触ってもいい?」

サンシアの言葉に奏真はびっくりした。

「んえ?!まぁ、いいけど…。」

奏真がそういい腕に力を入れ筋肉をモコっと出した。サンシアはそれをツンツンと触った。

「ほ、ほわぁぁ、硬い、すごいっ」

サンシアは初めてゲームを買ってもらった子供のように奏真の腕に惚れ惚れとしていた。その時だった。THの放送が流れ出した。

「メデューサ討伐隊の皆様、こんにちは、これから全体会議ですので、メインホールへとお集まりください。」

「全体会議?メインホール?」

「たまに、すごい討伐のお仕事の時に会議が行われるの。メインホールはTHの玄関入り口入ったところの広場のこと。私たちも行こうっ」

サンシアが奏真の手を引っ張り始めた。筋肉を触ってなんか元気が出たようだ。メインホールに着く前にサンシアはピタッと止まってしまった。急に自分がメデューサなったことを思い出したのだ。奏真はその様子を見てサンシアが来ていたコートのフードをばさっと持ち上げサンシアにかけた。

「ばれたら俺が守るよ。ほら、行くぞ。」

今度は奏真がサンシアの手を引っ張り始めた。

「うんっ‼︎」

サンシアはニコッと笑いながら奏真に引っ張られるがままだった。

「俺が出会ったメデューサはなんか他の奴とは違うようです」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く