それでも僕はその愛を拒む

Kanon1969

思いもよらぬ帰り道

1
もう昼時だっため、美麗に昼食を食べていかないか誘われたが、テーブルマナーに関してはほとんど学がないので断った。

その後、帰る事を伝えると同時にまだ参考書を買っていなかったため、町内の本屋の前で降ろしてもらい、美麗との別れ際に連絡先の書かれた一枚の紙を貰って、現在は参考書を買った帰り道だ。

「チッ、もう1時半過ぎか、しまった、花恋に連絡し忘れた」

時刻は1時半を過ぎていて、当初は昼前に帰宅する予定だったのだが、当初の帰宅予定時刻を大きく過ぎてしまった。

その上、この時刻になる事を花恋に伝え忘れた、はぁ花恋に余計な心配をかける羽目になっしまったな。

「無月君?」

「え?詩音?」

考え事をしながら歩いていると、突如背後から声がかけられ、振り返って見ると、そこには詩音がいた...

「やっぱり無月君だった、お買い物の帰りかしら」

「何でこんな所に?」

「私は食料品を買いに来たのよ、前に言ったでしょ、一人暮らししてるって」

「ああ、そうか」

つまり僕はちょうど食料品を買いに出掛けていた詩音とばったり出くわしてしまった訳だ。

何の因果か、まさか町で詩音と会うことになるなんて、今日は何かと面倒事が多い。

「それ参考書?相変わらずお堅いわね」

「余計なお世話だ、別に良いだろ」

「駄目なんて言ってないわよ、ただ無月君らしいなって思っただけ」

普段はこんな所で会うなんて事がないため、いつもと場所が違うだけなのにどうにも調子が狂う。

「お前はこれからか?」

詩音の手荷物を見ると買い物袋らしき物は見あたらないため、おそらくこれからスーパーにでも行くのだろう。

「ええ、これから買いに行くところよ、もし良ければ付き合ってもらえないかしら?」

「何で僕がお前の買い物に付き合わなければいけない」

「勿論ただでとは言わないわ、付き合ってくれたら今週は家に来なくても良いわよ」

今日は日曜日だから、つまり詩音の買い物に付き合っておけば来週まで詩音の家に行かなくて済むという訳か、まぁ結局は詩音に付き合わなければいけないと言う点においてはプラマイゼロだが、早く用をこなせるという点ではありがたい。

「分かった」

「ありがとう、それじゃあ早く行きましょ」


2
その後、僕は詩音の買い物に付き合うために 詩音とともに町内にあるスーパーまで移動した。

「何を作るんだ?」
 
「あまり手間のかからない物かしらね」

手間のかからない物?以前に詩音の家で食べた物はどれも手間のかかった料理に見えたが、

「前にお前の家で作ってもらった料理って、大体の物が手間のかかる料理に見えたんだが」

「ん?あれは無月君がいたからであって、私一人のためにわざわざ手間のかかる物を作る気にはならないってことよ」

「そう言うものか」

となると詩音はあの時、僕のために手間のかかる物を作ってくれたっていう事になる...少し気恥づかしいな。

「そう言うものよ、一人暮らしは確かに気楽ではあるけど、面倒事も多いから余り一つの事に時間をかけたくないのよ」

「詩音も大変なんだな、何でも卒なくこなしているのかと思っていた」
 
「人間そんなに上手く出来ていないわよ、どんなに優れた人でもどこかに必ず欠点がある、勿論私にもね」

詩音の欠点?想像がつかないな、それらしい所なんて一度も見た事がない、それに僕が詩音が何でも卒なくこなしていると思ったのは実際にその通りだと思ったからだ、勉学も僕とあまり差がないし、運動に関しては僕以上に優れている上、詩音の家はいつ行っても綺麗に片付いている。
 
そんな人間の欠点を見つけるなんて、容易な事ではない、それこそ四六時中一緒にでもいない限り僕には分かりやしないだろうな。

「だとしても、僕にはお前の欠点は分かりそうにない」

「あら、どうして?」
 
「僕にはお前の欠点なんて想像がつかない」

「そぅ、それならヒントをあげる、私の欠点は私ではない他のものよ」

「何だそれ、自分ではない他のもの?ますます分からない」

「クスッ、まぁその内分かるわよ」

その内に分かるもんなのか?僕にはまるでしっくりこない。

「はぁ、お前の言う事はいつもよく分からない」

「侵害ね、確かに聞いた直後は分からないかも知れないけど、ほとんどがその内に理解できる筈よ、いつになるかは私も知らないけど」

「そうやって、よく分からない事をすぐに言う」

「今はよく分からなくても、私は嘘を付いている訳じゃないわ、だからこそ、その内分かるのよ」

「はぁ駄目だ、分からん」

どう考えても答えが出てこない、まるで割り切れない数を永遠と割り続けているみたいだ。

「クスッ、もう買う物が揃ったから、お会計に行きましょ」

「ああ」

話しながら買い物をしていたら、気付けばもう買う物は揃っていたらしい。

僕達は会計を終え、買った物を買い物袋に入れ、スーパーを出た。

「今日はありがとう、楽しく買い物が出来たわ、またお願いするかもしれないから、その時はよろしくね」

「今回のように、その週は詩音の家に行かなくても良くなるんだったら付き合っても良い」

「はぁ、もうそこはただで付き合いなさいよ、でも無月君らしいわね」

あっ!まずい、また花恋に連絡を入れ忘れた...

急いで帰らないとまずいな、もう3時半過ぎだから、家に着く頃には4時過ぎになってしまう筈だ。

「すまない詩音、急用を思い出した、悪いが急いで帰らせてもらう」

「ええ、気を付けて帰ってよ、急ぐ余り怪我とかしないようにね」

「ああ、それじゃあな」

別れ際は、いつも僕は詩音にやたらと心配される、それが何故なのかは、いまいちはっきりしないが、自分の身を案じてくれている以上、感謝はしている。

はぁ、花恋に何て言おう、連絡の一つや二つ入れとけば良かったのに、今からでも連絡しようとしたら、携帯を家に忘れていた事に気が付いた。

花恋に確実に説教をくらうだろうが、その説教がより酷くならない内に早く帰らないと。

本当に今日は面倒事が多いな...

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