異世界はチートなカードで乗り切ろう!?

田中 凪

21.模擬戦1

訓練場に行くと刀をもった金髪碧眼のイケメン(人間族)がいた。なんか、鞘とかは黒いのに顔とか髪が日本人風ではなく欧米人風だから違和感が半端ないな…
ハルトはそう思いながら観察していたが、ほかの貴族達はそうではなかったようで、何やらヒソヒソと話していた。
「やあ、はじめましてハルトくん。君のことはウェイルから聞いてるよ」
「あ、はいえっと…」
「ああ、僕はフィレリア=ディルトだよ」
「はじめまして、フィレリアさん。(女性みたいな名前だな (ボソッ))」
ハルトが小声でそう言うとフィレリアの目が険しくなった。
「……今、何か言った?」
顔はとてもいい笑顔なのだが目が全く笑っていなかったのでとても怖い。あ、それ禁句なのか…
「い、いえ、何も言ってないです」
「ふぅん、ま、いいや」
よ、良かった。あんまり怒ってないみたいだ。
ハルトがそう安心しているとフィレリアが近づいてきて小声で
「王様には全力を出すなって言われたから半分ぐらいでやるね」
と言われた。
全力の半分の力かよ…それでも勝てる気しないんだけど…だって、この人絶対この国の最高戦力だろ…
そうこうしていると王様が審判席(と思われる場所)に登っておりわざとらしく咳をした。
「おっほん、そろそろ始めても良いか?」
「ん?ああ、そういえばそうだったね。さ、始めようか、ハルトくん」
「は、はい」
「双方、準備はいいな」
王様がそう声をかけると二人はコクリと頷く。
「では、始め!」
開始の合図と同時にフィレリアはハルトに向かって大きく踏み込み右下から切り上げる。
それを辛うじて見切れていたのでバックステップで躱す。
(あっぶねぇ、全力の半分でこれかよ!ステータスどうなってんだよ?!)
ただし、心の中で悪態をつきながら。
「へぇ、今のを躱すのかじゃあもうちょい上げてもいいよね?」
「全力で拒否します!」
ンなもん躱せるわけないだろ!あれでもギリギリだぞ!
ハルトがそう思っているとフィレリアは提案を持ちかけてきた
「じゃあ、僕が全力で行く代わりにハルトくんは一撃当てるだけで勝ちってのはどう?」
一瞬考え、聞いてみた。
「…ちなみに今のは何割ほどで?」
「んー、まあ、3割ぐらいかな」
軽い感じでフィレリアは言う。ハルトはかなりの間を置いて
「3割ぐらいであれって全力出されたら見きれないですよ!!」
ツッコミを入れた。
「仕方ないな、じゃあ君の魔道具使ってもいいよ」
あれぇ、なんか全力で戦うことになってない?模擬戦ってなんだっけ…
「どうする?殺る?殺らない?」
ダメだ、"やる"が"殺る"に聞こえるんだけど…
「このごろ全力でやれてないからちょっと欲求不満でさ」
この時、ハルトは察した。この人戦闘狂そっちか…と
(あーあー、聞こえるかもう一人の自分よ)
『メンドクセェ奴ニ絡マレタモンダナ』
(俺の聞き間違いじゃなきゃ、今目の前にいる世界でもトップクラスの実力者さんは戦闘狂のように思えるんですが…)
『ソレヨリ早ク答エテヤレヨ。ミンナシビレヲ切ラシテルゾ』
(あ、ほんとだ。あんまし答えたくないけど一撃当てるだけだしまだマシかもな…あの人を戦闘不能にする方が難しいかも)
『俺モソウ思ウ』
もう片方も同意見だったよう。
「それで?どうするんだい?」
「や、やります」
「お、いいねぇ。そう来なくっちゃ」
ホントはやりたくないけどな!
「あ、そうそう魔法は非致死性に絞らない方がいいよ。そうしないと…」
まあ、だいたい想像はつくけど聞いておこう。
「そ、そうしないと?」
「死ぬよ?」
やっぱですか。ああ、やっぱそう来ますか。そう来ますよね。知ってましたとも。
「やっぱりですか…」
「ん?想像してたの?ならいいや。早く殺ろう」
フィレリアさんの目がマジになった。だあもう!こうなったらやるっきゃねぇ!もうやけくそだちきしょー!
ハルトもフィレリアも構え直す。
最初に動いたのはハルトだった。
【ショートワープ】でフィレリアの後ろに回り込み模擬専用の短剣を首元に…
「させないよ」
だが、フィレリアは超人的な反応速度で体を回転させ、回避するとともに模擬刀で切りつける。
「くっ!」
ハルトもギリギリのところでそれを回避しつつ魔法を発動する。
「【サンダーショット】!」
「【サンドウォール】!」
しかし、それもしっかりガードされる。その後、しばらく打ち合っていたがハルトがふと気付く。
(これって、俺の魔道具も使っていいんだよな…ならアレ・・ができるかもしれない)

そこで、ハルトはアイテムカードとマジックカードを取り出し構える。
「…何をする気かな?」
「それは秘密ですよ」
「そうだね。知ったらおもしろくないからね」
ほんと、戦闘狂はやりやすいようなやりにくいような…とりあえず、フィレリアさんは子どものように無邪気に笑っていて怖かった。
フィレリアが先に魔法を発動させる。
「【ウォーターカッター】」
ハルトはマジックカードを前に出して魔法を吸収&即射出した。
「うわっと?!それがハルトくんの魔道具か…」
「まあ、正確にはその一部ですけどね」
「ふーん、まあ早く続きをやろう」
「じゃあ、こっちから行きますよ!」
ハルトはフィレリアに正面から突っ込んでいく。スキだらけのハルトにフィレリアはまっすぐしかし、常人には見ることの出来ない速さで振り下ろす。それをアイテムカードで吸収する。
「なっ?!」
さすがにこれはフィレリアでも絶句した。そして、その一瞬のスキをついて喉元に……はやはり届かなかった。
「危ない危ない。あと少しで殺られるところだった」
「ははは、あの速度でも避けられたことの方がびっくりですよ」
「まあね、伊達に数をこなしてるわけじゃないからね」
話しながらもかなりの速度で打ち合いをしている。
フィレリアはハルトの腕を掴んで投げ、
「それじゃあ、こっちも奥の手を出そう」
と言った。ハルトは身構えていつでも攻撃を避けられる準備をしておいた。
「魔力解放!【魔纏いまとい】」
フィレリアは魔力を解放し、それを鎧のように纏った。
「さて、獲物は無くなったけどこれでいいよね」
さらに、その魔力を使い魔刃を生み出す。周りで見ていた貴族達はざわつき、いくら何でも止めた方が良いのでは?と審判役をしているレスティアに視線を送るが、レスティアは首を横に振る。ハルトはというと、驚きつつも
(あれって魔力使ってるから魔法判定あるのかな?)
と、考えていた。
「さて、第2ラウンドを始めようか」
フィレリアはとても楽しそうにそう言うのだった。



はい、ようやくカードを(そこそこ)活躍させることが出来ました。区切りが悪いのは言わないで!(><)))(((><)ブンブン
そして、更新ペースは(作者のモチベ的な要因で)上がらなさそうです。すいません。そして、今回出てきた新キャラのフィレリアですが、彼こそウェイルが言っていたです。あと、魔法にも属性によって相性があります。

コメント

  • 田中  凪

    またやってたァ!!!!!!!!
    ご指摘ありがとうございます!直しときます!

    0
  • やもりん

    何故だろう……………フィリアと書かれていた文字のはずが急にフィレリアになっているように見える。錯覚か?

    1
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