攻略対象外だけど、好きなんです!

藤色

22 「落ちた桃」(3)



「湊…。お前、わざと落ちただろう…。」
「何の……ことやら……」

 緑川くん……
 誤魔化そうとしてる姿も、すごく可愛いなぁ……!

 ……じゃなくてっ!

「あ!桃!」

 そうそう桃だよ桃!
 桃のお菓子で砂原くんの胃袋を掴まないとジャン!

「よかった〜…。」

 私の手には、ちゃんと桃があった。
 記憶にはないけど、きっと空中で掴めたんだと思う。

 産毛は洗い流され、きらりと光っている。
 すごく綺麗に見えた。

「ん?雪月、どうかし……って。」

 砂原くんは黙りこんでしまった。
 心なしか、肩が震えている。

「 ?? 」
「ふふふ……あははは!!」
「なぜ……笑ってるんですか?」

 緑川くんが聞く。

 わ、私、何かまずいことしちゃったのかな?

「くく…。だっておかしいじゃないか!あの高さから落ちて、ちょっと…いや、かなり怖い思いをしたっていうのに、桃から手を離さないなんてさ!……ふふふ…。」
「…あ…えっと……」

 モウナニモイエマセン。
 コノアトドウスレバイインデスカ?

「ふふ……確かに食い意地がはってますね。」
「!!」

 緑川くんの笑顔、か、可愛いすぎっ!

「度胸があると言ってもいい。」

 伏見くんに褒められた!!
 うむうむ。
 それによく考えると、みんな笑顔だし、まぁいっか!

「……ふふっ」

 やっぱり、笑顔が一番だよね!
 うん。

 べ、別に食い意地がはってるなんて勘違いとか、どうでもいいんだからね!

 どうでもいいんだから!!!





 更新遅れてごめんなさい!

これからは不定期更新になるかもです!

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品