攻略対象外だけど、好きなんです!

藤色

9 「チーム制」

 今まで紹介できていなかった能力者を紹介しようと思う。

 一人は、ヒロイン・白井 菜々香ちゃんだ。
 菜々香ちゃんは、あまり話さない子だけど…私がお菓子を作っていたら、匂いにつられて来た。

「雪月さん、何作ってるの?」

 菜々香ちゃん、可愛いなぁ〜♡

「ステンドグラスクッキーですよ。可愛くて、美味しいんです。白井さん、食べますか?」
「ん。ていうか、雪月さん、下の名前で呼んでくれると嬉しい。」
「わ、分かりました。菜々香ちゃん、でいいですか?」
「それでいい。…もぐもぐ……クッキー、美味しい。」

 そう言って、菜々香ちゃんは美味しそうに食べる。
 か、可愛い……!

「ふふ、喜んでもらえて、私も嬉しいです!」
 「雪月さんの作るお菓子は、美味しい。また作ったら、教えてほしい。…だめ?」

 菜々香ちゃんが小首を傾げる。
 か、かわ、可愛いすぎっ!

「もちろんです。作ったら、一番に教えますね。」
「嬉しい。…約束。」

 菜々香ちゃんが小指をさしだす。

「はい、…約束です。」





 引きこもりの緑川くんに、今日の晩御飯を渡す。
 少年の名は、緑川 湊。少し警戒心強めの男の子だ。
…ちょっと、警戒心が強いだけだ。多分。

「雪月さん、いつもありがとうございます。」
「いえいえ。なにか、困ったことがあれば言ってくださいね。」
「それにしても、どうして僕を助けてくれるんですか?」
「それはーー……」

 『緑川くんが可愛いから』なんて言うと、怒らせてしまうだろうか?

「それは…なにも食べないのは不健康ですからね。せめて、料理だけでもと思ったんです。…でも、たまには食堂に来てくださいね。お待ちしております。」
「そう、ですか。考えておきます。……では、またお願いします」
「分かりました。」

 実は、緑川くんは砂原くんの次に好きなキャラクターなんだよね。
 もっと仲良くなれるといいな!




 砂原くんがみんなを集めた。
 今日は珍しく、緑川くんも来ている。
……何を話すのだろう?


「さて、今日はみんなに提案があるんだ。」
「提案……?」
「ああ。船の乗員も7人に増えただろう?毎回海斗や雪月に食事を作らせるわけにもいかないし、掃除も必要だ。あと、個人的に二階の菜園を手伝ってくれる人もほしい。そこで、二つチームを作ろうと思うんだ。それぞれの仕事を当番制で回してね。…どうかな?」
「チームか。それはいいな。」

 伏見くんが言う。
 チームか…。どうにかして、砂原くんと同じチームにならないと…!

「実は、チーム分けはもう決めてあったんだよね。まず、俺と湊とロン、それから雪月のチーム。次に、海斗と菜々香と和樹と紬のチーム。
この二組でやっていこう!じゃ、解散!」

 二組?たしか、原作は三組だったような気が……まぁいっか。






主人公がいない場面の物語です。

「おい!てめぇ何考えてんだ!」
「えー何が?いい案だろう?チーム制。」

 海斗の怒鳴りに隼が答える。

「しらばっくれてんじゃねぇよ!何で俺を白井と同じチームにした!?」
「仕方ないだろう?湊と同じチームは嫌だっていうんだから。これがベストの形なんだよ。」
「何がベストだ。白井をお前のチームに入れても成立する話だろ。」
「…………」

 隼は少し黙って、答えた。

「ああ、そういえばそうだね。気づかなかったよ。」
「絶対わざとだろ!!!」
「まぁまぁ、考えてもみなよ。このまま彼女と不和なままだと、湊に弟だってことを勘付かれる可能性だって高くなるんだよ。」
「う……!」
「仲良くなれ、とは言わないよ。でも周りに心配させないくらいには、大人の対応ができるようにならないとね。」

 そう言って、隼は説得する。

「……砂原、てめぇ……」
「そろそろ苗字で呼ぶのやめてくれないか?俺、苗字呼び好きじゃないだ。」

 隼は説得は無理だと察したのか、話を変える。

「だったら永遠に呼び続けてやるよ!誰がてめぇなんかの言うこと聞くか!」

 どうやら、話のすり替えは成功したようだ。

「……全然似てない兄弟だと思ったけど、口が悪いところだけはそっくりかもな。」

 そこで、紬が話に入ってくる。

「何だか揉めてるね。大丈夫?」
「……これが大丈夫に見えんのかよ?」

 海斗の怒りの矛先が、紬にも向こうとする。

「ふふっ、ごめんね?…それより、最後の一人、誰が乗ってくるのかな?」
「そうだね。…楽しみだ。」

 それを隼と協力し、回避する。

「………前から思ってたんだが、何で能力者が九人だって知ってるんだ?」

 回避が成功したようだ。

「ん〜、俺も人づてだから確かなことは分からないんだけど……。この船、私室が九部屋しかないだろう?だから、乗員を九人と想定して作られた船なんじゃないかな」
「なるほど。最後の一人、どんな人だろうね。」
「誰が乗ってきたって同じだろ。」
「そんなことないよ。まぁ、生まれも育ちも違う人が乗ってくるという点で言えば、同じだけど。…初めての人と出会うということは、新しい世界に触れること。ここに来て、人と会うことが楽しみになったよ。それに、能力を持っているっていう共通点もあるだろう?………それだけで、みんなを近しく思える。」
「そうだね。たとえ旅の終わりに何があろうと、今この時を楽しくしないと。」

 口には出さないが、二人もあの新聞の記事を気にしているようだった。

 あの新聞とは、「能力者同士が争いの道具にされるかもしれない」とかかれた記事のことだ。

「……そういえば、前にもこうやって話してたことがあったな。次はどんなやつが乗ってくるだろうって。紬たちのときかな?」
「へぇ、そうなんだ。予想は当たった?」
「うん、当たったよ。予想以上だったけどね。…優しくて料理上手でおしとやかな可愛い女の子を予想してたんだ。」
「ふふ、あの子はとても良い子だからね。……隼になら、任せてもいいかなぁ。」
「ん?何か言った?」
「ううん。何でもないよ。……それより」

 遠くで、声が聞こえる。
 雪月の声だ。

「はい!これからよろしくお願いしますね!」

「新しい能力者が来たみたいだね。」



 
 

 

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