ときどき、ホットミルクが飲みたくなる人生

極大級マイソン

第37話「小鹿」

 尾行すること30分。ハンバーガーショップを出た本田は、暗い路地を歩いていた。俺達は奴の後を追っている。

「クリスプうまうま」

 それにしても飯が美味い!
 サクサクでパリパリでカリカリが絶妙なハーモニーを奏でているぜ!

「作戦通りだな。奴を上手くこの道に誘導できた!」
「もぐもぐ……………………(ゴクン)。やるじゃねえか! しかしトモ、男の携帯番号なんてよく入手したよな。そっちの趣味もあったとは知らなかったぜ」
「ちげーよ! お前、俺を何だと思ってるんだ!?」
「何って、ゴキブリう○こ製造機だろう?」
「ゴキブリはテメーだろうがっ!!」

 夕暮れ時の今この時間は薄暗く、路地には俺達以外人気はない。絶好のタイミングって訳だ。
 さてと、手はずは整った。あとは俺自らの手で奴を狩るだけだ。

「おい」
「だ、誰ですか貴方は」

 俺が声を掛けると、本田は震えた様子でこちらを振り返った。根性の無い、如何にもなヘタレ野郎だ。

「お前に恨みはないが、俺の良き人生のためにここでくたばってもらう。覚悟しやがれ!」
「き、君、彼奴らの仲間なのかい? ぼくにやられた彼奴らの代わりに、仕返しにきたんだろう」

 どうやらこいつは、俺をこいつが以前倒した不良共の仲間だと思っているようだ。そんな脇役と同じにされるのは癪だが、いちいち訂正するのも面倒だ。

「ぼ、ぼくに関わるなって言っただろう! そっちがその気なら、もう一度懲らしめてやるからな!」
「上等だ三下! 格の違いってもんを教えてやるぜ!!」

 こうして、俺と本田の戦闘が始まった。

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