ときどき、ホットミルクが飲みたくなる人生

極大級マイソン

第41話「スイーツアート」

「ガアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」

 肉体をウジャウジャと震わせ、一斉に黒々く分裂させる。一万匹のゴキブリと化した俺は、峰長に向かって大行進を始める。
 その様子を見た峰長が、おもむろにスゥゥッと息を吸い込んだ。そして、

「フウウウウウウウウウウウウウウウウッッ!!!!」

 思いきり息を吹き出した。全力のブレスから発する風が、俺達の肌、いや甲殻を撫でる。
 その瞬間、俺達の身体が突然、凍りついたように動かなくなった。

『ハァッ!?』
「驚いた? 私は、対象の表面に砂糖を作る事で動きを止めることが出来るのよ。人間相手に使うには難しいけど、今の小さな貴方になら効果テキメンのようね」

 峰長が、フフンと自慢気に胸を張る。
 今の俺達の身体は、白い結晶に包まれた、まるで現代アートのような姿で固定されていた。確かに峰長の言う通り、このままでは身動き1つ取れない。

「炎化!」
「えっ!?」

 俺達は、結晶化した自身の身体をメラメラと灼熱の如く炎を上げた。すると、身体を覆っていた結晶は、みるみるうちに燃えてなくなってしまった。
 これが、この日のために獲得した能力。その1つだ。

「『自分を燃やす能力』。さあ砂糖キチガイ、勝負はこれからだ!!」

 そう叫び、俺達は燃えた状態のまま峰長に突撃した。

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