チート特典スキルは神より強い?

ゴッティー

第57話 実家4

 保管されている魔物は全て研究用に捕らえたものであり、その目的は遺伝子組み換え、性能の改良、そして大量生産の方法などを見出すためだ。動物、昆虫などとは全く違う地球には存在しない生物、魔物。魔物は一定の時間が経つと同じ場所から発生しやすい。だが、魔物が発生する原因を知る者はいない。もしこの世界がゲームと同じというなら納得なのだが、その発生条件は様々。アウルにとってはかなり研究のやり甲斐のある研究課題だ。

「それと今日からちょっと下の階でX線透視機を調整してくるからその間、何かあったらハイグレッドに聞いてほしい」

「いや、ちょっと。え? ちょっとまって…」

「あと部屋は4階層のを使って。じゃあ、また後で」

 アウルは両サイドに連れた超美少女級の”AI”メイドを連れてエレベーターへ乗り込んだ。できればアウル本人にこの研究施設についての質問をし、説明を聞きたかったゼレシアだが、彼女がアウルを呼び止めようとするときにはもう彼は淡々と話しを進めていき、結局彼は下の階へと降りていった。

 時折アウルは学院地下でもそういった事があり、特に希少度の高いものや興味のある魔法の本を見つけるといつも他の全ての物と者を後回しにし、優先的にそれを読む癖がある。そして今回がその良い例だ。というわけでこの場の6人は四階層目にある部屋を使うことになったのだが、ここへ来るのは全員がNEWなためもう少しだけでも説明と案内をしてほしかったのだが、彼はもう行ってしまったので渋々このハイグレッドという人? では無くて”AI”である執事のハイグレッドさんに案内をしてもらうことになった。

「それでゼレシア様はアウル様とどういう御関係でございますか?」

「私は…アウル君のただの友達です…」

「そして私はアウルを学院で泊めてやっている魔法学院の学院長であるベルだ」

「なるほど。そうでございましたか。ロリ長?…様いつもアウル様をありがとうございます」

「いや、全然ロリ長、言ってない。というか全然違う! 私の名前はベ、ル、だ!」

「あ、そうでございましたか。失礼いたしました。ではベル様、改めてアウル様をありがとうございます」

 何とも奇跡的な聞き間違いだ。どうしたらベルがロリ長と聞き取れるのだろうか…。それはともかく今、6人は4階層目の廊下を歩いており、ハイグレッドに部屋まで案内をしてもらっていた。ほとんど全員ハイグレッドとは仲が良くなることが出来つつあり、施設内も綺麗なため現在皆とてもご機嫌である。

「では、こちらが皆さまの宿泊部屋になる場所でございます。部屋は二部屋しかございませんが、室内は客人を招いた時の際の為に少し大きめに設計されているのでご満足いただけるかと思います」

「ここに以前、客が来たことがあるんですか?」

 するとハイグレッドが少し考え込んだ。正確に言うと彼の体内にある機械が動きシステムメモリーを読み起こそうとしており、このように考え込むポーズや表情も本来ならする必要は無い。だが、より本物らしく、そしてより感情を持っているかのように作るためこのような動作をしている。組み込まれた動作だからといって彼に感情というものが本当にあるのかは分からないが、一応アウルによって作られた行動、感情、反応パターンは普通の人間とほぼ同じ。あまり違和感は無いよう作られている。

「はい、丁度数週間前にお一人様がお越しになりました。登録名はエイド。アウル様のご友人ですね」

「両親には伝えていないにもかかわらず、そのエイドって人にはこの施設へ招待したのね」

「確か、エイド様は!#”$#%$&%$#”であり、そのためアウル様とは気が合い、秘密を共有できるということでございましたかと思います」

 ハイグレッドから文章の途中に発せられた謎の機械音。結局エイドという人がどういうわけでアウルと気が合い、秘密の共有をすることができるのかが聞き取れなかった。彼が言ったことが聞き取れなかったのはゼレシアだけでは無く、その場に立っているロリ長、エイリ、セリーヌ、ジーク、アリスだ。

「あの、エイド様はの後が何を言っているのかがわからなかったです」

「そうでしたか。すみません。彼は!#”$#%$&%$#”なのです」

 またもや先程と全く同じ機械音。ゼレシアは後ろに自分の後ろに立って彼女同様、ハイグレッドの話を聞いている他の五名の顔を確認したが、全員先程と同じ機械音で何を言っているのかがわからなかったようだ。

「あ、あなた方はまだアウル様にこの言葉を聞き取ることを許可されていないのですね」

「…。許可されていないというとどういうことですか…。」

 答えの分かりきった質問。全員はハイグレッドが言った「許可されていない」という言葉を本当は悟っていた。俺・私はアウルに信用をまだしてもらっていないのではないかと。

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