精霊たちと契約戦争

takuma

精霊契約③

暗く狭い階段を、足元を照らしながらゆっくりと降りて行った。1番下まで降りるのに結構かかった。
そこには、また扉があった。この場所に来るまでに少なくとも3つと扉を通ってきた。俺は雪笹から受け取った鍵を使い、扉を開けて部屋に入った。その部屋は薄暗く、ひんやりとした空気で少し肌寒いくらいだった。たださっきまで真っ暗なところにいたからか、異常に明るく見える。
「何だこれ。」
そこにあったものはたったひとつ。台座の上に置かれたクリスタルだけだった。
そのクリスタルは特別きれいなわけでもないのに何故か見いってしまった。きずけば俺の手はクリスタルに延びていた。触れたとき、今までにあったことのない衝撃が体の芯まで伝わってくるそしてゆっくりと意識が遠くなっていった。

「やぁ、楓。」
「・・・こ、ここは、たしか。」
そこで見た光景は、過去に1度だけ見たことがあった。そしてたった1人の精霊が目の前に浮いていた。
黒く長い髪に黒い目、そして黒い服を見に纏った少女だ。
「あの、君は。」
「やっぱりわからなかったよね。でもこの空間は見たことあるでしょ。」
「うん、あの夢だ見た光景と同じ。じゃあ、もしかして君はあの時俺に話しかけてきた。」
目の前にいる精霊は黙って首を縦に振り言った。
「次はこっちが質問しても良いかな?」
「何だ。俺の知ってることなんて何にもないぞ。」
「そんな難しい質問じゃないよ。」
精霊はニコリと笑い俺に問い掛けてきた。
「君はここへ僕と契約しに来たんだろ。それはなぜ、何で契約しようと思ったの。」
「それは、オプスキュリテと戦うためだろ。」
「それはそうなんだけど。君、まだあの害虫と戦うことに抵抗あるでしょ。」
「そんなことない、俺は戦うための力を得るためにここに来たんだ。」
「・・・そうか。君がそう言うならいいよ。じゃあ、君が僕と契約するに相応しいかテストさせて。」
「テスト。俺は何をすればいいんだ。」
「そんな難しい事じゃないよ。君は戦う才能はある。あとはあの害虫の前にでて、君がどうなるかが気になるんだよ。」
「わかった。でもそれをどうやって調べるんだよ。」
「それは簡単。君はそのまま立ってればいい。」
「何だよ。そんなんでいいのか。」
「いいのいいの。」
「そんなことで いいのか?お前  希少種  とか  言って、なんか、珍しい、って・・・。」
会話をしつつも意識が遠くなっていく、さっきまでの空間がぐにゃんぐにゃんに歪んで見える。
(な、なんだこれ。目の前が・・・。)
「大丈夫だよ、何があっても死ぬことはない。」
(死ぬ、何だよ、それ。)
意識が遠くなって目の前が暗くなっていった。

その時、上の階で待つ紅葉たちは。
「で、楓が契約するその希少種ってどんな奴なんですか?」
「希少種とは、本来精霊が使える属性に加え全く異なる能力を使える種族だ。今のところ希少種は3体しか見つかっていない。そのうちの1体はすでに契約済みだ。」
「全く、異なる能力。それって、木、火、水、地とは別のって事か?」
「うん。ただその能力ってのは、契約してからじゃないとわからない、というか教えてくれないんだよ。」
ティナは紅葉の頭の上でごろごろしなら言った。とても気持ち良さそうでおっとりとした顔をしていた。
「さっきいってた、精神がどうのこうのっていうのはなんなんですか。」
「それは、ロクな適正値を持っていない人間が希少種に干渉すると精神に大きなダメージを受ける。君たちも契約の時になにか見せられただろ。」
「はい・・・」
「それを見た感想は?」
「気分のいいものではなかったな。嫌な思い出だ。」
「うん、普通の精霊なら脅しや過去の嫌な思い出を見せるだけだ。それでも非常に辛い、ただし希少種は契約者の人間関係に深く干渉してくる。例えば・・・」
雪笹は少し間をおいて言う。
「自分の大切な人たちが殺される、とかだね。君たちが見たものなんて可愛いものだよ。」
「・・・もし、契約に失敗したら・・・どうなるんですか・・・」
「精神の崩壊、死にはしないがまるで魂が抜かれたようになる。なにも考えることができず突然暴れだしたりするかもしれない。」
「何でそんなことを楓がするんだよ。俺たちと同じ普通の精霊でもいいじゃねーか!」
「楓くんの適正値は歴代1位だ。そんな逸材をただの精霊と契約させて潰させるほど、今の我々には余裕がないんだよ。」
その台詞を聞きつい言葉に詰まってしまう。
今の言葉だけでわかる、この日本が今どれだけ追い詰められているかが。
それもそうだ、そうでもなければこんな学生や自分の娘を何時何処で死ぬかも分からないような戦場に出したりはしないだろう。
「大丈夫だ、楓くんならきっとやってくれる。彼を信じるんだ。」

「ここは、何処だ。」
見覚えのない景色、ただそこはとても荒れ果てていてひどい有り様だ。
少し離れた場所から地響きが聞こえる。
「何だ、地震か。」
なにか違う、その地響きはだんだんこちらにちかずくる。音だけでなく何か大きな物体がこちへちかずいくて来るようにも感じた。
その地響きが足音のようにも聞こえたからだ。
その感覚は間違えてではなかった。少し離れた場所で土煙がたち、ちかずいてくる物が明らかになってきた。
それは、過去に数回だけ見たことがある、巨大な虫。
「何だあれ、何であいつらがここにいるんだよ。」
『オプスキュリテ』だ。
学校で奴らと会ったときは、藺草もいたし一応武器もあったし、相手の数も3体だった。
他が今回は違う。
回りには武器のようなものもなく、相手の数は確認できるだけで10体はいる。
そいつらはどんどんこちらへちかずいてくる。
足がすくんで動かない、逃げることもできない。
きずけばやつらはもう目の前に来ていた。
思わず両腕が顔の前に出る。数秒後恐る恐る目の前を見てみる。
するとそこにはさっきの荒れ果てた景色とは一変、とてもきれいな青い芝生の上にいた。見渡す限り周りは青い芝生。それだけだ。
「「「楓!!!」」」

その時、後ろから聞き覚えのある3人の声がした。

振り向くとそこには、紅葉、エマ、藺草の姿があった。
「皆、どうしてここにいるの?」
その時の3人の様子は少しおかしく見えた。
「おいおい、無視かよ。姉貴どうしたんだよ。」
(ドサッ・・・)
いきなりエマが倒れた。

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コメント

  • 鬼怒川 ますず

    展開が良い感じに進み、キャラクターの動き以上の物事が進むのも良いかと思います。
    面白かったです( ´ ▽ ` )

    1
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