精霊たちと契約戦争

takuma

精霊契約②

目の前に赤と緑と黒い光がある。その光はそれぞれ紅葉、エマ、藺草を包み込んだ。外からでは何も見えないが、その光は相変わらず美しく綺麗だった。
これがもう30分程続いている。
「エマくんが一番早く終わるみたいだね。」
周りにあった緑色の光がゆっくりとエマを中心に消えていった。
「ふー。」
エマは小さなため息とは違う息をはいた。
「お疲れ様。」
「楓くん!キャッ・・・。」
立ちくらみがしたのかバランスを崩して倒れそうになるエマに俺は手を伸ばした。
「大丈夫か。」
「大丈夫だよ。あ、ありがとうね。」
「「あ・・・。」」
そこにはエマの顔が、すぐ目の前にあった。
もう少しこのままでもいいと思ってしまったが司令の目もあって、俺はすぐにエマから離れた。
「ご、ごめん。」
「いや!私は大丈夫 だよ・・・。」
「え?」
「だから、その・・・。」

「あー、終わった。何か疲れちゃったな。」
「私もー、ジュース飲みたいなー。」

エマが何かを言いかけたところで、紅葉と藺草が帰ってきた。紅葉は明るかったが、藺草はドッと疲れた様子だった。
「お疲れ様、2人とも。藺草は随分と疲れてるな。」
「それが、俺の契約した精霊ってのがちょっとよくわからんやつでなー。」
「何だそれ、どんなやつなんだよ。」
「なんかちょっと偉そうで、少し話しただけなのにドッと疲れた。」

「俺と会話をして疲れたなんて、酷い奴だな。それと精霊ではなく〈ジン〉だ。」
強めな口調で横から会話に入ってきた。
「何でお前が今出てくんだよ。」
「何でと言われても俺はお前と契約したんだから、契約者の側にいてもおかしくはないだろ。」
「そう言うとじゃなくてな。」
「まぁ、良いではないか。ガハハハハハッ!」
藺草は思わず大きなため息をつき、黙って俺を見てきた。

「ジン、うるさいですよ。」
「そうだねー。」
聞きなれない声が今度は紅葉とエマの方から聞こえてきた。
「うるさいとはなんだ。新人の契約者に精霊との付き合い方を教えてやっているんだぞ。」
「そんなこと言って、ジンが一番楽しそうだよね。」
「そうですね。まぁ、こんな単細胞はほっといて私たちも自己紹介位はさせてもらいましょう。」
「そうだねー。じゃあ、そっちからいいよー。」
「分かりました。初めまして私はエルフの〈リネ〉と言います。この度、エマさんと契約させて頂きました。これからよろしくお願いします。」
そう言うと礼儀正しく深々と頭を下げた。
「次は私の番だね。私は〈ティナ〉、サラマンダーだよ!紅葉ちゃんと契約したんだ!こんな可愛い子と契約できるとは思わなかったよ。」
「あぁ、よろしく な。えーと、そのエルフとかサラマンダーって言うのは?」
「それは種族だよ。ちなみにジンはドワーフ、フーはウンディーネだよ。」
「種族によって得意とする魔法が異なるんです。エルフは木属性、サラマンダーは火属性、ウンディーネは水属性、ドワーフは地属性を得意とします。」
「まぁ、精霊の挨拶はこのくらいで良いだろう。楓くん今度は君の番だよ、ついてきてくれ。」
そう言い雪笹は歩き出した。

「どこにいくんです、ここで契約しないんですか。」
「楓くんが契約するのは希少種だからね。」
「こんなパッとしない奴が希少種と契約するのか?おうおう、スゲーなそいつにそんな才能がなー。」
「ジン、何を楽しんでいる。」
「フーの言う通りだよ、希少種とそんな簡単に契約できるわけないじゃん。」
「・・・あ、あのー・・・。」
「それなら大丈夫だと思いますよ。精霊さん方。」
「ですが、無理をすれば彼の精神は・・・。」
雪笹と精霊たちは真剣な表情で話を進める。俺の話は聞いてくれそうにない。
「お前らそんな話をする前に、そのガキをよく見てみろよ。」
ジンそう言うと、精霊たちは俺の事をじっと見つめてきた。
「あっ。本当に凄いですね、これは。」
「そうみたいだねー。なんかここまで凄いとちょっと怖いくらいだよ。」
「それに、雪笹司令がそこまで言うなら信じていいんじゃない?」
「そうだな。」
「そうですね。」
「あの、俺の話は聞いてる?」
「と、言うことで楓くんついてきてくれ。」
「は、はぁー。」
俺の返事を聞くより先に雪笹は歩き始めた。

部屋の隅にある少し錆び付いた古い扉があった。雪笹はズボンの右ポケットから1つの鍵を取り出した。その鍵も同様、少し古く錆び付いていた。
「さぁ、この先だよ。楓くん。」
「随分と暗いですね。それに結構狭い。」
扉の向こうは暗く、長い階段が続いていた。
「それじゃあ、この鍵を。あと暗いから気を付けて、転んだりしないようにね。それと、ここからは1人で行ってもらう。」
「え、1人で行くんですか?」
「あぁ、悪いがそれが決まりだ。耐性のない人間がこの先に入ると厄介なことになるからな。」
「まぁ、そう言う決まりなら。」

[厄介な事]と言うのが少し気になったが・・・。
俺は携帯のライトで足元を照らしながら階段を降りていった。

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