精霊たちと契約戦争

takuma

正体

「楓ーーー!ちょっと待ってよー!」
学校への登校中、朝だというのにとても大きく、元気な声が俺を呼び止める。
「朝から元気だなー、姉貴。」
「そうかなー、いつもと同じだと思うんだけど。それよりなんで先に行っちゃったの?」
「だって、何回も起こしたのに起きねえんだもん。あのままだと、俺も遅刻だ!」
「小さい時の楓はー、もっと優しかったんだけどなー!」
俺は思わずため息をはいた。
こいつの名前は、俺〈 遠大 楓〉の
双子の姉〈遠大 紅葉 〉。
黒く長い髪で前髪はピンで止めていて、鳶色の目の中には黒い瞳が見える。
好きなことは色々な生物について、調べることだ。哺乳類や鳥類、昆虫、魚類についても結構知っている。

きっと起きたのはついさっきなのだろう。髪はしっかりとセットしてあるが、制服が少しよれていてリボンは外れ掛けていた。
「もう少ししっかりしてくれよなー、双子と言っても一応俺の姉貴なんだからさー。」
「何言ってるのー、私はしっかりしてるよーだ。」
そんなくだらない話をしながら俺たちは、
『国立埼玉第二高等学校』に向かった。

学校につくと前には、周りの生徒とは少し違った輝くオーラを放つ生徒が歩いていた。
「エマちゃーん!おっはよーーー!」
俺の隣にいた紅葉はそう言って駆け寄った。
すると、その女の子はこっちを向き笑顔で
「おはよう、紅葉さん。」
「エマ、おはよう。」
俺も後に続ける。
「楓くん!お、おはよう。」
そう挨拶し返してくれた彼女は、
〈 葉月・エマ・カローラ〉日本人とフランス人のハーフだ。亜麻色の髪は艶があり、青い瞳はサファイヤのようにとても美しい。
俺たち3人は同じクラスで、エマとは席も近くすぐに仲良くなった。

俺たちが教室に入る。いつもと同じ教室だ。
教室にはいくつかのグループが出来ている。
今はこんな感じだが、行事の体育祭や文化祭は皆が協力して出来る結構いいクラスだ。
うちの学校はクラス替えがない、だから2年も3年もこの同じクラスのままだ。新しい生徒が来るとしたら転校生くらいだろう。

気づくともうホームルームが始まる時間になっていた。
「みんなおはよー、ファーーァ。」
担任の〈 美健 柚子〉先生があくびをしながら教室に入ってきた。
「先生今日も眠そうですね。」
「あー、最近忙しくてー。」
先生は目をこすりながら言った。
「あ、時間だー!もう行かなくちゃ、みんな頑張ってねー!」
そう言うと先生はさっそうと教室を出ていった。
「先生大変そうだね。」
「だね、体調とか崩さなきゃいいけどー。」
エマと紅葉が心配そうに言った。
「まぁー、あんな事件が起きたからなー。学校側としてもまだ安心し切れないんだよ。」

(2105年1月21日)
もうすぐあの事件から2ヶ月がたつ、今のところここまで被害は来ていないが、いつ奴らがここまで来るかは分からない。
1時間目の始まりのチャイムが鳴り、授業が始まった。
この学校の授業は自分たちの机に埋め込まれているパネルで行われる。
正直授業は楽だ。
授業の始まる前に送信されるデータを整理しておけばいいし、それを見て勉強しておけばテストはなんとかなる。
今どきの学校は、ほとんどがこんな感じだろう。
その作業を続けていると、きずけば午前の授業が終わっている。

「楓ー、遊びに来たぞー!」
昼休みになってすぐに廊下から俺を呼ぶ声がした。
「何だ、藺草か。」
「何だってなんだよー、ひでーなー!」
「あははー、ごめんごめん。」
こいつは〈 和温 藺草〉。
目は俺同じで黒、髪は生まれた時から茶髪。
ガキの時からの草連で、家も近く両親も仲がいい。
「お!いぐさっちー!」
「おーぅ!紅葉さんにエマさんっ!いやー、今日もお綺麗ですねー!」
「あ、相変わらずだね。いぐさっち・・・」
紅葉は呆れたように言った。
「当然!僕は、お二人に会うために学校に来ているようなものですから!!」
「藺草くん。顔、近い・・・」
藺草には聞こえていないみたいだ。
「もー、楓ー!助けてよー!」
「あー、はいはい。」
呼んでもきずきそうではなかったから、俺は藺草の顔に手を置いて無理やり引き離した。
「おいおい、ちょっと落ち着けって!」
「おわーーーっと!これは失礼!」
藺草は我に返ったように、ネクタイを締め直した。
こんなやつだが結構いいやつなんだが。

「あ!雨降ってきちゃったよ!!」
「え、でも晴れてるよ?」
俺は窓の外を見た。
「本当だ。でも、雨の色なんかおかしくねーか?」
藺草が窓の外をよく見ながら言った。
「そんな訳って、あれ本当だ。」
最初は冗談だと思っていたけどよく見るの雨ではなく緑色の液体が降ってきていた。
だが、その液体はすぐにやんだ。
鐘が鳴った、授業まではまだ時間がある。放送の鐘だ。
[問題が発生しました。生徒の皆さんは地下の核シェルターに避難してください。]
その放送のあと俺は嫌な予感がした。
(ブーンッ!)
その予感は的中、窓の外には大きな黒い物体が何匹か見えた。
数秒の沈黙が続いたあと、多くの人が叫びながら廊下を駆けている。
その声でようやく皆も現場を把握した。
そうだ、奴らがここまで来たということだ。
「紅葉、エマ、藺草!俺たちもシェルターに逃げるぞ!」
「うん!」
俺たちも皆に続いてシェルターへ向かった。

シェルターは1階にある、俺たちが1階に着いたその時だ。
(ドカーン!)
階段の向かいにある壁が崩れ落ちた。
そこに空いた穴の向こうには巨大なクモが見えるだけで3匹はいた。
「くそ!これじゃ逃げられない!」
「楓!これを!」
藺草が投げてきたものを受け取る。
「これって、鉄パイプ!?これどうしたんだよ。」
「そんなの後でいいだろ!こいつらを何とかしねーと!」
「あ、あぁ!紅葉たちはそこを動かないでくれ!」
「え、まって楓くん。危ないよ!」
「大丈夫だよ!たぶん・・・」
俺は鉄パイプを強く握り直して、奴らに殴りかかった。
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は目の前にいるでかいクモの頭を殴り飛ばした。
「あれ、以外と行けるかも!」
「楓ー!後ろー!!」
紅葉が大声で叫んだ。俺は後ろを見ると、もう目の前にはでかいクモが俺に飛びかかってきていた。
「やば!!」
(ドスッ!)
藺草が横から突っ込んできて飛びかかってきていたクモを殴って地面に叩きつけた。
「バカ!油断してんじゃねーよ!」
「藺草、わりー。助かった。」
(ガサガサ)
「くそっ、効いてねえのかよ!」
「みたいだな。」
俺と藺草は2人で飛びかかろうとした。
しかし、足が急に動かなくなった。
「え!なんだよこれ!」
「まさか、クモの糸か?」
足を引き離そうとするがなかなか離れない。
「クモの糸ってこんなに粘着力ないだろ!」
(ガサガサ)
動けない俺たちにクモが容赦なく襲いかかってきた。
「くそっ!」

「やぁーーーーーーーー!!」
(グサッ、ドサ。)
目の前にいたクモの足がバサバサと切り落とされ、分からないが緑色の液体が吹き出してきた。
「み、みなさん、大丈夫 ですか?」
俺は死なずにすんだとは、安堵できたが、それよりこんな害虫を一撃で仕留めてしまう彼女の存在が気になって仕方がなかった。

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