なんでも【美少女化】するスキルでハーレム作ります ~人も魔物も無機物も俺も!?~
第16話 石像
魔女の森。
そう呼ばれるその森は、うっそうと茂った木々が光を遮り常に薄暗い。その薄闇の中に響くのは虫と獣の声、あるいは悲鳴とも木霊ともとれない謎の音。
別に入ったものは帰れないとかではなく、近隣の住民はごく普通に出入りし、薬草やキノコをとってきたりする。
ただしけして深入りしてはいけない。森の奥には魔女が住む。森の魔女に出会ってはいけない。
君が人間でいたいのならば……
「と、いうのがこの魔女の森の言い伝えかしら」
俺らを先導して森をずんずん進む金髪少女、ベルディアーダは言った。
「言ってるわりには進む足に全然遠慮がないんだが」
「私はいいのよ。でも気を付けてね、魔女がいるのはホントかしら」
「俺、こういうとこ苦手なんだよなあ……うわっ!?」
「どうしたマット」
「み、見ろ見ろ、えげつない色と形した虫! こええ」
「ほっとけよ……」
ベルディアーダが斡旋した仕事を受けることにした俺らは彼女に連れられ、ギルドからだいぶ遠いところにある魔女の森にやってきていた。
「おれはなんか懐かしい感じだ。森の中は落ち着くぞ」
「おれもおれもー。でもこの体だと木登りしづらいな」
狼のフェンと猿のモンチーは怪しげな森も居心地がいいらしい。ちなみにジークンはベナスの街の方が楽しいそうなのでお留守番。
そもそも俺だけいればいいらしいのだが、念のため俺、マット、ルナル、フェン、モンチーのメンバーで来ていた。
「私は情報通でね、普通は知られないような情報もたくさん知っているかしら。この仕事もその筋の依頼かしら」
「魔女からの依頼……たしかに普通は受けられないでしょうね」
「でもルナル、お前も魔女っちゃ魔女だろ?」
「違うのよ、魔女っていうのは魔術師の女性の中でも特別な称号なの。魔術師と比べると怪しくて不気味で陰鬱とした印象のある称号よ」
「ただの悪口になってないか? それ」
「その分仕事も少なくなると思うでしょ? それが狙いなの。つまりそんな悪印象を吹っ飛ばすほどの魔術の能力があって初めて魔女を名乗れるのよ。請け負う仕事もひとつひとつが莫大な報酬が伴うわ、闇の仕事も多くなるしね」
「ははあ……」
「ルナルは魔女になりたいんだよな!」
「もっちろん!」
モンチーに問われるとルナルは目を輝かせた。
「魔女はまさに魔術師として最高峰の実力の証明! 森羅万象を業として、魑魅魍魎を友となす! 魔術師として憧れるわー、実は今回魔女に会えるのもけっこう楽しみなのよ」
「魔術師の価値観はわからんな……」
「そうかしら? 私も魔女は好きよ、楽しいかしら」
「うわっ、見ろ見ろえげつねえ形の虫! カミキリムシとか久々に見たぞ!」
いまいち緊張感のないまま、俺らは魔女の森を進んでいった。
やがてその家はいきなり俺らの前に姿を現した。
「意外に普通の一軒家だな……」
「そりゃそうよ、魔女だって人間かしら。森の奥に住んでるのもそっちの方が楽ってだけかしら」
ベルディアーダはやはりためらわずに突き進み、あっさりとドアを開いた。
「お、おい、いいのかそんな無造作に。魔女がいるんだろ?」
「今はいないかしら。まあ遠慮せずにあなたたちも入るかしら」
ベルディアーダに促され、俺らもおそるおそる中へと入っていった。
そして驚いた。
「うわっ」
「な、なんだこれ」
巨大な本棚。何かよくわからない生物が入ってる檻が大量に積み上がっている。蝋燭が紐もなくあちこちに吊るされて灯りとしている。木製の机や椅子など生活感もある。
だが、広すぎる。外から見た時はただの一軒家だったのに、中はどう見てもその数倍はある。梯子で繋がった上階も3段あるし、とにかくありえない広さだった。
「すごい! 空間魔法で中を拡張してあるのね! ここまでの広さを安定させるなんて……!」
「こ、これも魔法の産物なのか」
「ええ! 相当魔法陣に精通してないとできないわよ! やっぱり魔女は魔女なんだわ! うひひひひひひっほーははー!」
「ものすごい笑い方するなルナルさん」
「いつものことだよ」
テンションが上がるルナルを置いて、ベルディアーダは静かに部屋の中心へと進む。そしてこともなげに適当な椅子を引っ張り出すと俺らに向かって座り、迎え入れるように両手を広げた。
「ようこそ、我が家へ。改めて自己紹介するかしら、私は『森の魔女』ベルディアーデ・ノルリアーナ。歓迎するかしら」
えっ、と俺らは驚いた。だがその驚きも吹き飛ぶほどに、ルナルが爆発した。
「ええええーーーっ!? あ、あなたが魔女さまですかぁ!?」
軽くひくぐらいの速度でベルディアーデに近づくと傅いて手を握った。
「すごいです! 憧れちゃいます! 尊敬します! まさか魔女さまと会えるなんて……!」
「ふふふ、嬉しいかしら。でも、あんまり持ち上げられると、今回は恥ずかしいかしら」
「え、えーとだな。つまりベルディアーダ、あんたが魔女からの依頼を斡旋したというのは嘘で、あんた自身が魔女だ、と?」
「ええ、そういうことかしら。黙ってて悪かったかしら、魔女はミステリアスさが商売道具でもあるから、正体は秘密にしてほしかったのかしら」
「でもあんた、どう見ても俺らと同じくらいの年齢だよな? それなのに……」
「何言ってんのセイ! 魔女が見た目通りの年齢なわけないでしょ!」
「そういうこと。こう見えてもけっこうなおばあちゃんなのかしら~」
ベルディアーデは徒っぽく笑うと、パンパンと手を叩いた。するとどこからか椅子が人数分、ひとりでに飛んできて俺らの後ろへとスタンバイした。勧められ、俺らはとりあえず座った。フェンとモンチーの座り方は微妙だったが。
「うふふ、若返りを依頼してもいいんだけど……今回は別の仕事かしら」
ベルディアーデは怪しげに微笑む。そしてパチンと指を鳴らすと、椅子と同様にひとりでに運ばれてくるものがあった。
それは石像だった。かなり精巧にできている。
「石像……? ものすごいクオリティだな」
「一瞬ビビったよ、生きてるみたいだ」
俺とマットが驚いたように、その石像の出来栄えは恐ろしいほどだった。成人男性をかたどった石像は細部まで作り込まれており、本当に生きているようだった。それも何かに恐怖し苦しみもがいているようなところを固めたような、凄惨なシーンを切り取った石像だ。
「これ、ベルディアーデが作ったのか?」
「いいえ、違うかしら。違うから依頼なのよ……ルナルちゃんは、薄々感じ取ってるんじゃないかしら?」
見れば、ルナルは石像を見て俺らとは別の種類の驚愕の表情をしていた。冷や汗が流れ、一心に石像を見つめている。
「どうかしら?」
「はい……これ、ひょっとして……人間、ですか?」
「その通りかしら」
その言葉に俺らは大いに驚いた。
「に、人間!? この石像がか」
「ま、まさか、人間が石にされたもの……ってことなのか?」
「ええ、その通りかしら。これは私がある洞窟の奥で見つけたもので、けっこう古い時代のものかしら。なんの理由かはわからないけれど、強烈な石の呪いがかかっていて……実は私でも解けなかったのかしら」
「えっ、魔女さまでもですか!?」
「そうなのかしら。仮にも魔女を名乗る人間が呪いのひとつも解けないなんて名折れでしょ? でもできなかったのよねー。だ・か・ら」
ベルディアーデは俺を指差した。
「あなたの出番……ってわけ。私からの仕事は、この石像に【美少女化】をかけてほしいのかしら」
「えっ……せ、石像に?」
「ええ。物質にもかけられないかしら? そのスキル」
「た、たしかかけられるはずだけど……石化を解くんじゃないのか?」
「そのつもりだけど、私としてはこの子が喋られるようになればそれでいいのかしら。興味があるのはこの子が石化された経緯と、当時の時代の人間が知る情報……うふふ、情報通は本当かしら。魔術師はえてして耳年増なのかしら、ねえルナルちゃん?」
「はい! 私もすごい耳年増です! そりゃもうえげつないほど!」
「誇張はしなくていいかしら」
さて、とベルディアーデは一呼吸をおく。
「とりあえずスキルかけてみて欲しいかしら。ダメだったらその時はその時かしら」
「まあ、俺は別にいいが……変化後の指定とかあるか?」
「そうねー、せっかくだし私の小間使いにしちゃいたいから、私の妹ってイメージでお願いするかしら」
「了解」
俺は石像に手を向け、ベルディアーデの姿からその妹をイメージする。髪は金髪で彼女よりは短め、背は一回り小さく服は……こんな感じか。
イメージを決めるとスキルを放つ。石像が光に包まれた。
「なるほど、面白いスキルかしら。さてさて……」
興味深げに見つめるベルディアーデの前で、石像は変化していく。美少女の石像に変わるだけじゃなけりゃいいが……俺も不安げに経過を待った。
やがて光が晴れた時、そこにいたのは石像ではなかった。
「……え」
そこに現れた少女自身が声を出す。ベルディアーデとよく似た顔立ちになった元石像の少女は己の姿を見て、目をぱちぱちとさせていた。
「こ、ここはどこだ? 私はあいつと……き、貴様らは何者だ!? いったい……」
「おお、思った通りかしら、石像の中身がそのまま【美少女化】したかしら。ありがとうセイ、あなたのおかげかしら」
「成功したようで何よりだ。そういえば報酬ってどうなるんだ?」
「話してなかったかしら? そうね、まずは報酬金と……」
「ちょちょちょっと待て貴様ら! 私の話を聞けー!」
「まずはこっちから聞きたいことがいっぱいあるかしら。うふふ……」
かつて人間の男性であっただろう石像がさらに変化した美少女。それを見て魔女は怪しく微笑み、少女は顔をひきつらせた。
そう呼ばれるその森は、うっそうと茂った木々が光を遮り常に薄暗い。その薄闇の中に響くのは虫と獣の声、あるいは悲鳴とも木霊ともとれない謎の音。
別に入ったものは帰れないとかではなく、近隣の住民はごく普通に出入りし、薬草やキノコをとってきたりする。
ただしけして深入りしてはいけない。森の奥には魔女が住む。森の魔女に出会ってはいけない。
君が人間でいたいのならば……
「と、いうのがこの魔女の森の言い伝えかしら」
俺らを先導して森をずんずん進む金髪少女、ベルディアーダは言った。
「言ってるわりには進む足に全然遠慮がないんだが」
「私はいいのよ。でも気を付けてね、魔女がいるのはホントかしら」
「俺、こういうとこ苦手なんだよなあ……うわっ!?」
「どうしたマット」
「み、見ろ見ろ、えげつない色と形した虫! こええ」
「ほっとけよ……」
ベルディアーダが斡旋した仕事を受けることにした俺らは彼女に連れられ、ギルドからだいぶ遠いところにある魔女の森にやってきていた。
「おれはなんか懐かしい感じだ。森の中は落ち着くぞ」
「おれもおれもー。でもこの体だと木登りしづらいな」
狼のフェンと猿のモンチーは怪しげな森も居心地がいいらしい。ちなみにジークンはベナスの街の方が楽しいそうなのでお留守番。
そもそも俺だけいればいいらしいのだが、念のため俺、マット、ルナル、フェン、モンチーのメンバーで来ていた。
「私は情報通でね、普通は知られないような情報もたくさん知っているかしら。この仕事もその筋の依頼かしら」
「魔女からの依頼……たしかに普通は受けられないでしょうね」
「でもルナル、お前も魔女っちゃ魔女だろ?」
「違うのよ、魔女っていうのは魔術師の女性の中でも特別な称号なの。魔術師と比べると怪しくて不気味で陰鬱とした印象のある称号よ」
「ただの悪口になってないか? それ」
「その分仕事も少なくなると思うでしょ? それが狙いなの。つまりそんな悪印象を吹っ飛ばすほどの魔術の能力があって初めて魔女を名乗れるのよ。請け負う仕事もひとつひとつが莫大な報酬が伴うわ、闇の仕事も多くなるしね」
「ははあ……」
「ルナルは魔女になりたいんだよな!」
「もっちろん!」
モンチーに問われるとルナルは目を輝かせた。
「魔女はまさに魔術師として最高峰の実力の証明! 森羅万象を業として、魑魅魍魎を友となす! 魔術師として憧れるわー、実は今回魔女に会えるのもけっこう楽しみなのよ」
「魔術師の価値観はわからんな……」
「そうかしら? 私も魔女は好きよ、楽しいかしら」
「うわっ、見ろ見ろえげつねえ形の虫! カミキリムシとか久々に見たぞ!」
いまいち緊張感のないまま、俺らは魔女の森を進んでいった。
やがてその家はいきなり俺らの前に姿を現した。
「意外に普通の一軒家だな……」
「そりゃそうよ、魔女だって人間かしら。森の奥に住んでるのもそっちの方が楽ってだけかしら」
ベルディアーダはやはりためらわずに突き進み、あっさりとドアを開いた。
「お、おい、いいのかそんな無造作に。魔女がいるんだろ?」
「今はいないかしら。まあ遠慮せずにあなたたちも入るかしら」
ベルディアーダに促され、俺らもおそるおそる中へと入っていった。
そして驚いた。
「うわっ」
「な、なんだこれ」
巨大な本棚。何かよくわからない生物が入ってる檻が大量に積み上がっている。蝋燭が紐もなくあちこちに吊るされて灯りとしている。木製の机や椅子など生活感もある。
だが、広すぎる。外から見た時はただの一軒家だったのに、中はどう見てもその数倍はある。梯子で繋がった上階も3段あるし、とにかくありえない広さだった。
「すごい! 空間魔法で中を拡張してあるのね! ここまでの広さを安定させるなんて……!」
「こ、これも魔法の産物なのか」
「ええ! 相当魔法陣に精通してないとできないわよ! やっぱり魔女は魔女なんだわ! うひひひひひひっほーははー!」
「ものすごい笑い方するなルナルさん」
「いつものことだよ」
テンションが上がるルナルを置いて、ベルディアーダは静かに部屋の中心へと進む。そしてこともなげに適当な椅子を引っ張り出すと俺らに向かって座り、迎え入れるように両手を広げた。
「ようこそ、我が家へ。改めて自己紹介するかしら、私は『森の魔女』ベルディアーデ・ノルリアーナ。歓迎するかしら」
えっ、と俺らは驚いた。だがその驚きも吹き飛ぶほどに、ルナルが爆発した。
「ええええーーーっ!? あ、あなたが魔女さまですかぁ!?」
軽くひくぐらいの速度でベルディアーデに近づくと傅いて手を握った。
「すごいです! 憧れちゃいます! 尊敬します! まさか魔女さまと会えるなんて……!」
「ふふふ、嬉しいかしら。でも、あんまり持ち上げられると、今回は恥ずかしいかしら」
「え、えーとだな。つまりベルディアーダ、あんたが魔女からの依頼を斡旋したというのは嘘で、あんた自身が魔女だ、と?」
「ええ、そういうことかしら。黙ってて悪かったかしら、魔女はミステリアスさが商売道具でもあるから、正体は秘密にしてほしかったのかしら」
「でもあんた、どう見ても俺らと同じくらいの年齢だよな? それなのに……」
「何言ってんのセイ! 魔女が見た目通りの年齢なわけないでしょ!」
「そういうこと。こう見えてもけっこうなおばあちゃんなのかしら~」
ベルディアーデは徒っぽく笑うと、パンパンと手を叩いた。するとどこからか椅子が人数分、ひとりでに飛んできて俺らの後ろへとスタンバイした。勧められ、俺らはとりあえず座った。フェンとモンチーの座り方は微妙だったが。
「うふふ、若返りを依頼してもいいんだけど……今回は別の仕事かしら」
ベルディアーデは怪しげに微笑む。そしてパチンと指を鳴らすと、椅子と同様にひとりでに運ばれてくるものがあった。
それは石像だった。かなり精巧にできている。
「石像……? ものすごいクオリティだな」
「一瞬ビビったよ、生きてるみたいだ」
俺とマットが驚いたように、その石像の出来栄えは恐ろしいほどだった。成人男性をかたどった石像は細部まで作り込まれており、本当に生きているようだった。それも何かに恐怖し苦しみもがいているようなところを固めたような、凄惨なシーンを切り取った石像だ。
「これ、ベルディアーデが作ったのか?」
「いいえ、違うかしら。違うから依頼なのよ……ルナルちゃんは、薄々感じ取ってるんじゃないかしら?」
見れば、ルナルは石像を見て俺らとは別の種類の驚愕の表情をしていた。冷や汗が流れ、一心に石像を見つめている。
「どうかしら?」
「はい……これ、ひょっとして……人間、ですか?」
「その通りかしら」
その言葉に俺らは大いに驚いた。
「に、人間!? この石像がか」
「ま、まさか、人間が石にされたもの……ってことなのか?」
「ええ、その通りかしら。これは私がある洞窟の奥で見つけたもので、けっこう古い時代のものかしら。なんの理由かはわからないけれど、強烈な石の呪いがかかっていて……実は私でも解けなかったのかしら」
「えっ、魔女さまでもですか!?」
「そうなのかしら。仮にも魔女を名乗る人間が呪いのひとつも解けないなんて名折れでしょ? でもできなかったのよねー。だ・か・ら」
ベルディアーデは俺を指差した。
「あなたの出番……ってわけ。私からの仕事は、この石像に【美少女化】をかけてほしいのかしら」
「えっ……せ、石像に?」
「ええ。物質にもかけられないかしら? そのスキル」
「た、たしかかけられるはずだけど……石化を解くんじゃないのか?」
「そのつもりだけど、私としてはこの子が喋られるようになればそれでいいのかしら。興味があるのはこの子が石化された経緯と、当時の時代の人間が知る情報……うふふ、情報通は本当かしら。魔術師はえてして耳年増なのかしら、ねえルナルちゃん?」
「はい! 私もすごい耳年増です! そりゃもうえげつないほど!」
「誇張はしなくていいかしら」
さて、とベルディアーデは一呼吸をおく。
「とりあえずスキルかけてみて欲しいかしら。ダメだったらその時はその時かしら」
「まあ、俺は別にいいが……変化後の指定とかあるか?」
「そうねー、せっかくだし私の小間使いにしちゃいたいから、私の妹ってイメージでお願いするかしら」
「了解」
俺は石像に手を向け、ベルディアーデの姿からその妹をイメージする。髪は金髪で彼女よりは短め、背は一回り小さく服は……こんな感じか。
イメージを決めるとスキルを放つ。石像が光に包まれた。
「なるほど、面白いスキルかしら。さてさて……」
興味深げに見つめるベルディアーデの前で、石像は変化していく。美少女の石像に変わるだけじゃなけりゃいいが……俺も不安げに経過を待った。
やがて光が晴れた時、そこにいたのは石像ではなかった。
「……え」
そこに現れた少女自身が声を出す。ベルディアーデとよく似た顔立ちになった元石像の少女は己の姿を見て、目をぱちぱちとさせていた。
「こ、ここはどこだ? 私はあいつと……き、貴様らは何者だ!? いったい……」
「おお、思った通りかしら、石像の中身がそのまま【美少女化】したかしら。ありがとうセイ、あなたのおかげかしら」
「成功したようで何よりだ。そういえば報酬ってどうなるんだ?」
「話してなかったかしら? そうね、まずは報酬金と……」
「ちょちょちょっと待て貴様ら! 私の話を聞けー!」
「まずはこっちから聞きたいことがいっぱいあるかしら。うふふ……」
かつて人間の男性であっただろう石像がさらに変化した美少女。それを見て魔女は怪しく微笑み、少女は顔をひきつらせた。
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