青春ゲーム!
4章 二人の決意
▼
時刻は朝6時。
最近いろんな奴のせいでなかなかゲームする時間が無かったからな。一段落着いた今しかない。
「全然やって無いからなー。ランキング抜かされてるんじゃねえのか?」
そう言って昨日の夜7時にはネトゲを始め、11時間ぶっ通しでやっている。
「そろそろ支度するか」
俺はいつも通り準備をして、制服の袖に腕を通して家を出る。
学校に着いたら早々面倒くさい事が起こった。
「英治くん、おはよう」
「ああ、おはよう」
「ちょっと来て」
如月に連れられやって来たのは、小さな1つの部屋だった。
「何だここ」
「紹介するね」
如月はコホンと咳払いをして、
「ここが、私達ゲーム部の部室よ!」
「そうですか」
「何その反応!?」
別に部室なんかどうだって良いのだが。
「それで、ゲーム部最初の活動!」
「何をするんだ?」
もう何を言われても驚かないぞ。それなりの覚悟は出来ている。
「━━部員を集めよう」
「は?」
「だから、今ゲーム部は私達以外にいないでしょ?」
「それはまあ、そうだろ」
「だから、直接勧誘するの!」
「……それを俺もやれと」
今日も1日ダルくなりそうだ。
▼
その後、小一時間ほど校舎内を歩き回ったが、1人もイエスとは言わなかった。
「なあ如月。これ俺らじゃ無理なんじゃ……」
「そんな事無い!次だよ!」
根性だけはあるな、あいつは。
だが、目の前であっさり断られてるあいつを見てると、なんだか可哀想に見えてくるな。
「ダメよ」
「いや、一人二人で良いんだ。頼む」
「それはできないよ」
立花は指でХマークを作り、俺の頼みを一蹴した。
「俺見たいなヒキコミュ障ニートじゃ話にならないんだよ。まずみんな耳を傾けてくれない」
「だからって私を使うのはダメだよ」
「……やっぱダメか」
落ち込んでいる様子の俺を見て、立花が話を持ち掛けて来た。
「なら、こういうのはどう?」
「なるほど、ポスターね。さすが霞純ちゃん」
立花が言った、『こういうの』とは。
つまり、宣伝である。
「他にチラシも配ったりして、部員を集めるぞ」
「何だか英治くん、今日はやる気だね」
「━━まあな」
お前の姿と熱意に免じて仕方無くだ。
なんてのは俺の口からは言えないがな。
「さあ、勧誘を始めるよ!」
「……おぉー」
それから約2時間後。
「はぁ、はぁー……。こんなに走ったの始めてだぞ……」
「だ、だって、英治くんは引きこもりのニート、だもんね……」
「今のはいらない」
さりげなく馬鹿にされてる気がした。いや、気がしたじゃなくてされてた。
「で、どうだ?そっちは」
「えーっとね、宣伝を始めて30分ぐらいして、考えとくって言う人達が沢山いたよ」
それはあまり期待できないな。
「英治くんの方は?」
「うん、まあそんな感じだ。……ただ、1人だけ入りたがってた様な素振りを見せてたぞ」
「そっか、来てくれると嬉しいね」
「ああ」
そう言って俺らは、勧誘を再開した。
それを遠くから見守る立花は、どこか寂しげな表情を浮かべていた。
「頑張ってね、二人とも」
「あぁー、全然来ねぇ!」
俺は精神が崩壊しかけていた。
「大丈夫?英治くん」
そう言う如月も、まだ1人も上手く行っていない。
「……もうこれ、二手に別れた方が良くないか?」
「そうだね。じゃあ5時に部室に集合ね!」
▼
「どうですか?ゲーム部に入ってみませんか?」
「いや、ゲーム部ってただ遊んでるだけでしょ?」
「違います!ちゃんとゲームで……」
「もう良いよ。何かそう言うの、陰キャラ扱いされて、友達居なくなりそう」
「……そうですか」
「……またダメかー!」
部員の勧誘を始めてからおよそ9時間。
今までに何度と無く断られて来たが、あんな態度をされたのは初めてだった。
誰もが簡単に口にする。
けれど、私には一切縁の無い言葉。
━━友達、か。
▼
そして約束の5時。
ゲーム部の部室にて、今日の成果を教え合った。
「……結局、1人も来なかったね……」
「……ああ」
「……如月はさ」
「どうしてゲーム部なんて創ろうと思ったんだ?」
長い沈黙に耐えきれず、俺はそう問いだした。
「……それはね」
そして帰って来た答えは、予想だにしないものだった。
「私ね、昔━━いじめられてたの」
「そ、そうなのか……?」
嘘だろ。こんな美少女がいじめられたりするのかよ。
「親の仕事の都合でしょっちゅう引っ越して━━その度に転校して、馴染めないうちにまた転校━━。そんなの、友達なんて出来るわけ無いよね」
「せっかく仲よくなれそうな子とも別れて、友達が出来たと思ったらあっという間に独りぼっち。……もう人生が嫌になったよ」
「……………」
「でも、そんな時私を救ってくれたのが━━ゲームだった」
「現実世界では友達もいなくて何もできない私だけど……仮想世界の中でなら、何でもできる」
「私は、私の思い描いた自分になりたかった。それがゲームであれ、何であれ……。だからずっと、ゲームの中で生きてきた感じ。」
「……………」
俺は返す言葉が見つからない。
「……まあ、現実の方も捨てた訳じゃ無いけどね!」
重い空気を和ませようとする如月。
「次は私の番だよ。……英治くんは、どうしてゲームをするの?」
━━何の為にゲームをするのか。
それは、おそらくゲーマーにとっての永遠のテーマであると俺は考えている。
かくいう俺も、何の為にゲームをするのかは、定まってはいないのだが。
だから、今言える事は一つだけである。
「……俺が何故ゲームをするのかなんて、自分でも分からない」
「ただ一つ言える事は、俺はゲームが無きゃ生きていけないって事だ」
そして、今まで言いたかった事が━━。
何年もの間抑えていた気持ちが、溢れ出す。
「ゲーム自体そんなに特別好きって訳じゃ無いけど、ゲームが無ければ俺は何もできなくて、ゲームが無ければ俺はどうしようもない社会不適合者のクソニートで……、ゲームが無ければ、俺という存在は無くなっているかも知れない」
そう、捲し立てた。
「……まあ、俺にとってゲームは、俺が初めて夢中になった物で、お前の言った通り、仮想世界の中で生きて行こうと思えるんなら━━」
「友達なんて、恋愛なんて━━必要無いだろ」
━━そう、力強く、言い切った。
「……それ、は…」
「…けどまあ、お前の意見は間違っていないと思うし、そのままの考えで良いと思う」
「……違う」
その時の如月は、とても表現できない様な表情を浮かべていた。
憤怒、心配、不安……。
そのどれともとれない感情を抱いているのが分かる。
「……英治くんは、間違ってるよ…」
「……………」
「確かに私は言った。ゲームの中で生きていたいと。…だけど、人として生きていく上で、友達も、恋愛も、そのどれも必要なんだよ……。ゲームしかできないから友達なんて要らないなんて、そんなの、ただの言い訳でしか無いよ!」
「如月……」
「今からでも人生をやり直せるんなら。辛い現実でも、誰かとなら正面から向き合えると言うんなら」
如月は僅かに目に涙を浮かべて、言った。
「同級生として、同じ部員として、そして━━友達として」
「一緒に、歩んで行こうよ」
何に向かってかは、明言していないが。
ああ。共に歩いていこう。俺らだけの道を。
「……そうだな」
「…そういえば、英治くんシリアスモードは嫌いだったよね」
「よく知ってるな。ぶっちゃけ今回耐えきれるか心配だった」
「今日は新入部員ゼロだったけど、明日から頑張ろうね」
「あー…、そうだった」
その時、不意にドアを叩く音がした。
「……?どうぞ」
「あ、あのー」
「ゲーム部って、ここで合ってますか?」
ぐぅぁあああああ!!!!!つっかれたぁああああ!!!
いやもう、何がって、ラストシーンですよ、ラストシーン!!
シリアスな展開が嫌いって言うのは、実際英治くんではなく僕の意見です。だから書くの遠慮したんですけど、それじゃつまらないから書きましたよ、はい。
さて、『青春ゲーム!』も早くも4章が終わり、次は5章ですよ、ゴショウ!
なんだか異常に投稿ペースが早すぎて読者様から『こいつ適当に書いてやがるな』とか思われてそうで怖いです。これでも自分なりにちゃんと書いてるつもりですからね!
えーっとですね……。次回から、一章一章が長くなります(投稿ペースを遅くするためry)。より読みやすく、面白くなればと思っております。
では、今後とも応援よろしくお願いします。
P,S
フォロー数10超えました。皆さん有り難うございます。
時刻は朝6時。
最近いろんな奴のせいでなかなかゲームする時間が無かったからな。一段落着いた今しかない。
「全然やって無いからなー。ランキング抜かされてるんじゃねえのか?」
そう言って昨日の夜7時にはネトゲを始め、11時間ぶっ通しでやっている。
「そろそろ支度するか」
俺はいつも通り準備をして、制服の袖に腕を通して家を出る。
学校に着いたら早々面倒くさい事が起こった。
「英治くん、おはよう」
「ああ、おはよう」
「ちょっと来て」
如月に連れられやって来たのは、小さな1つの部屋だった。
「何だここ」
「紹介するね」
如月はコホンと咳払いをして、
「ここが、私達ゲーム部の部室よ!」
「そうですか」
「何その反応!?」
別に部室なんかどうだって良いのだが。
「それで、ゲーム部最初の活動!」
「何をするんだ?」
もう何を言われても驚かないぞ。それなりの覚悟は出来ている。
「━━部員を集めよう」
「は?」
「だから、今ゲーム部は私達以外にいないでしょ?」
「それはまあ、そうだろ」
「だから、直接勧誘するの!」
「……それを俺もやれと」
今日も1日ダルくなりそうだ。
▼
その後、小一時間ほど校舎内を歩き回ったが、1人もイエスとは言わなかった。
「なあ如月。これ俺らじゃ無理なんじゃ……」
「そんな事無い!次だよ!」
根性だけはあるな、あいつは。
だが、目の前であっさり断られてるあいつを見てると、なんだか可哀想に見えてくるな。
「ダメよ」
「いや、一人二人で良いんだ。頼む」
「それはできないよ」
立花は指でХマークを作り、俺の頼みを一蹴した。
「俺見たいなヒキコミュ障ニートじゃ話にならないんだよ。まずみんな耳を傾けてくれない」
「だからって私を使うのはダメだよ」
「……やっぱダメか」
落ち込んでいる様子の俺を見て、立花が話を持ち掛けて来た。
「なら、こういうのはどう?」
「なるほど、ポスターね。さすが霞純ちゃん」
立花が言った、『こういうの』とは。
つまり、宣伝である。
「他にチラシも配ったりして、部員を集めるぞ」
「何だか英治くん、今日はやる気だね」
「━━まあな」
お前の姿と熱意に免じて仕方無くだ。
なんてのは俺の口からは言えないがな。
「さあ、勧誘を始めるよ!」
「……おぉー」
それから約2時間後。
「はぁ、はぁー……。こんなに走ったの始めてだぞ……」
「だ、だって、英治くんは引きこもりのニート、だもんね……」
「今のはいらない」
さりげなく馬鹿にされてる気がした。いや、気がしたじゃなくてされてた。
「で、どうだ?そっちは」
「えーっとね、宣伝を始めて30分ぐらいして、考えとくって言う人達が沢山いたよ」
それはあまり期待できないな。
「英治くんの方は?」
「うん、まあそんな感じだ。……ただ、1人だけ入りたがってた様な素振りを見せてたぞ」
「そっか、来てくれると嬉しいね」
「ああ」
そう言って俺らは、勧誘を再開した。
それを遠くから見守る立花は、どこか寂しげな表情を浮かべていた。
「頑張ってね、二人とも」
「あぁー、全然来ねぇ!」
俺は精神が崩壊しかけていた。
「大丈夫?英治くん」
そう言う如月も、まだ1人も上手く行っていない。
「……もうこれ、二手に別れた方が良くないか?」
「そうだね。じゃあ5時に部室に集合ね!」
▼
「どうですか?ゲーム部に入ってみませんか?」
「いや、ゲーム部ってただ遊んでるだけでしょ?」
「違います!ちゃんとゲームで……」
「もう良いよ。何かそう言うの、陰キャラ扱いされて、友達居なくなりそう」
「……そうですか」
「……またダメかー!」
部員の勧誘を始めてからおよそ9時間。
今までに何度と無く断られて来たが、あんな態度をされたのは初めてだった。
誰もが簡単に口にする。
けれど、私には一切縁の無い言葉。
━━友達、か。
▼
そして約束の5時。
ゲーム部の部室にて、今日の成果を教え合った。
「……結局、1人も来なかったね……」
「……ああ」
「……如月はさ」
「どうしてゲーム部なんて創ろうと思ったんだ?」
長い沈黙に耐えきれず、俺はそう問いだした。
「……それはね」
そして帰って来た答えは、予想だにしないものだった。
「私ね、昔━━いじめられてたの」
「そ、そうなのか……?」
嘘だろ。こんな美少女がいじめられたりするのかよ。
「親の仕事の都合でしょっちゅう引っ越して━━その度に転校して、馴染めないうちにまた転校━━。そんなの、友達なんて出来るわけ無いよね」
「せっかく仲よくなれそうな子とも別れて、友達が出来たと思ったらあっという間に独りぼっち。……もう人生が嫌になったよ」
「……………」
「でも、そんな時私を救ってくれたのが━━ゲームだった」
「現実世界では友達もいなくて何もできない私だけど……仮想世界の中でなら、何でもできる」
「私は、私の思い描いた自分になりたかった。それがゲームであれ、何であれ……。だからずっと、ゲームの中で生きてきた感じ。」
「……………」
俺は返す言葉が見つからない。
「……まあ、現実の方も捨てた訳じゃ無いけどね!」
重い空気を和ませようとする如月。
「次は私の番だよ。……英治くんは、どうしてゲームをするの?」
━━何の為にゲームをするのか。
それは、おそらくゲーマーにとっての永遠のテーマであると俺は考えている。
かくいう俺も、何の為にゲームをするのかは、定まってはいないのだが。
だから、今言える事は一つだけである。
「……俺が何故ゲームをするのかなんて、自分でも分からない」
「ただ一つ言える事は、俺はゲームが無きゃ生きていけないって事だ」
そして、今まで言いたかった事が━━。
何年もの間抑えていた気持ちが、溢れ出す。
「ゲーム自体そんなに特別好きって訳じゃ無いけど、ゲームが無ければ俺は何もできなくて、ゲームが無ければ俺はどうしようもない社会不適合者のクソニートで……、ゲームが無ければ、俺という存在は無くなっているかも知れない」
そう、捲し立てた。
「……まあ、俺にとってゲームは、俺が初めて夢中になった物で、お前の言った通り、仮想世界の中で生きて行こうと思えるんなら━━」
「友達なんて、恋愛なんて━━必要無いだろ」
━━そう、力強く、言い切った。
「……それ、は…」
「…けどまあ、お前の意見は間違っていないと思うし、そのままの考えで良いと思う」
「……違う」
その時の如月は、とても表現できない様な表情を浮かべていた。
憤怒、心配、不安……。
そのどれともとれない感情を抱いているのが分かる。
「……英治くんは、間違ってるよ…」
「……………」
「確かに私は言った。ゲームの中で生きていたいと。…だけど、人として生きていく上で、友達も、恋愛も、そのどれも必要なんだよ……。ゲームしかできないから友達なんて要らないなんて、そんなの、ただの言い訳でしか無いよ!」
「如月……」
「今からでも人生をやり直せるんなら。辛い現実でも、誰かとなら正面から向き合えると言うんなら」
如月は僅かに目に涙を浮かべて、言った。
「同級生として、同じ部員として、そして━━友達として」
「一緒に、歩んで行こうよ」
何に向かってかは、明言していないが。
ああ。共に歩いていこう。俺らだけの道を。
「……そうだな」
「…そういえば、英治くんシリアスモードは嫌いだったよね」
「よく知ってるな。ぶっちゃけ今回耐えきれるか心配だった」
「今日は新入部員ゼロだったけど、明日から頑張ろうね」
「あー…、そうだった」
その時、不意にドアを叩く音がした。
「……?どうぞ」
「あ、あのー」
「ゲーム部って、ここで合ってますか?」
ぐぅぁあああああ!!!!!つっかれたぁああああ!!!
いやもう、何がって、ラストシーンですよ、ラストシーン!!
シリアスな展開が嫌いって言うのは、実際英治くんではなく僕の意見です。だから書くの遠慮したんですけど、それじゃつまらないから書きましたよ、はい。
さて、『青春ゲーム!』も早くも4章が終わり、次は5章ですよ、ゴショウ!
なんだか異常に投稿ペースが早すぎて読者様から『こいつ適当に書いてやがるな』とか思われてそうで怖いです。これでも自分なりにちゃんと書いてるつもりですからね!
えーっとですね……。次回から、一章一章が長くなります(投稿ペースを遅くするためry)。より読みやすく、面白くなればと思っております。
では、今後とも応援よろしくお願いします。
P,S
フォロー数10超えました。皆さん有り難うございます。
コメント
天海愛米
返信遅れました。頂いて何よりです!
とろろ
うぽつです。
今回はあらすじのセリフが出ましたね!
部室勧誘からシリアス展開への移動
とても楽しませていただきました