異世界で旅を〜異世界チートは必須でしょ?〜

ちゃまたん

アリルの前置き

「僕、行きますよ。その世界に。」

 俺は迷いのない口調で行くことを主張した。
 そもそもこの夢で最初にアリルに異世界に行ってくれと頼まれた時からすでに決まっていたのかもしれない。

「そうか! ありがとう、ヤドル君!」

「…? やけに嬉しそうですね?」

「それはそうだとも。
さっきは『私と波長の合う人』と簡単に言ったが、波長が合うというのは魂レベルでの話なのだからね。
 しかも、地球には数十億という数の人がいる。そんな確率から探すのは世界神と言われている私でも難しい。何より疲れるからね。」

「な、なるほど。」

 思ったよりも大事らしい。
 あと、最後のは愚痴と言うか本音だろうなぁ…

「そんな事よりも、君は異世界に行ってくれると決めてくれた。
 ならば、そのお礼として祝福ギフトを与えよう。」

「祝福…ですか?」

「ああ。 まぁ何にせよ行ってくれるのならば与えるつもりだったのだけどね。」

 そんな事をアリルは微笑みながら言った。

「えっとその祝福というのは具体的にはどういった物なのでしょうか?」

「そうだね。
 それもこれから説明しようと思う。でも、その前に君、その話し方疲れないかい?」

と、そんな事を言ってきた。
確かにこれは俺の本来の話し方とは違う。
 でもさぁ、相手は神様だよ? そんな相手にタメ口は流石に…ね?

「でも、アリルさんは神様ですし…」

 普通に理由を言ってみる。

「問題ないよ。」

「い、いやでも…」

「問題ないよ。」

 うーん…
 これはアレだな。何言ってもダメな奴だ。

「わ、分かりました。」

 アリルは、宿やどるがまだ敬語なのに少し思う所があった様だが話を先へ進めた。

「それで祝福っていうのは?」

 やっと本題だ。

「うん、そうだね。
 ヤドル君、君はRPGゲームはやるかい?」

「…? ああ、まぁ人並みには。」

 やっぱり、いきなり敬語をやめると変な感じだな。
 ちなみに今の『人並み』は嘘だ。
『人並みには』ではない。
 正確には『人並み以上』だ。

 宿の里親は、ゲームや小説なんかの娯楽には何も口を出してはこなかった。
 実の両親が死んでしまったのだから、引きこもってしまっても仕方がない。とでも思っていたのだろう。あるいはそれ故の優しさかもしれない。
 勉強や将来の事は結構うるさかったが、それもまた、優しさだったのだろう。

 まぁ、そんな事を感じながらも宿はゲーマーになっていったのだった。
 ゲーマーだからといって体力がない訳ではないが。

「そうか、ならば話は早いね。
祝福というのはゲームで言う所のスキル、その強化版、上位互換だね。」

「俺も、一応はラノベも読んでるしゲームもやってるから、まぁ察しはついてたよ。」

「そうだね。
祝福の他にスキルはまた別に存在するんだよ。
それは日常生活であったり戦闘の中で培っていくものだね。生きる為の補助みたいなものだね。」

「それで、その祝福は誰しもが持っているのか?」

「普通は貰えないよ。今から行ってもらう世界の8割の人は持っていない。持っている人は相当な努力と運がある人だね。
ちなみに君には、私に選ばれた特典として5個の祝福を与えようと思っているよ。」

「ちょ、ちょっと待て。
祝福ってのは相当な努力をした人に与えられる物なんだろ?俺なんかには精々、1つぐらいなもんだと思うんだが。」

 努力してやっと手に入る力をそんなに簡単に手に入れていいものな訳がない。

「いや、順当な数だと私は思うがね?
君はこれから剣と魔法、それからモンスターの蔓延る世界に源力をばら撒きに行くわけだね?」

「…あ、ああ。」

「そんな中に放り出されて君は、生きて行けると思うかい? 私は、そうは思えない。今の君なら、雑魚と言われるモンスターにも容易く殺されてしまうだろう。そんな世界に、この平和な地球育ちの君が行ったら、まず、生き残れないだろう。」

 このまま行くのは案外ピンチなのか…

「ヤドル君、君には役目があるんだ。しっかりとその役目をこなせる様にするのが、私の仕事だからね。しっかりと受け取ってくれ。」

 そうだった。
 俺は、異世界の危機を打開する為に送られるんだった。
 それなら確実に役目を果たす事も考えなきゃいけないよな。

「分かりました。
アリルさんの祝福、有り難く受け取らせてもらいます。」

 その言葉に、アリルは微笑んでこう言うのだった。

「敬語はよしてくれないか? むず痒くてしょうがないんだ。」

 アリルの言葉に、俺は苦笑するのだった。

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