勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第二十三話 俺は何気短気です

コンコン

ベッドの上に寝そべっていた俺の耳にノックの音が聞こえた。

「失礼いたします。陛下の準備が整ったそうなのでお迎えに上がりました」

部屋に入るなりさっとお辞儀をした老齢の執事(多分)は、値踏みするような目で俺を見た。
パンピーだよー。
どんなに目を凝らしてみたところでド○・キホーテ価格しか出ないぜー。
というジャパニーズジョークはさて置き。
わざわざドアを開けてくれた彼に続いて王のプライベートルームへ向かった。


コンコン

今度は俺がノックをした。

「…………」

返事がない。

コンコン

「…………」

またもや返事がない。

「ふっぅ」

俺の後ろで直立している執事さんに笑われた。
最後のチャンスだ。

コンコンコン

「…………。はいよしせーの!」

拳でドアを貫いた。
あ、やべ、抜けない。
ドアが外れて倒れることを望んでいたのだが、思ったよりスピードがのってしまったらしく腕が3cm程の厚みを貫通していた。

「ミぃネぇルぅ……ハンフリー!」

親子共々何故に人のフルネームを叫ぶのだろう。
そろそろ娘の方ので聞き飽きた。

「お前は! 何をしたのか分かっているのか!」

腕を一振りして木片と化した扉を床に叩きつける。
顔を上げると、怒髪天を衝くを体現している真っ最中の皇帝が目に入った。

「あ、番茶」
*番茶 ネットでこんばんはの代わりに使われる

「〜〜〜〜っ!」

歯軋りして人類の仇を射殺すかのように俺を睨む。
俺、スケールでか!
じゃなくて。

「そもそも原因はあんただろう、娘に相手にされない親父さん」

言い終わると同時にインク瓶と羽ペンが飛んできた。
それを首を少し傾けるだけで躱す。
なにこのおっさん、予備動作なしに投げたぞ。
野球部入ってみたら?

「あっぶねぇな。近衛兵に突き出すぞ。ノックしたのに返事がないからドアに穴開けたら殺されかけたって」

「どっちもどっちかと思われますが」

突如後ろから俺と皇帝目くそ鼻くそ発言が。
執事さんは俺が壊したドアをなんとかつけてから皇帝の後ろに控えた。
いや、もういいだろ、それ。
ドアの役目果たしてねーよ。
皇帝は彼を一瞥すると真剣な顔つきになって話を切り出した。

「何用か?」

「あんたが書庫に隠しているものについて」

何か知りたい時は率直に訊くに限る。

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