勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

*正月*

「あ、今年が明けた」
「年が明けた?まだ春だぞ?」
俺がふと零した言葉にマリセが反応した。
「俺が前までいたところの年が明けたんだ、今」
「どこにいたって時の流れは一緒だろう?」
「それがな、俺のいたとこは特別なんだ」
不思議な顔をしているマリセの頭を撫でると、手を払われた。
……前世の話だ、なんて言えねえ!
よし誤魔化そう。
「そうそう。俺のいたとこではな、家の前に門松ってのを飾るんだ」
「カドマツ?」
上手く誘導出来たな。
「そう、門松だ。竹って植物の幹を切って三本纏めて括った置物なんだけどな。梅、竹、松の順に格が高くて……」
詳しく説明してやるも、そもそも植物の名前からして全然別物のこの世界に住むマリセにはわからないだろう。
だが、何となく喋りたい気分なので彼の口を塞いで続ける。
「その順番ってどうやって決めたか知ってるか?うん、知らないだろうな。順番に、意味はない。そんな顔するなって。無いんだよ。取り敢えず縁起のいいものを集めたってだけなんだ」
わけの分からない話を聞かされているマリセは不満そうだ。
う〜ん、つまらない話聞くのは退屈だよな……。
クイズを出してやろうじゃないか。
「この門松ってのは元々神様にウチに下さいって伝えるための置物だ。で、登場するのがイエヤスって奴とタケダって奴。この二人はライバルでな、結構争ってたんだ」
ライバル、の辺りでマリセが食いつき始めた。
しめしめ。
「で、戦いがあった後、門松は竹の切り口が見える斜め切りが普及するようになった。さて、戦いで勝利を収めたのはどちらでしょうか?ヒントは、タケダの故郷では斜めじゃなくて真横に切ってあるってことだな」
うんもうこれはわかるだろう。
ピ○チュウが光るネズミであることくらい明白だぞ。
「イエヤス?」
「何でや!」
おおっと。
思わず関西弁が出てしまった。
俺は東京出身だけど。
「正解はタケダ」
まさにダジャレ!
本当に日本人ってダジャレ好きだよな。
未だ分かっていない様子のマリセに解説する。
「イエヤスはボロッボロに負けたんだ。酷く醜く敗走したらしい。で、今回は負けたが次こそはタケダを倒すってことでタケを斜めに切った。だからタケダの故郷ではそんなことは受け入れないで元々の真横に切る門松が普及している、と」
勉強になったか、と彼に目をやると。
寝ていた。
「そんなに面白くなかったか!?」
「ふぇ……?あ、ああ……面白くなかった、というか」
今が真夜中だということを考えろ。
そう言い捨ててマリセは毛布に包まった。

「……おやすみ」
明けまして、おめでとう。

〜*〜*〜*〜*〜
15分で急いで書いたのできっとおかしなところしかありません←
ということで2018年。
皆様、明けましておめでとうございます!
今年も読んで下さると……大吉が出るでしょう(*^^*)

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