勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第十話 俺は教えてやる

「報酬1対9に関しては特に異論はないが、何故こんなクエストをちまちまやっているのだ?」

何十回目かのクエスト報酬受け取り後。
はい!
別にお金は掃いて捨てるほどあるからいりません、の金持ち発言!

「何が言いたいんだ?」
「だから…貴様は勇者育成学校に通ってはいても、もう既に奴を倒す実力はあるではないか、と」
「えー、ないない。マースの奴がラスボスとか。あるある展開っちゃあそうだけど、ないわ」

ちっがーう!
叫んで殴りかかって来る皇女さん。
しかし横からの拳なので前に一歩出ることで回避する。

「ほら!私の横殴りを交わせる奴などそうそういない!」
「いや、でも居るから」

魔王とか。
軽口のつもりで言った言葉で皇女さんの表情が暗くなる。

「…今の私の実力ではまだまだ、か?」
「だな。けど奴は紳士的だからな。弱いあんたをタコ殴りで、メッタギッタ、にするなんてことはないだろうから安心しろ。今のままでご対面したところで死にはしない」

俺が最後まで言い終える前に彼女の眼の奥が光った。
しかしその面はすぐ下へ向けられた。

「魔王が紳士的」
「安心しろ」
「死にはしない」

俺の言葉を反復する。

「誰のせいで母様がっ!」

上げた顔を見ると。
唇は怒りのせいか戦慄き。
頬には滴。
瞳には溢れ出さんとする沢山のきらめき。
あーあ。
今日もだらだらギャグやってたら終わるかと思ってましたよ。
仕方ないから一言アドバイス。

「ウザい憎い恨めしい」
殴りたい倒したい殺したい
この手で
そんなことを考えても

魔王は絶対に死なない
永遠に
永久に

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