勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第九話 俺は彼女の相手がめんどくさい

「ミレー、皇女が呼んでるー」

今は昼休み。
欠伸をしてさあ昼食にするか、と思ったところでこれ。

「おいマースよ。これで…新学期始まってから何回目だ?」
「なんでオレに聞くんだ。お前も数えてるんだろ。」

ため息をつきながら吐いた数字。
こちら!
87。

「マース、もう一回」
「だから87回だっ」
「そう!そろそろ100回に届くぞ!なんなんだあの女!」

皇女さんはどこにでも現れた。
昼休みは勿論、朝俺の教室の教卓に座っていたり、寮の部屋を訪ねて来たり、食堂で偶然を装って相席して来たり、果ては寮の風呂の前で仁王立ちしていたり。
マリセも敬称を付けなくなっていた。

「今日こそ!今日こそは!」
「ミレ。」

頑張れ。
…そう応援されても多分無理。


「なんだストーカーなんか用かよもう昼食べたいんだけどねえそこんとこ頼むから手短にってか帰って友達と食べてこいよお願いします」
「む。友達ならいない」

ぐわぁぁあああ!
いつもの様子から見て察するべきだった!
皇女は友達がいない。
そんなラノベありそぉぉおお!!
しかしそれはこいつの性格が招いた自業自得なり。
知ったこっちゃねえ。

「なら尚更、友達作りに励んでこいよ」
「いや、友達ではないが男子生徒は私に好意を持ってくれているようなのだ。しかし、どうも友達とは違うような」

どうしたらいいと思う?

「聞かれても困る。俺はお悩み相談室じゃない」

実を言うと前に2、3回こういうことを聞かれている。
一緒に食事を食べようと誘われた。
一緒に放課後、勉強しようと誘われた。
一緒に街へ行こうと誘われた。
一緒に…
これは全て男子に誘われた。
まあ、そうなるわな。
その度に俺は何度も何度も言っている。

「話しかけてみろって。女子生徒に。あんたは竹を割ったような性格なんだからモテるぜ、きっと」

王子様系女子完成ってわけだ。

「おお!そうだ!やっと女子に話しかけにくい理由が判明したぞ!」


彼女らは弱そうなんだ
なんかこう、なよっとしていて
打倒魔王パーティには入れられない感じだな


「皇女さん…帰ってくれ」
ああ、昼飯の時間が……

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