勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第四話 俺はパクリ女が苦手だ

「で、何故皇女さまで今年度新入生代表のあなたがここにいらっしゃるので?」

目の前にパクり女がいた。
何で?
今日は普通に起きて普通に授業受けて普通にサボタージュしていた。
はず!
俺は何も悪いことをしていない!
天地天命神に誓ってロリに誓ってお姉さんに誓って何もしていない!
そこっ、何もしてないのが悪いとか言わない!

「貴様が前々年度の首席入学者だと聞いたからだ」

誰から!?
誰にも言うなって校長シメといたのに!

「えーと、どなたからそれを?」
「校長から」

簡潔な答えをいただきました。
よし、コロス。

「それで、どのようなご用でしょう」

あくまで下手に出る。
皇女に阿っておけば何かいい事あるかもしれないし、俺パンピーだし。
卑屈、ダイジ。

「おお、よくぞ訊いてくれた!」

彼女はバッと両手を広げ、大袈裟に声を張り上げる。
嫌な予感バリバリだな。

「“打倒魔王パーティ”を作成中だ。それに入って欲しい」
「はあ?俺っすか?」

あ、やべ。
敬語がおかしくなってる。
使えねぇ新入社員みたいな口調になってる。
ナニソレ?
魔王ブッコロパーティだって?
俺が?

「前年度の首席入学の奴はどうしたんですか」

ちょっとばかし詰るような口調になってしまったのは俺のせいじゃない。
俺は勇者育成学校に入ってはいるが、魔王?え?遭遇したら戦うかなーぐらいの心意気の生徒なのだ。
冗談じゃねえ。
悪いが前年度の奴、頼んだ!

「それがだな。どうも普通の奴過ぎてなあ。すぐに殺されそうな奴だった。そんなのを連れて行くわけには行かん」
「勇者育成学校の卒業生から募れば如何で?」

ええい、前年度くん、使えん!
OB、OG!
今度こそ頼む!

「いくら皇族だろうとこんな小娘は駄目だと。心得ていると言えば聞こえは良いが、つまりは頭の固い者揃いということだ。そんなのは御免だ」

えー…そんなぁ…
いいや、まだ粘るぞ!

「先程前年度くんはすぐに死にそうな奴だと仰いましたが、それは俺だって同じでしょう」
「ん?死にそうな、とは言っていない。殺されそうな、と言ったんだ」

皇女は苦笑して言った。
お、これは見込みありか。
どうか諦めてくれ!

「しかし、お前はそうじゃないだろう」
「なんで断定なんですか。そこはハテナをつけるところでしょうが。俺はよそから見ても端からみても他から見ても上、下、右、左から見ても正真正銘パンピーですよ」
「ぱん、ぴー?」

何だそれは、と首を傾げる。
あ、可愛い。
じゃなくて!

「一般人ってことです。俺は極々普通の生徒なんです!」

パンピーなんだよぉ!

「そうなのか?ここの生徒はそれ程強いように見えなかったが。お前、ここで一番力を持っているだろう。皆お前と同等の能力があるとするならばここはとんでもない学校だぞ」

なあ、ミネル・ハンフリー?


だから何で断定なんだよ!
そしてあんたが一番とんでもないよ!
主に頭ん中が!
あんた一人で魔王討伐してろぉぉおお!!!

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