勇者育成学校でトップの自称パンピー【凍結】

決事

第三話 俺は彼女と関わりたくない

3年生に上がってから二週間が経った。
今日はこの時期恒例の行事、対面式がある。
ここは前世で通っていたような普通の学校ではないため、部活・サークルがない。
そういうわけでわざわざ寮の部屋や教室を訪れない限りは交流がないので、こういう行事を設けたんだとか。
新入生たちが、いや、2年3年も皆ザワザワしている。
その中でちらほら聞こえて来るワーヅがこれ。

「皇女さまが」
「一番勇者に近い」
「めちゃくちゃ可愛い女子が」
「首席」

なんとなくくっつけてみるとこんなところか。
『皇女さまは首席入学。一番勇者に近い強さを持っていて容姿も優れている』と。
わお、これで性格も良かったら完璧超人スーパーMAXって呼んであげよう。
呼ぶ機会どころか関わる機会なんて1μm%無いだろうけど。

「えー、これよりー、対面式を始めるー」

何であのハゲ教師、語尾伸ばすんだろ。
ギャルか、ギャルなんですか。
えー、ちょっとー、困るんですけどー、やっだー!みたいな。
それこそ、えー、ちょっと引くんですけどー。

「新入生代表挨拶ー」

おっ、もう校長の話終わってるラッキー。
…ん?
新入生代表ってことはあれが噂の皇女様か。
見た目は特上とまではいかないが上の上の上くらいか。
肩ギリギリで切り揃えた銀髪ストレート。
長い睫毛も銀。
そしてそれに縁取られた瞳は翡翠色。
手足が長く頭は小振り。
具体的にはバ◯ドリのモカのイメージ。
因みに俺の推しはこころと蘭。
インストールして間もなく死んだからな…。
もっと早めに始めるべきだった。

「ーーー励み、目標に向かって全力疾走全力投球で行きたいと思います」

あ、目標に向かって球投げちゃうんだ。
割れちゃいそう。

「これで、新入生代表の挨拶とさせていただきます」

終わった終わった。
早く部屋に戻って宿題しなきゃ明日提出の終わらねえ。
パチパチパチ……
彼女が深くお辞儀をして盛大な拍手が、おく、られ?
なんで席戻んないの?
顔を上げて生徒を見回す皇女。
すぅーっと息を吸って大声で宣言した。

「私はサクルオ皇国第一皇女、グリセルダ・リィ・サクレリア!魔王を倒す女だ!ただの人間には興味ない。本気で魔王をぶちのめそうと思っている奴、魔族、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私のところに来い。以上だ」

ドヤ顔して今度こそ席に戻って行った。


・・・ハ◯ヒかよぉぉぉおお‼︎‼︎
絶対完全完璧に関わらないようにしよう。

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