福袋 of 十人十色

決事


「ルルク!あれ、新しい星じゃないか!?あのピンクのやつ!」

「う~ん、あれは違うだろう。昨日もあった星だ」

数志は肩を落とす。

「…でも、あっちのは昨日なかった星…かもしれないぞ?」

どうだろう。

数志が落ち込んでいるのが嫌で、口から出まかせを言ってみたが本当に昨日は

見えなかった気がする。

「あ!今紫に光ったぞ!お前の瞳(め)みたいだな」

こっちを見て数志が笑う。

…やめろ!

顔が熱くなる。

「…あの星は緑だぞ」

僕は照れ臭さを隠すために言ったが、数志は首を傾げただけだった。

「…お前の目みたいに綺麗だって言いたかったんだ!」

語尾が荒くなる。

「そっか。じゃあ、あの紫の星はルルク、あっちの緑のは俺だな!」

二つの寄り添う星は存在を主張するように明滅した。

 

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