デフォが棒読み・無表情の少年は何故旅に出るのか

Beater

4さっさと終わらそう 道のりⅡ

なんとも表現し難い唸り声を上げる黒い影。
狼…だと思う。
はて、獣から見て俺は美味しそうに見えるのだろうか。
女より固いだろうし痩せているし、食べたくなるような点はない筈だ。
どうしようか。
「〜〜〜っ」
唸りぱっなしの狼くん。
他の狼を呼ばれても迷惑だ。
「俺は多分美味しくない。だから帰ったらどうだ」
話しかけてみた。
…余計近づいてくる狼。
一か八かで石でも投げてみるか。
全くもって効くとは思わないけれど。
側にあった小さな石を握りしめる。
俺の心臓は意外に平常運転だ。
何故だろう。
分らないことが多過ぎる。
この狼の行動もそれだ。
こんなに慎重になれるなら俺が武器を持っていないのをきちんと認識できていると考えるべきだ。
なら、こんなヒョロヒョロ相手に時間をかけることなく一気に襲いかかる、が最善だった。
考えている間にも這い寄ってきて相手の姿が視認できた。
灰色の大きい狼…らしきもの。
狼ってこんな大きくなる動物だったか。
俺と同じかそれ以上の大きさがある。
これに噛まれでもしたら一溜まりもないな。
手の中の石を

手放した。

ここで死んだら学校とやらに行かずに天の国へ一直線だ。
覚えている限り、地下の国へ行かなければならないような悪いことはしていない。
と思う。
さあ存分に喰ってくれ。
狼の食べやすさを考えて大の字に寝転がった。
母さん、父さん、今までの14年間ありがとうございました。
遂に俺の隣までやって来た狼は態勢を整えて飛びかかった。
「げふ」
お、重い。
………?
いつまで経っても肉を噛まれた感覚が来ない。
両目をぱっちり開いて奴を見ると…
俺の腹の上で寝ていた。

何で?

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