デフォが棒読み・無表情の少年は何故旅に出るのか

Beater

2旅に出てみようかな

「ちょっと、旅してきたらどう?」
はい?
「母さん…、いつもそうだけど説明足りない」
何を言いたいのだろう?
父さんにアイコンタクトで救いを求める。
「なんだ、国境を跨いだあっちの国にお前の両親が通っていた学校があるとかで」
金銭的な問題ではなかったのか。
しかし、両親の通っていた学校?
何故わざわざ今になってそんな言葉が出てくるんだ。
今の快適な生活を手放したくはない…。
「それで、なんでそんな旅に出るなんて話に?」
「それが…」
母さんは困ったように言って父さんと顔を見合わせた。
「手紙があったのよ、うちの前に」
手紙。
それは何だ。
この世界はハ◯ポタの世界だったのか。
手紙。
それは羊皮紙などに文字を書いて他人に渡すと『紙』から『手紙』にランクアップするやつ。
最初から俺に渡すつもりだったのだろう、母さんは直ぐに手渡してくれた。
どちらかと新しめな手触り。
筆跡は…わざとなのか男か女か分かりにくい、カクカクしたもじで書かれていた。
〝フーク・サチハの両親はその昔、セルテリアの街の一つであるナックイの学校に通っていた〟
たったそれだけの文が並んでいた。
「母さん…」
これのせいで俺は家を出て行かなければならないのかと思うと、無性に破って森にばら撒きたいという衝動が湧き出てきた。
「そういうことなのよ。ほらこれ」
もう空になった皿の上を通って袋がやって来た。
俺は手を出さない。
すると母さんは席を立って俺の頭の上に袋をのせた。
「いってらっしゃい」
柔らかな笑顔を向けてくる母さん。
「フー。俺たちの稼ぎじゃあお前を学校に入れてやることはできないんだ。だからその袋に入っている路銀で街へ行き、働きながら学校へ通いなさい」
働くのが嫌なわけではない。
ここで畑を耕してこの親切な夫婦に少しでも借りを返したかったのだ。
しかし彼らが言うのならば。
大恩あるヘンツ夫婦が言うのならば。
「働いて、稼いで。勉強して、学んで。少しでも母さんと父さんに楽させられるようになったら帰ってくるよ」


コレハオレノホンネナノダロウカ



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1話1話少ないですが、思いついた時にちょくちょく入れていきますので、どうかよろしくお願いします。

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