〜豪勇無双なるスピリット〜

RA15

1-2 森での悲劇。

綾人の視界には、暗闇が映っている。
真っ黒だ、なにも見えない。
突然、暗闇の中心から、光が漏れ始めた。

眩しい、その光は綾人の目を刺激する。

光はだんだんと薄れていき、一面に緑の景色、その隙間から青色と光がちらちらと見えて来た。

(んっ、、?空か?)

だんだんと薄れている視界がしっかりと見えてくる。

(俺、なんでこんなとこに寝っ転がってんだろ)

横を向くと緑色の草生えている、
寝心地のいいふかふかとした感覚。
芝生の上で寝そべっていた。
肘を芝生についてゆっくりと起き上がる綾人

「、、、」

目の前に広がる景色に、唖然とする。
周りには芝生、背の高い木が空を囲むかのように生い茂っている、無雑作にさく雑草や蔓。鳥や虫の鳴き声。
少し肌寒い気はするが体にはなんの支障はない。
「ん?、」

見覚えのない白いTシャツに黒のジャージの半ズボン、すぐ隣に置いてある白いショルダーバッグ。

「え、?、ここが新しい世界??」

天月綾人の、新しい人生が始まる。

(どこだよここォ、)


もう1時間は森の中を歩き続けてるというのに、一向に出口らしきものは見当たらない。

「どこまで歩けばいんだよォ。」
(?)


綾人はこの森の異変に気付く。
(ん?そういえば急に静かになったな。)
さっきまでの鳥や虫たちの鳴き声、風に揺られ音を鳴らし続ける背の高い木。
気づかないうちに鳴き声や風の流れが
とまっている。

ガサッ

綾人のすぐ側の茂みから何かが蠢く音がきこえた。

ガサッガサッ

「!?」

茂みから草を手で避けながら出て来た人物に驚く。

その姿は、綾人と同じくらいの、18.19歳くらいの女の子で、見とれてしまうほどのきらびやかな橙色のショートの髪に、胸元には赤いリボンの白いワイシャツ、スカート、見た目から見るとごく普通の学生の女の子だ。
だが、彼女の片手には、紫色の液体が流れ着いている刀を所持していた。

(なんだこの子っ!?俺を殺す気なのか?)


「武器も持たずにこんなとこでなにしてるんですかっ!!」

「、、は?」

その刀で斬り殺される可能性は低いとみた綾人の警戒心は少し和らぐ。
でも、何故武器なんかを持っていないと危険と思われるのかが理解できない。

「突っ立ってないで!この森を出るよっ!走って!」

彼女は俺の手を強く掴んで、走り出す。
(なんなんだこの子!?)
彼女に手を引っ張られながら走り続ける綾人は言った。

「この森から出れるのか!?」
その時、空から何かが落ちてくる!
(!?)

ドォォォン‼︎

「なんなんだよこいつは!?」
突如空から現れたのは、見た目は2メートルはあるデカイ蜘蛛のような虫?というより化け物だ。
背中には、バスケットボールくらいの大きさの赤い粒が背中を覆い隠すようにびっしりと詰まっている。
誰がみても、気色悪い馬鹿でかい蜘蛛の化け物としか言いようがない。

「貴方はさがってて!!」

橙色の髪をした女の子は刀を、化け物に向け、まるで風にでもなったかのようなスピードで走り向かう。


(速い!)
あっという間に化け物の頭部を斬り、
紫色の血が飛び散り化け物は動かなくなった。
「死んだのか、?」


「うんっ、けどこの赤い粒の中には、超猛毒の液体が入っているの、少しでも傷が入ると破裂してしまうから近寄らないでね!」

「超猛毒って、本物の化け物じゃねーかよ、この蜘蛛。」

「出口まであと少しだから、急ぐわよ!いこ!」
再び、綾人との手を強く掴み走り出す。
「出口までどのくらいなんだ?!」
「もうつくよ!」



彼女の言う通り、すぐに森から出ることができた。
外の景色は、あたり一面芝生だらけで、さらに先にはにいくつもの建物が並ぶ大きな街が存在していた。
「ここならもうあいつらはこないから安心して」
彼女がそう言って、綾人はようやく安堵する。

「貴方名前は?」
「あ、天月です!天月綾人!」
「そう!なら綾人って呼ぶね!
私は天道リョウカ!よろしくね!」

(なんで下の名前で呼ぶんだ?、まぁいっか!)

「じゃー、俺もりょうかって呼んでいいかな?よろしく!」
「うん!ところでなんで森に武器も持たずに居たの?」
涼香は不思議そうに森にいた理由を尋ねる。

「んーっなんて言えばいんだろ、一回死んでイキカエッタとこがあの森だったから?」

「んっふふっ!なにか誤魔化そうとしてるの?笑」
「いや!ほん、、」

「リョウカ!無事だったのね!」
そう言いながら街の方からこちらへ向かってくる制服姿の女の子。黒髪のロングで前髪で片目が隠れた、紫色の瞳をした気の強そうな可愛らしい女の子だ!
「それで、ブレスレットは見つかったの?」

「うんっ!」

涼香は微笑みながら腕に身につけたピンクのブレスレットを見せた。

「そっかっ!
で、この人誰?」
急に声のトーンが変わり、綾人を睨みつける。


「そんな睨みつけないであげてっ、悪い人には見えないから。森で武器も持たないで歩いていたから、一緒に出口まで連れてきてあげたの。」
涼香がフォローをいれてくれた。
「俺は天月綾人!よろしく!」
綾人が笑顔でそう言うと、彼女は顔を背けて無視をした。
「あれ、?笑」

「ごめんね!リンはこういう性格だから、」

「こういう性格ってどういうことよっ、」
涼香の言葉にツッコミをいれる凛。
「あはは。」
綾人は気まずそうに笑った。

「で、これからどうするの?」
涼香の答えに綾人は困った顔を見せた。

「いや、どうしようかな。
家もないし。どこかへ行く予定もない。」

「えぇ!?どうゆうこと?!記憶とか覚えてなかったりとか?」

(まぁそう言えばなんとかなるかな?)
「たぶん。」


「えぇーー!」
「いいよ、こんなやつほっといて学校もどろ?」
凛は面倒くさそうにそう言った。
だが涼香は綾人をほっておけない様子でいる。


「じゃー学校の前で待っててね!
終わったら会いに行くから!」

「あ、、うん。」
そう言って凛と涼香は待ちの方へと向かって行った。
(本当なら、俺も学校通ってるはずだったのになー。学校終わるまで時間あるしな。)
「あ、そう言えば、このバッグの中何入ってるんだろ。」
バックの中を見ると金のコインに、黒い結晶のようなものが入っている。
「金貨かなんかかな?、この結晶はなんだろう。」
その結晶は黒く今までにみたことのないくらい美しく綺麗だった。
「まぁこれが金貨ならお金の問題は平気そうだな。」
(後は住むとこだけだな。
よし、学校に向かうか!)


「って、学校どこダヨォ!」
綾人は、とりあえず街の方へと歩いて行った。

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