王城での出来事 ❮莉乃視点❯ 王城での出来事

私には好きな人がいる。地球にいた頃から好きだった。
だけどこれは、私だけの秘密。
あの頃は1人だった彼をただ目でおっていくうちにいつの間にかに好きになっていた。

私達は異世界に来て、早々ダンジョンに潜った。そこで最もあってはならなく忌避していたことが起こってしまった。

そう、私の好きな彼、拓真君がダンジョンの底に落ちてしまったのだ。

「嫌、止めて、離してこのままじゃ拓真君が…ﾋｸﾞｯ…ｳｸﾞｯ」

私はその光景を見た瞬間に、思わずその穴に飛び込もうとしていた。
そして私は、誰かのために手によって寝かされた。

そして、翌朝、目が覚めると横に紗希がいた。
紗希は、とても悲しそうな顔をして下に俯いたまま動かなかった。

「ねぇ、紗希、拓真君はどこ？」

紗希は何も言わずに数分間動かなかった。
その間、莉乃は泣きそうな顔で紗希を見つめていた。
やがて、紗希の口が動き出した。

「いなくなった」

とても消え入りそうなか細い声で正確にそう言った。

「うぁぁぁぁぁぁぁぁ！嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…ねぇ…嘘って言ってよ…ねぇってば…」
「…拓真君が、そんなこと、ないよね…ﾋｸﾞｯ…ｳｸﾞﾂ…」

莉乃は涙声で叫び、泣き喚いた。
紗希は、そりも無理もないと思った。なんて言ったって彼女の好きな人が死んだかもしれないから…

その後莉乃は、王城の自室に引きこったきり出てこなくなってしまった。
もっとも、光輝達がお見舞いや、部屋から出るように説得をしてみたけれど、帰ってきたのは、元気のない否定の言葉ばかり。

二週間がたった頃、少し腹立った紗希が、部屋に押し入った。

「莉乃、あんた本当にそんなんでいいの？もし私だったら、もうそろそろ区切りを付けて、行動を起こすけど？」
「そんなこと言っても、拓真君がいないのにどうしたらいいのかわからないよっ！」
「私なら、まだ生きていることを信じてまだダンジョンに潜るけどね。」
「そうだけど…でも…」
「まぁ、莉乃は好きはその程度だったのね。」
「違う！それだけは絶対に！」
「じゃ、行動に移してみなさい。」

紗希は去り際にそのようなことを言って部屋から出ていった。

それから明後日、ついに莉乃は、部屋から出てきた。
朝の食事場で、目を真っ赤にしてこう言った。

「私、拓真君が生きていることを信じてもう一度ダンジョンに潜ってみる。それが、小さな希望だと分かっているし、想像を絶する厳しさだと言うことも分かっている。」
「でも、それでも、私に力を貸してください！お願いします！」

昨日夜また泣いたのだろうとわかる目で、そう告げられた。
それに上がる声はまちまちで、

「やってやろじゃねーか！」
「その声を聞きたかったわ！」
「チッ」

最後に光輝がまとめた。

「みんなで、辰巳君の生存を信じて頑張ろう！」
「「「「おぉぉぉぉ！！！！」」」」

ふと横を見てみると、紗希が満足そうに、うんうん、と頷いているのであった。

「拓真君、絶対に迎えに行くからね！」
「その為にどんなことでも頑張るから！」

そう1人呟くのであった。

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？？？？視点

その頃、ダンジョンでは、拓真がカタストロフィとの戦闘が始まり、そのまだ上の階層では、莉乃達にある陰謀が迫ろうとしていた。

「これであのお方も、さぞお喜びになられることでしょう。フッハッハッハッハ！」
「後は最終段階に入るだけですね。完成したのなら私達の不安因子がなくなることでしょう。」

そのようなことを嬉々として薄ら笑いをしながら、呟く者がいた。
最もこれが実行されるのもまだ少し後だ。そして、これが波乱を起こし、ある者の願いが叶うきっかけとなることを言うことを知る者は、誰一人としていたいないのである。