勇者でわなく魔王で呼ばれたから頑張って生きる

柚子華

15話

あれから半年・・・
陸斗改めリタ(4ヶ月前から名乗り始めた)は、
Sランクの門を叩こうとしていた。


あの時、左腕を持っていったのは「ゴブリンオーク」と言い、体がゴブリンのくせにオークに負けない力を持ちながらもかなりの敏捷、スキルを持つランクAの魔物だった。

そして、あの時に半身を覆ったのはやはり神力法護であり怪我をした部分を凍らせ止血するといった離れ技を一瞬で終わらせてしまったため、後遺症もなかった。

それどころか陸斗はそれを元に魔法を理解し、
極鎧きょくがい」と呼ばれるまでになった。
そのせいでいろいろあったのだが・・・
まぁそれはそれだろう。


(現役のSランクか・・・どのくらいだろうな)
「入ってくださーい」
「はーい」
広い闘技場の中に一人男が佇んでいた。


「お、やっときたか。」
「はあ、なんかすみません。」
「別に構わん。というか今までのやつら、 が全員ガッチガチだったからな。その点、お前は大丈夫そうだな。」
「ええ、まあ。格上相手は何度もやってますからね。」
「よし。じゃあやるか!」
「ルールの説明しますね。
・気絶及び降参で敗北
・武器はこちらが用意したものを使用
・即死するレベルの魔法、攻撃は禁止
以上です」
では・・・始め!


「先に名乗っておくか。俺は「秘矢ひしゃ」のローグだ!」
「俺は・・・知ってるっぽいですね。」
「ああ、知っている!そして先手はもらったぁ!」
ローグは言うが早いか同時に5本まとめて矢を放っていた。対して陸斗は
飛矢ひしゃか・・・それって当たり前じゃないのか?)
と勘違いしていた。
「よっ・・・と・・・」
陸斗は1、2本目を槍を回して防御し、3、4本目を回避、5本目を刃先の側面に乗せるように回転、投げ返した。
・・・ものの、狙いがずれ、少し左にずれてしまった。
投げ返した遠心力を使い、すぐに距離を詰めた一突は楽に回避されてしまった。



(こいつ・・・見えてる・・・・のか?)
ローグは自身の二つ名でもある「秘矢」
を放った・・・はずなのだが完璧に返され、さらにカウンターまでされてしまった。彼にとって初めてのことであり、そして彼のプライドを傷つけることになってしまった。



陸斗はローグの顔から笑みが消えたことに気づき、集中し直した。
その直後、ローグが詠唱を始め高ランク技能である「ステラ」を使おうとしている時、かなりの魔力を使用していることから、真上への受け流しを意識し、神力法護の氷属性を発動させ、じっと待っていた。

そして、放たれたステラを神力法護の氷を左半身に集中させ、完璧に返し勝負はついた。

「ははっ・・・ばけもんかよ・・・。」
「最高の褒め言葉ですね。」
こうして無事に陸斗改めリタはSランクと認められた。

スゥは昔陸斗が教えた牙突もどきを実行してしまい相手の足を切り取るハプニングがあったが、スゥの「完全治癒フルヒール」があったおかげで無事に昇格した。

これを元に、「血癒の女性ブラッドヒール」とつけられてしまったが。

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