アラフォー女性獣医師は、チートな元獣に囲まれて混乱している
第十八話 大河ってこんなに大きいの……
トーネス大河。
サウザンドリーフ王国とトーンツリー共和国の国教に流れる大河。
この大河を渡るか、迷いの森を抜けるのが2つの国を移動する方法になる。
大河という名は伊達ではなく、対岸を見るためには少し高台へ登らないといけない。
一部の河川域以外は水棲魔物の天国で、安全に渡河出来るポイントは限られている。
そして今は、国王特権で特別船でその大河を横断している。
「すっごい広い! 海と変わらないね!」
「海と違って揺れないから……まだ平気……」
そう言っているナツの顔色は悪い。
「大丈夫?」
「ああ、この船、揺れも少ないしすごい楽だけど、やっぱり水の上だと思うとね……」
「ナツ殿、中のほうが快適なのではないですか? 素晴らしい設備でしたぞ?」
「いや、風がないともっと酷いのは試してわかった。
まだマキのそばにいたほうがましだ……って、暖かいなぁ……楽になってきた……」
「酔を止める魔法は無いのですが、少しは楽になればって……」
「ああ、助かるよナギ、ほんとに楽になった」
ナギちゃんがナツに回復魔法をかけてあげている。優しいなぁナギちゃんは!
「ねぇねぇアキちゃん! たまに水面がバチバチしてるのはなんで?」
「ああ、それはやなぁ……トウジはん頼んだ!」
「えっ、ああ、あれは魔物よけの魔法だな。
このルート上にはあまり強い魔物はめったに来ない、それでも魔物はいるからそれを近づけないために船底に常時魔法陣を展開して魔物を寄せ付けないようにしている。
流石にこのレベルの船は乗ったことがないが、振動も低減されているし、本当に快適だな」
メガネをクイッとやりながらトウジが説明してくれた。
「……残念ながらー快適な旅も~悲しいかな終わりを告げるようです~。
水中をお客さん一団が近づいてきていますねー。
明らかにこの船を狙ってきてますねー」
リッカの言葉で全員に緊張が走る。
「リッカはん時間はどれくらい?」
「うーん5分もあれば突撃されちゃうねー」
「船長! 緊急加速装置起動!」
「わかりました!」
船上に緊張が走る。
「全員魔力で固定するなりしっかり捕まっとれやー!」
「アキネスカ様準備完了です!」
「行くでー! 緊急加速装置稼働!」
アキの号令とともに、船が加速を始める、ぐんぐんと速度が上がっていくけど、水との衝撃は殆ど感じない、水面の風景は飛ぶように過ぎていくのに船の上は怖いほど静かだ。
風さえも魔道具によってコントロールされているために現実味がない。ゲームでもしてるみたいだ。
「リッカはん、敵さんはどんな様子や?」
「方向を変えて追ってきてるけど、距離は少しずつ離れてるね……っと、あちらもスピード上げてきたね……」
「水上で戦うのは危険すぎるから、なんとか対岸まで……」
ハルが真っ青なナツを看病している。かわいそうなナツ、もう船には乗れないな……
「ああ! わかっとる! 船長! 街へこのまま入ると被害が出るさかい、西の草原地帯に『上陸』するで!」
「わかりました『上陸』準備をします!」
とんでもないスピードで進む船は、あっという間に対岸を視野に捉える。
そのままものすごい勢いで対岸が近づいてくる。
「おい! アキ! このままじゃ船ごと木っ端微塵だぞ!」
ハルが叫ぶが、アキは満面の笑みでサムズアップで答える。
「BB商会の船を甘く見たらアカンで!」
次の瞬間船体が浮上したような衝撃を受ける。
周囲を見ると水がすごい勢いで弾かれている。
「まー、これも向こうであった技術やね。ホバークラフト、水陸両用や!」
そのまま河川敷に猛スピードで『上陸』する。
「敵も河川敷に出るよー」
背後を見ると魚のような鱗を持った人形の魔物が水面からぴょんぴょんと飛び跳ねて着地していく。
「ここらへんでええやろ、船長! ウチらを降ろしたら完全防御結界発動してなー」
草原の中ほどに船を止める。
私たちは全員草原へと飛び降りる。
直後に船には巨大な結界が展開され、同時に私たちは敵と対峙することになる。
【まさかオレらが追いつけねーとは……人間ごときが生意気な……】
先頭にいる一際大きな半魚人みたいな魔物が口を開く。
水系の魔物ならお約束の三叉の槍を持って、大きく避けた口が想像とは違って可愛い声で話すのは少しギャップ萌えがあるかもっしれない。
【まぁいい。聖女一味を倒せば空いた五本指の席に座れるのは間違いない!
大河を護り続けたオレにもようやく派手な活躍の場が出来たってものだ!
我が軍勢、陸に上がっても魔王軍屈指であるところを見せてやる!】
魔物たちの頭上に魔法陣が展開される。
「えーっと、水を操る大規模魔法陣かなぁ……」
「マキ君! 魔法陣判別が出来るのか!!」
「あ、えーっとなんとなく? あっほらほら川の水が柱みたいになってるよー」
「くっ……これはまずい! 先手を取られました! 皆さん防御魔法展開します集まってください!」
「えーっと、あの水なんとかすればいいんだよね。よいしょっと、えっと……唸れ白雪!」
ちょいちょいっと魔法を組み上げて発動する。
色白で病弱な、それでいて氷雪系最強の白雪きゅんをイメージしてみました。
魔法陣から吹き荒ぶ極寒の嵐は魔物たちを一切の温情を挟む隙もなく包み込む。
絶対零度。
物理的な温度の下限である究極の状態。
もちろん分子運動を低下させる魔法は超高等魔法、つまり、究極に至った魔法をよいしょっととおばさんみたいな発言とともにここに顕現させたのであった。
自分が組み上げた魔法陣から放たれた風は魔物たちを包み込んで、魔物たちが発動しようとした水柱を巨大な氷柱へと変えていた。
魔物たちも一瞬で凍りつき、先頭にいた半魚人さんがビシビシと音を立てて崩れ去るのを合図に、全ての魔物、そして氷柱は粉々に砕け散り、霧のように霧散していった。
「キャー! かっこいいー!」
白雪きゅんの技っぽく再現できたのでワタシ的には大満足です!
「……マキ……さん……今のは……?」
「水をなんとかしなくちゃ!と思って、なら凍らすかー、からの氷雪魔法なら白雪きゅんでしょー!
どうせなら絶対零度でやっちゃえー! って感じ?」
「……現代知識による魔法構築……おそろしいな……ナギ様、わかりましたか?」
「う、うん。理論的には、ただ、どれだけの魔力を込めればこの魔法を発動できるのかは想像もつかない……マキさん……頭が痛くなったりだるさが出たりしないんですか?」
「うん? ……全然平気だよー? 自分の魔力はあんまり使わないで、空気中にある魔力みたいなのを取り込んで発動してるからね」
「なっ!!! マナの魔力化ということですか!!?」
「な、ナギちゃん近い近い……」
珍しくナギちゃんが食いついてきた。後ろではトウジがワナワナと震えている。
この後物凄く二人に問い詰められた……
凍りついた河はちゃんと溶かしておきました。
「そういえば、私好きなキャラ氷系ばっかりだなぁ……」
どーでもいいことを考えた。
「どちらかっていうとマキは弱々しいキャラ好きだよな」
陸が近くなって元気になったナツがノってくる。
「弱キャラ多いんだよね……なんか不遇キャラは愛してあげたくなるっていうか……
炎とか風とかはアタッカーとして超優秀だし、土系もサポートで強いじゃん!
なのに水系は、回復気味なのに、回復してる暇ない敵ばっかだし……
じゃぁ攻撃って言うと火力不足だし……使ってあげなきゃって気持ちになるでしょ?」
「急に早口になるなよ……」
世の中は不条理である。
それから船を河に戻して街へと舵を向ける。
「はぁー、あれ使ったからメンテにどれくらいかかるやろ?
王様達負担してくれへんやろか……」
「どうしたのアキちゃん?」
「いやな、あの陸上走行は船にダメージでかいんや……
底部魔道具の修理になんぼかかるか考えたくもない……
今からドックへ行って確認せんと……」
はぁーーーーー……と大きなため息をつくアキちゃんが可哀想だから一緒に着いていくことにした。
港状になっている場所に船はつけられてすぐにドックに入院になる。
「頭取ー、これ……竜骨逝ってますね……」
そして、アキちゃんにトドメの一撃が打ち込まれる……
「な、なんやて……国王船の作り直し……、や、ヤバイ……」
「いつもみたいに魔法でぐにぐに~って直さないの?」
「馬鹿言わんといて! こんなでかいのいじったら死んでまうわ!」
吊るされている船を見上げると、なんとなく損傷している場所がわかる。
アキちゃんも魔道具を見ながらそんなこと言っていた。
さらに魔法で物質を変形させて構築する方法も見せてもらっている。
「あそこが歪んでるのと、そこが折れてるんだよね?」
「おお、さすが頭取のお連れ様! その通りです。
この船は国王様に納めた一級品ですから、底部と言ってもその素材には最高級の物を使ってまして……」
「アカン、無理や、ヤバイ、BB商会最大のピンチや……」
アキちゃんが上の空でブツブツと言葉を発している。
何やら大事みたいだけど……
「アキちゃん、これでどう?」
「何がやねんマキちゃん……今はそれどころ……じゃ……」
「治ってる?」
「治っとる……治っとるで!! 棟梁! ウチの見間違いじゃないよな? 治っとるよな?」
「え!? ……間違いない……治ってます……信じられない……」
「あと、そっちの魔道具とここも治しといたから、これで元通り!」
「ま、ま、ま、マキちゃー---ーーーん!!!」
この後すっごいちゅ~された。
サウザンドリーフ王国とトーンツリー共和国の国教に流れる大河。
この大河を渡るか、迷いの森を抜けるのが2つの国を移動する方法になる。
大河という名は伊達ではなく、対岸を見るためには少し高台へ登らないといけない。
一部の河川域以外は水棲魔物の天国で、安全に渡河出来るポイントは限られている。
そして今は、国王特権で特別船でその大河を横断している。
「すっごい広い! 海と変わらないね!」
「海と違って揺れないから……まだ平気……」
そう言っているナツの顔色は悪い。
「大丈夫?」
「ああ、この船、揺れも少ないしすごい楽だけど、やっぱり水の上だと思うとね……」
「ナツ殿、中のほうが快適なのではないですか? 素晴らしい設備でしたぞ?」
「いや、風がないともっと酷いのは試してわかった。
まだマキのそばにいたほうがましだ……って、暖かいなぁ……楽になってきた……」
「酔を止める魔法は無いのですが、少しは楽になればって……」
「ああ、助かるよナギ、ほんとに楽になった」
ナギちゃんがナツに回復魔法をかけてあげている。優しいなぁナギちゃんは!
「ねぇねぇアキちゃん! たまに水面がバチバチしてるのはなんで?」
「ああ、それはやなぁ……トウジはん頼んだ!」
「えっ、ああ、あれは魔物よけの魔法だな。
このルート上にはあまり強い魔物はめったに来ない、それでも魔物はいるからそれを近づけないために船底に常時魔法陣を展開して魔物を寄せ付けないようにしている。
流石にこのレベルの船は乗ったことがないが、振動も低減されているし、本当に快適だな」
メガネをクイッとやりながらトウジが説明してくれた。
「……残念ながらー快適な旅も~悲しいかな終わりを告げるようです~。
水中をお客さん一団が近づいてきていますねー。
明らかにこの船を狙ってきてますねー」
リッカの言葉で全員に緊張が走る。
「リッカはん時間はどれくらい?」
「うーん5分もあれば突撃されちゃうねー」
「船長! 緊急加速装置起動!」
「わかりました!」
船上に緊張が走る。
「全員魔力で固定するなりしっかり捕まっとれやー!」
「アキネスカ様準備完了です!」
「行くでー! 緊急加速装置稼働!」
アキの号令とともに、船が加速を始める、ぐんぐんと速度が上がっていくけど、水との衝撃は殆ど感じない、水面の風景は飛ぶように過ぎていくのに船の上は怖いほど静かだ。
風さえも魔道具によってコントロールされているために現実味がない。ゲームでもしてるみたいだ。
「リッカはん、敵さんはどんな様子や?」
「方向を変えて追ってきてるけど、距離は少しずつ離れてるね……っと、あちらもスピード上げてきたね……」
「水上で戦うのは危険すぎるから、なんとか対岸まで……」
ハルが真っ青なナツを看病している。かわいそうなナツ、もう船には乗れないな……
「ああ! わかっとる! 船長! 街へこのまま入ると被害が出るさかい、西の草原地帯に『上陸』するで!」
「わかりました『上陸』準備をします!」
とんでもないスピードで進む船は、あっという間に対岸を視野に捉える。
そのままものすごい勢いで対岸が近づいてくる。
「おい! アキ! このままじゃ船ごと木っ端微塵だぞ!」
ハルが叫ぶが、アキは満面の笑みでサムズアップで答える。
「BB商会の船を甘く見たらアカンで!」
次の瞬間船体が浮上したような衝撃を受ける。
周囲を見ると水がすごい勢いで弾かれている。
「まー、これも向こうであった技術やね。ホバークラフト、水陸両用や!」
そのまま河川敷に猛スピードで『上陸』する。
「敵も河川敷に出るよー」
背後を見ると魚のような鱗を持った人形の魔物が水面からぴょんぴょんと飛び跳ねて着地していく。
「ここらへんでええやろ、船長! ウチらを降ろしたら完全防御結界発動してなー」
草原の中ほどに船を止める。
私たちは全員草原へと飛び降りる。
直後に船には巨大な結界が展開され、同時に私たちは敵と対峙することになる。
【まさかオレらが追いつけねーとは……人間ごときが生意気な……】
先頭にいる一際大きな半魚人みたいな魔物が口を開く。
水系の魔物ならお約束の三叉の槍を持って、大きく避けた口が想像とは違って可愛い声で話すのは少しギャップ萌えがあるかもっしれない。
【まぁいい。聖女一味を倒せば空いた五本指の席に座れるのは間違いない!
大河を護り続けたオレにもようやく派手な活躍の場が出来たってものだ!
我が軍勢、陸に上がっても魔王軍屈指であるところを見せてやる!】
魔物たちの頭上に魔法陣が展開される。
「えーっと、水を操る大規模魔法陣かなぁ……」
「マキ君! 魔法陣判別が出来るのか!!」
「あ、えーっとなんとなく? あっほらほら川の水が柱みたいになってるよー」
「くっ……これはまずい! 先手を取られました! 皆さん防御魔法展開します集まってください!」
「えーっと、あの水なんとかすればいいんだよね。よいしょっと、えっと……唸れ白雪!」
ちょいちょいっと魔法を組み上げて発動する。
色白で病弱な、それでいて氷雪系最強の白雪きゅんをイメージしてみました。
魔法陣から吹き荒ぶ極寒の嵐は魔物たちを一切の温情を挟む隙もなく包み込む。
絶対零度。
物理的な温度の下限である究極の状態。
もちろん分子運動を低下させる魔法は超高等魔法、つまり、究極に至った魔法をよいしょっととおばさんみたいな発言とともにここに顕現させたのであった。
自分が組み上げた魔法陣から放たれた風は魔物たちを包み込んで、魔物たちが発動しようとした水柱を巨大な氷柱へと変えていた。
魔物たちも一瞬で凍りつき、先頭にいた半魚人さんがビシビシと音を立てて崩れ去るのを合図に、全ての魔物、そして氷柱は粉々に砕け散り、霧のように霧散していった。
「キャー! かっこいいー!」
白雪きゅんの技っぽく再現できたのでワタシ的には大満足です!
「……マキ……さん……今のは……?」
「水をなんとかしなくちゃ!と思って、なら凍らすかー、からの氷雪魔法なら白雪きゅんでしょー!
どうせなら絶対零度でやっちゃえー! って感じ?」
「……現代知識による魔法構築……おそろしいな……ナギ様、わかりましたか?」
「う、うん。理論的には、ただ、どれだけの魔力を込めればこの魔法を発動できるのかは想像もつかない……マキさん……頭が痛くなったりだるさが出たりしないんですか?」
「うん? ……全然平気だよー? 自分の魔力はあんまり使わないで、空気中にある魔力みたいなのを取り込んで発動してるからね」
「なっ!!! マナの魔力化ということですか!!?」
「な、ナギちゃん近い近い……」
珍しくナギちゃんが食いついてきた。後ろではトウジがワナワナと震えている。
この後物凄く二人に問い詰められた……
凍りついた河はちゃんと溶かしておきました。
「そういえば、私好きなキャラ氷系ばっかりだなぁ……」
どーでもいいことを考えた。
「どちらかっていうとマキは弱々しいキャラ好きだよな」
陸が近くなって元気になったナツがノってくる。
「弱キャラ多いんだよね……なんか不遇キャラは愛してあげたくなるっていうか……
炎とか風とかはアタッカーとして超優秀だし、土系もサポートで強いじゃん!
なのに水系は、回復気味なのに、回復してる暇ない敵ばっかだし……
じゃぁ攻撃って言うと火力不足だし……使ってあげなきゃって気持ちになるでしょ?」
「急に早口になるなよ……」
世の中は不条理である。
それから船を河に戻して街へと舵を向ける。
「はぁー、あれ使ったからメンテにどれくらいかかるやろ?
王様達負担してくれへんやろか……」
「どうしたのアキちゃん?」
「いやな、あの陸上走行は船にダメージでかいんや……
底部魔道具の修理になんぼかかるか考えたくもない……
今からドックへ行って確認せんと……」
はぁーーーーー……と大きなため息をつくアキちゃんが可哀想だから一緒に着いていくことにした。
港状になっている場所に船はつけられてすぐにドックに入院になる。
「頭取ー、これ……竜骨逝ってますね……」
そして、アキちゃんにトドメの一撃が打ち込まれる……
「な、なんやて……国王船の作り直し……、や、ヤバイ……」
「いつもみたいに魔法でぐにぐに~って直さないの?」
「馬鹿言わんといて! こんなでかいのいじったら死んでまうわ!」
吊るされている船を見上げると、なんとなく損傷している場所がわかる。
アキちゃんも魔道具を見ながらそんなこと言っていた。
さらに魔法で物質を変形させて構築する方法も見せてもらっている。
「あそこが歪んでるのと、そこが折れてるんだよね?」
「おお、さすが頭取のお連れ様! その通りです。
この船は国王様に納めた一級品ですから、底部と言ってもその素材には最高級の物を使ってまして……」
「アカン、無理や、ヤバイ、BB商会最大のピンチや……」
アキちゃんが上の空でブツブツと言葉を発している。
何やら大事みたいだけど……
「アキちゃん、これでどう?」
「何がやねんマキちゃん……今はそれどころ……じゃ……」
「治ってる?」
「治っとる……治っとるで!! 棟梁! ウチの見間違いじゃないよな? 治っとるよな?」
「え!? ……間違いない……治ってます……信じられない……」
「あと、そっちの魔道具とここも治しといたから、これで元通り!」
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