君は僕の気持ちを知らない

ノベルバユーザー13583

憂鬱な時

ピピピーー

目覚まし時計の音が鳴り響く。
僕は布団から出ないまま手を伸ばし手探りで鳴り響く時計を探し止める。

はぁ…また、この時間が来たか…

僕はため息をつきながらベッドから出る。
『樹、早く降りて来て朝ご飯食べなさい!』
『はーい…』
僕は下からの母さんの言葉を適当に返しながら部屋を出て階段を降りる。

『樹、早く支度しないと鈴音ちゃんが来ちゃうよ。』
『うーん…』

僕は眠気と戦いながら朝食を食べる。
うちの家の朝食はいたってシンプルだ。
食パンにベーコンエッグにヨーグルトの3つに飲み物である。
時々、和食の時があるが基本はこの3つだ。
飲み物はコーヒーかお茶か牛乳が冷蔵庫にあるが僕は朝は飲まない派なので何も飲まない。
どうしても朝起きてすぐに何かを飲むと気持ち悪くなってしまうからである。
例外は和食の時の味噌汁ぐらいのものだ。

僕は作業のように朝ご飯を食べ、洗面所に行き、顔洗うのと歯磨き等を済ませて自分の部屋に戻り着替える。

『樹、鈴音ちゃんが待ってるわよー。早くしなさい!』
『はーい。』
樹は鞄を持ち部屋を出て玄関で靴履きドアを開くといつも通り鈴音が表札の前に立っていた。

『待たせてごめん…』
『も〜う、樹はいつも遅いだから〜』
『ごめん…』
『うん、いいよ。それより行こ!』
『うん…』
僕は歯切れの悪い返信を返した。


僕は今日も幼馴染の鈴音と一緒に登校する。
今までは1日で最高に楽しみだったこの時間は今では苦痛でしかない。
正直、僕とではなく彼氏である滝川先輩と一緒に登校して欲しいものだ。

まぁ、下校の時は解放されるからまだマシか…

僕は帰宅部で鈴音は陸上部なので下校の時間被らないので下校は僕は1人で鈴音は滝川先輩と一緒に帰っている。

前までは一緒に帰りたいという精神でわざと図書室で鈴音の部活の時間が終わるまでこもり、偶然を装う形で部活終わりの鈴音と校門で会うように計らい一緒に帰っていた。
もちろん、毎日ではない。週に1.2度ぐらいの間隔でやっていた。

まぁ、もうそんな事する必要なんてないんだけどね…

ここの所は僕は下校帰りに病院によって未来ちゃんと会うようになった。

父がギックリ腰から治ってからも毎日のように通っている。
大体は雑談をして終わる。
そして、帰りに必ず神社に行きお参りをする。
これが最近の僕の日課になっていた。

何にしてもこの時間が一番が憂鬱だ。
鈴音が口を開くたび出てくる滝川先輩との惚気話し、鈴音は鈍感なのか僕がイライラしていることに気づかす話し続ける。

ふっと僕は、今この場で鈴音に告白してみたらどうか。なんて事が頭によぎった。

もし、ここで僕が鈴音に告白すれば100%振られるだろう。
その結果、鈍感で天然な鈴音でも気まづくなって話掛けて来ないではないだろう…。その結果、僕らは中学2年の頃のように疎遠になるはずだ。

完璧だ。完璧過ぎる作戦だ…

樹はそう思い、いざ実行しようと鈴音に『なぁ、鈴音…』と言いかけた所で止める。
鈴音は不思議そうに『なあに?樹。』と顔をこちらに向けた。
『ごめん、何でもないよ。』
僕は慌てて誤魔化した。

バカだな僕は…今までこの関係が壊れるのを恐れて何年も告白できなかったのに今僕は関係を壊す為に嘘の告白をしようとするなんて…

ホント何してるんだろ僕は…

『ホントこの数年なんだったんだろうな…』
僕の口から無意識に心の声が小さく漏れてしまった。
『樹、なんか言った?』
『いや、何でもないよ。』
僕は聞こえていなかった事にホッとし、誤魔化した。
『ふーん、でね滝川先輩がね・・・』
鈴音は気にせず惚気話を続けた。

いったい、いつになればこの憂鬱な時が終わるのだろうか…

樹はそう思い心の中でため息をつきながら鈴音の惚気話しに耳を傾け相槌を打ったり『良かったね〜』『幸せそうだね〜』『いいな〜』と適当に返答しながら学校に向かった。

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