異世界奮闘、チート兄

嚶鳴

報告

何事もなく無事に街へ着いたクオは、とりあえず受けていた依頼の達成と、山賊を壊滅させたことを報告するため、ギルドへ寄った。

大人数で押しかけるのもなんなので、ルノたちにはとりあえず酒場で待機してもらっている。

「あ、クオさんですか!今回は遅かったですね?」

早速クオに気付いた受付嬢が声をかけた。

「……依頼以外にもやることがあってな」

「……やること、ですか?」

「ああ。……依頼の途中で山賊にあってな。壊滅させてきた」

「さ、山賊……!か、壊滅ですか……」

「一応そいつらが蓄えていたものは全部回収してきたんだが。……これの扱いはどうなるんだ?」

「え、はい。……えーと。一度確認させていただいて、もしも持ち主から返却してほしいと依頼が来ていれば、持って来た人に伝えることになっていますね。……といっても、盗賊関係の財宝は、殲滅をした人に所有権がありますので、依頼主と買い取る値段の交渉などをしてもらいます」

「……断ることは?」

「もちろん出来ます」

「……なるほどな。分かった。……ああ、あと1つ、囚われてた人たちはどうするんだ?」

「そちらは、子供なら孤児院。大人は出来るだけ仕事を斡旋しますが……。そこで復帰出来るかはなんとも」

「……そうか。とりあえず、宝物はここで出せばいいか?」

「あ、それならこちらでお願いします」

そういって、奥へと引っ込んだ受付嬢に、クオは付いていくのだった。

結論だけ言うと、クオは全てを売り払うことにした。

武器類など収集で集めていたものに比べれば玩具に等しく、アクセサリーなどの装備品も、盗品を身につけるのは気が引けたのだろう。

いくつかの品は依頼があったらしかったが、かなりの品が残ったので、それはギルドで買い取ってもらっていた。

また、クオたちが壊滅させた山賊はかなり有名だったようで、賞金首も多く、討伐の確認が取れ次第ではあるが、おそらく白金貨30まいほどになるらしい。

「なあ、囚われてた人たちを、俺がなんとかしていいか?」

「……え、あ、はい。別に構いませんが……。何か考えがあるんですか?」

「ちよっとな。……それで、明後日くらいまでどこかに置いてやっててほしいんだが……」

「それなら問題ないです。そういう人たちを一時的に泊めてあげる場所があるので」

「分かった」

クオは、それを最後に聞くと、その場を後にした。

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「……で、ルッカ。さっきの洞窟でなんだが」

さっさと宿屋に戻ったクオは、気になっていた事を尋ねることにした。

「……洞窟ですか?」

「ああ。見えたって言ってたが、あれはどういうことだ?」

「……ああ。それですか。クオさん、鑑定すれば分かりますよ」

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名前 ルッカ   種族 ハイエストエルフ

年齢17

Lv72

HP4200

MP 76000

STR420

DEX1200

AGI590

INT1000

DEF390

スキル

弓聖 Lv10 

固有スキル

共有者 Lv2 精霊術

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共有者

・繋がりが深い者との五感、経験などの共有が可能。

現在の適応者

・セナ ・サタナ ・フィリア ・ルノ ・クオ

と、共有者のレベルが上がって規定が緩和されたのか、あの場にいた仲間全員が対象になっていた。

「……なるほど。レベルが上がったのか」

「そうなんです。なので、クオさんが戦っているところは直接見ました」

それを聞いたクオは、少し考えるような仕草をする。

「……分かった。なんにせよ、これで連携もとりやすくなるし、狩りの効率も良くなるな」

「えっと、はい。使わせていただけるなら、そうなると思います」

それに不思議そうに首を傾げるクオ。

「……?なんでそんな有用なスキルを使わないまま腐らせるんだ?」

不思議そうな顔をし返すルッカ。

「だ、だって、私のスキルを使えば、クオさんたちの色々なことを知ることができるんですよ?」

「当たり前だろ。何言ってるんだ?……どうせ旅を続けるなら、いつまでも隠し事をし続けるなんてできないだろ。バレるのが早いか遅いかの違いだろ?……問題あるのか?」

それを聞いたルッカは、しばらくぽかんとした後、嬉しそうに笑い出す。

「ふふっ。……そうでしたね。クオさんはそういう人でした」

「……よくわからないが、解決したなら早く寝るぞ。明日は早いからな」

「……?何か用事でも?」

その言葉に、クオは軽く笑って返す。

「……ああ。ちょっとな」

「クオさんの『ちょっと』ですか……」

もう一度笑ったルッカの頰は、かなり引きつっていた。

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