異世界奮闘、チート兄
武器
その刀を前に呆然としていると、また龍の声が聞こえて来た。
『どうじゃ?これなら問題ないじゃろ?』
「……あの刀がお前なのか?」
『そうじゃ!』
言われてまじまじと見てみると、確かに刀の柄は、龍の体に近い純白で、鐔や一部に金の装飾がされている。
龍の瞳は金色だったので、一応龍の色が全て使われていた。
『……そ、そんなに見つめられると、照れるのじゃ……』
しばらくクオか見ていると、龍がそんなことを言い出す。
何故かクネクネと身をよじる龍が見えて来るような、実に龍らしいセリフだった。
それに対し無言で近づくクオ。
そして刀を手に取った。
『な、なんじゃ、直ぐに手に取って。……もしかしてデレーー』
ドゴッ!
龍が言い切る前に、クオは刀を地面に叩きつける。
刀に傷は無かったが、地面がへこんでいることから威力の高さが伺えた。
『ああああ!?痛いのじゃ!?……主、暴力に頼りすぎじゃないかの!暴力反対なのじゃ!』
痛がりながらも開き直った龍に、クオは今度は刀を持った手を下におろし、投げ上げるように振り上げようとする。
利き足に若干力が入っており、蹴り飛ばそうとしていることは明白だった。
『ひいっ!うそうそ、主は本当に優しいお方なのじゃ!だからこれ以上何かしないで欲しいのじゃああああ!』
更に追い討ちをかけるクオに、それを見ていたルノとフィリアは苦笑い。
「なあ」
『なんじゃ!?呼び方がまずかったのかの!?主人と呼ぶのじゃ!だ、だから許して欲しいのじゃ!』
なすがままにされるのは堪らないと、必死に謝る龍。
それにクオは、
「お前が龍に戻ればいいだけの話じゃないのか?」
『…………』
その言葉によって龍は黙った。
『……娘ら2人は気付いておったのじゃ?』
そう語り掛けられた2人は刀から目を逸らす。
若干可哀想ではあったが、龍とクオのコントのようなやりとりと、なんだかんだで楽しそうな雰囲気に話しかけづらかったのだ。
その行動に龍は、2人の考え、ましてや、楽しそうな雰囲気だと思われていたなどと知るはずもなく、裏切られたような気持ちになった。
『儂に味方はいないのじゃああああ!』
そんな龍の心の叫びが、3人の脳に木霊した。
……とは言っても、あの性格の龍である。
数分もしないうちに、けろっと普通に会話をしていた。
「……お前、いい奴だな」
「……お兄様。このタイミングでその言葉は……」
クオがいい奴と褒めることなど初めてだが、この状況だとどう聞いても(都合の)いい奴にしか聞こえなかった。
2人は、本日二度目の苦笑いである。
しかし、龍は素直に捉えたようで、
『うむ!そうじゃろ?こんなに人道的な龍はなかなかいないのじゃ!』
そう得意げに言っていた。
「これは……、本当にいい龍ですね……」
「……ん。良くも悪くも素直」
それを聞いた2人がそう言い合ったのは言うまでもない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……で、お前使えるのか?」
落ち着いた頃、クオが聞く。
『まあ、鑑定すれば分かるのじゃ』
それもそうだと鑑定をした。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
神刀 八百万
・この刀で殺した相手のスキルを、1つ所有者が得る。
・心的な繋がりの深い相手のスキルのコピーをし、所有者に与える。
・所有者が得ることが出来るのは、1つのみで、新しく獲得する度、更新される。(スキルLv10になった場合は消去されない)
・収集の能力
・収集した武器を、必要水準スキルを消費することによって能力の強化が可能。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
何故自分の周りにはチートしかこないのかと頭を抱えるクオ。
『どうじゃ!ちなみに、武器を出す数に制限は無いぞ?これなら文句など無いじゃろ?』
もう既にクオは刀を腰に挿しているため、得意げに龍が言う。
実際そうなのだが、何となくイラついたので、頭を軽く叩いた。
それに痛っ!と悲鳴をあげる龍。
もう既にこのキャラで通りそうなことに内心危機感を覚える龍であった。
そんなことには当然気付かないクオは試しに
武器の強化をしてみようとする。
選んだのはフィリアの魔剣デナイアルだ。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
武器強化
魔剣デナイアル
必要スキル
剣聖 Lv10
闇魔法 Lv10
空間魔術 Lv10
時間魔術 Lv10
虚無魔術 Lv10
全知L
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
そっと画面を閉じた。
魔術などは、必要スキルに書いてあることから持っている人がいるのかも知れないが、まず今のままでは無理だった。
ちなみに、八百万も強化が可能だったが、必要スキルが剣神、魔神、技神のLv10であった。
これはアスタが、上位神の持つスキルだと言っていたし、デナイアルの全知は唯一神が持っている、自分の想像したものの全てを見通す能力らしい。
揃えるのはほぼ不可能だった。
ただし、この2つの能力が強すぎるせいなので、普通の杖や剣などは、剣士、特定の属性魔法使いのLv1などで強化が出来るようだ。
ただし、切れ味が上がる程度だが。
取り敢えず、上位の武器の強化を目標にしたクオは、フィリアにデナイアルを渡し、ルノはまだ血の武器を使ってもらう事にした。
下手な武器よりも、操血師の能力を使った戦いの方が強いからだ。
準備を終えた3人は、山を降り、偶に出てきた魔物を倒しながら、帰った。
『どうじゃ?これなら問題ないじゃろ?』
「……あの刀がお前なのか?」
『そうじゃ!』
言われてまじまじと見てみると、確かに刀の柄は、龍の体に近い純白で、鐔や一部に金の装飾がされている。
龍の瞳は金色だったので、一応龍の色が全て使われていた。
『……そ、そんなに見つめられると、照れるのじゃ……』
しばらくクオか見ていると、龍がそんなことを言い出す。
何故かクネクネと身をよじる龍が見えて来るような、実に龍らしいセリフだった。
それに対し無言で近づくクオ。
そして刀を手に取った。
『な、なんじゃ、直ぐに手に取って。……もしかしてデレーー』
ドゴッ!
龍が言い切る前に、クオは刀を地面に叩きつける。
刀に傷は無かったが、地面がへこんでいることから威力の高さが伺えた。
『ああああ!?痛いのじゃ!?……主、暴力に頼りすぎじゃないかの!暴力反対なのじゃ!』
痛がりながらも開き直った龍に、クオは今度は刀を持った手を下におろし、投げ上げるように振り上げようとする。
利き足に若干力が入っており、蹴り飛ばそうとしていることは明白だった。
『ひいっ!うそうそ、主は本当に優しいお方なのじゃ!だからこれ以上何かしないで欲しいのじゃああああ!』
更に追い討ちをかけるクオに、それを見ていたルノとフィリアは苦笑い。
「なあ」
『なんじゃ!?呼び方がまずかったのかの!?主人と呼ぶのじゃ!だ、だから許して欲しいのじゃ!』
なすがままにされるのは堪らないと、必死に謝る龍。
それにクオは、
「お前が龍に戻ればいいだけの話じゃないのか?」
『…………』
その言葉によって龍は黙った。
『……娘ら2人は気付いておったのじゃ?』
そう語り掛けられた2人は刀から目を逸らす。
若干可哀想ではあったが、龍とクオのコントのようなやりとりと、なんだかんだで楽しそうな雰囲気に話しかけづらかったのだ。
その行動に龍は、2人の考え、ましてや、楽しそうな雰囲気だと思われていたなどと知るはずもなく、裏切られたような気持ちになった。
『儂に味方はいないのじゃああああ!』
そんな龍の心の叫びが、3人の脳に木霊した。
……とは言っても、あの性格の龍である。
数分もしないうちに、けろっと普通に会話をしていた。
「……お前、いい奴だな」
「……お兄様。このタイミングでその言葉は……」
クオがいい奴と褒めることなど初めてだが、この状況だとどう聞いても(都合の)いい奴にしか聞こえなかった。
2人は、本日二度目の苦笑いである。
しかし、龍は素直に捉えたようで、
『うむ!そうじゃろ?こんなに人道的な龍はなかなかいないのじゃ!』
そう得意げに言っていた。
「これは……、本当にいい龍ですね……」
「……ん。良くも悪くも素直」
それを聞いた2人がそう言い合ったのは言うまでもない。
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「……で、お前使えるのか?」
落ち着いた頃、クオが聞く。
『まあ、鑑定すれば分かるのじゃ』
それもそうだと鑑定をした。
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神刀 八百万
・この刀で殺した相手のスキルを、1つ所有者が得る。
・心的な繋がりの深い相手のスキルのコピーをし、所有者に与える。
・所有者が得ることが出来るのは、1つのみで、新しく獲得する度、更新される。(スキルLv10になった場合は消去されない)
・収集の能力
・収集した武器を、必要水準スキルを消費することによって能力の強化が可能。
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何故自分の周りにはチートしかこないのかと頭を抱えるクオ。
『どうじゃ!ちなみに、武器を出す数に制限は無いぞ?これなら文句など無いじゃろ?』
もう既にクオは刀を腰に挿しているため、得意げに龍が言う。
実際そうなのだが、何となくイラついたので、頭を軽く叩いた。
それに痛っ!と悲鳴をあげる龍。
もう既にこのキャラで通りそうなことに内心危機感を覚える龍であった。
そんなことには当然気付かないクオは試しに
武器の強化をしてみようとする。
選んだのはフィリアの魔剣デナイアルだ。
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武器強化
魔剣デナイアル
必要スキル
剣聖 Lv10
闇魔法 Lv10
空間魔術 Lv10
時間魔術 Lv10
虚無魔術 Lv10
全知L
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そっと画面を閉じた。
魔術などは、必要スキルに書いてあることから持っている人がいるのかも知れないが、まず今のままでは無理だった。
ちなみに、八百万も強化が可能だったが、必要スキルが剣神、魔神、技神のLv10であった。
これはアスタが、上位神の持つスキルだと言っていたし、デナイアルの全知は唯一神が持っている、自分の想像したものの全てを見通す能力らしい。
揃えるのはほぼ不可能だった。
ただし、この2つの能力が強すぎるせいなので、普通の杖や剣などは、剣士、特定の属性魔法使いのLv1などで強化が出来るようだ。
ただし、切れ味が上がる程度だが。
取り敢えず、上位の武器の強化を目標にしたクオは、フィリアにデナイアルを渡し、ルノはまだ血の武器を使ってもらう事にした。
下手な武器よりも、操血師の能力を使った戦いの方が強いからだ。
準備を終えた3人は、山を降り、偶に出てきた魔物を倒しながら、帰った。
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