トランセンデンス・ストーリー

Meral

魔王編 第三話 魔衣と謎の部屋

レイが、自分の異常さに気付きメイビスから不気味な書物の閲覧許可を貰い部屋を退室した後王の執務室では…。

「まさか、彼があそこまでの頭脳を持ち合わせているとは正直未だに信じ難いな。」
「そうですわね…。って、自分の用件を忘れるところでしたわ。」
「ん?そういえばエリザベスも我に何か用があるんだったか?」
「えぇ、実は・・・・・・・ということなんです。ですのでその許可をと。」
「なるほど。まあ、好きにやるといい。」
「ありがとうございます。それでは早速行ってまいります。」
「分かった。くれぐれも迷惑は掛けてやるなよ。」
「もちろんですわ。」

そして、エリザベスも王の執務室から出ていった。
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「よし、王様から許可は貰ったし普通の書物と並行して読んでみるか。」

レイは、今日も書物庫に籠ろうと考えていた。

「とりあえずは、戦う力もそれなりに必要だな。」

いくら研究者とはいえ戦う力が無いと決まった訳では無い。レイには、2つの特異な魔法がある。これをうまく使えばどうにかなるんじゃないかとレイは直感ではあったがそう感じていた。

「さて、今日も頑張りますか。と、行きたいけど先に魔法について調べよう。」

それからレイは魔法に関する本などを計2000冊読み上げた。

「よし、大体は分かったけど使う時の感覚が分からないからそこはアニマさんに聞いてみよう。どこにいるんだろ?」

そして、レイはアニマを探して書物庫を出る。

「まあ、多分自分の部屋だろうな。確かアニマさんの部屋は・・・あっ、ここだったな。」

アニマに自分達の部屋を教えてもらった時に何かあればとアニマ自身の部屋も教えてもらっていた。

コンコン

「すいません、アニマさんいますか?」
「おや、その声は確かレイ君だったかな。」
「はい、そうです。」
「何か用かな?」
「はい、ちょっと教えて欲しいことが。」
「分かった、入りたまえ。」
「失礼します。」
「で、用とは?」
「はい、実は魔法を少しだけでもいいので教えて欲しいんです。」
「なるほど、君の職業だと近距離戦闘は難しいから魔法での後方支援という訳かな。」
「まあ、そんなところです。」
「いいだろう、教えてあげるよ。」
「ありがとうございます。」

僕は、頭を下げる。召喚された時は堅苦しかったけど今はかなり砕けて話してくれる。近所のおじいちゃんみたいだ。

「さて、まず魔法を使うには魔力がいるその魔力を消費して魔法を発動するんだが…少しステータスを見せてくれるかい。」
「はい、どうぞ。」
「ん〜、ちと少ないかのう。」

(やっぱりか、まだ光の半分も無いしな。)

「まあ、とりあえず今からワシが教えるのは魔力操作だ。これができるようになれば魔法もそれなりに使えるだろう。」
「分かりました。じゃあ、お願いします!」
「うむ、ビシバシいくぞ。」
「はい!」

それから、数時間アニマさんの指導のもと僕は魔力操作の特訓をした。

「ほほう、魔力量は心許ないがその割に筋が良いな指導しているこっちが楽しくなってきたわい。」

アニマはたった数時間で魔力操作を覚えたレイに好奇心を抑えられなかった。一方レイは…

「なるほど、魔力はほぼ常に自分の体内にあって魔法を使うと魔力が消費され空気中に漂う魔力まあ、魔素として、その魔素を体内に取り込んで自分の魔力とするのか。」

レイはアニマに教えてもらった魔力について考察していた。

(まず、自分の体内にある魔力を感じる。これをうまくコントロールさせる・・・・・・この感覚が魔力操作か。)

「よし、こんなもんだな。アニマさん色々教えて頂きありがとうございました。」
「いやいや、構わんよ。こちらも楽しかったしのう。」
「そうですか。では、失礼します。」
「またなにか困ったらいつでも来なさい。」
「はい…。」

そして、レイは書物庫に向かった。

「さてと、魔力操作を覚えたけどまだまだだろうなもっと時間を掛けて完璧な魔力操作をしたいんだけど僕の職業を鑑みてもおそらくその域に達するのにはかなりの時間を擁するだろうだから・・・。」


そう言ってレイが本棚から取り出したのはつい先程国王から許可を貰って探索した古代の文献の一つで古代魔法について書かれている本だった。

「これを使えば多分かなり僕は成長出来るはずだ。」

レイが取り出した本は古代魔法の一つ、時を操る魔法でこれを自分にかけることで周りとの時間のズレが生じ自分の感覚で1日経っても本当はまだ1時間しか経っていなかったという感じにできると思ったのだ。

「まずは僕自身が、この時の魔法を使えるかなんだけどステータスを見る限りじゃ古代魔法の一括りで書かれているから古代魔法なら全部使えるんだろうな。でも、なんでいきなり古代魔法なんて覚えたんだろう。全くと言っていいほど身に覚えがない。しかし、せっかく覚えたんだから有効活用しないとな。」

そして、レイは本を開けて時の魔法について解読を始めた。
・・・・・・・・・・・・・それから、30秒で…。

「なるほど、そういうことか。これで時の魔法を使えるな。」

本を読み始めて僅か30秒でレイは時の魔法をマスターした。

「やっぱりステータスによるアドバンテージがあるからすぐに覚えられたな。これはこれでなかなか凄いな。」

レイは、昨日見た光のステータスを思い出していたがそれと今の自分を比べると大分自分は偏ったなと思った。

(というか、偏り過ぎなんだけどね。主に頭脳に。)

そして、レイは時の魔法を発動した。

「これで、今僕と周りの時間の進み具合にズレが生じた筈だ。これで、とりあえず魔力操作の特訓をして時間を潰そう。」

それから、レイはひたすらに魔力操作の特訓に励んだ。何度も何度も自分の体内に魔力が循環してその感覚を完璧に掴むまで。

「あれから大体6時間が経ったかな?今の僕が出来る最大限の時の魔法を発動させたけど…。」

そう言って時の魔法を解除をして、予め用意していた時計を見ると…。

「・・・っ!これってまさか3秒しか経過してないか!?嘘だろ、6時間がたった3秒とか効率良すぎだろ。」

レイはこの時気付いていなかった。魔力操作の特訓をしながら、無意識に時の魔法の制御も行っていたことに。そして、そんな芸当を成し遂げるには相当な魔力量が必要になることも。この時のレイのステータスは既に召喚された者の中でいや、アトランタの中では適う者はいなかった。

「もう少し時の魔法を意識して使ってみてもう一度魔力操作の特訓をしよう。」

・・・・・・・・6時間後

「時の魔法解除・・・。これでよしと、さてどれ位経ったのか………1秒か。これはとんでもないことになりそうだな。」

それからレイは時の魔法を自在に操るようにするためにひたすら時の魔法を使い続けた。

「この魔法は時間をずらすだけで自分の肉体が変わる訳じゃないのか。時の魔法にも様々な種類があるみたいだな。そして、この魔法で今僕は100年を1秒にすることが出来るようになった。100年も自分の感覚では経ったのに肉体が変化しないのはそういう事だったみたいだな。つまり、肉体は元の時間軸で動いているから100年経っても本当は1秒だから、つまり僕はお腹も空かないし、眠たくもならないのか…。」

そう淡々とレイは1人で時の魔法について考察していた。

「これなら、とんでもない量の特訓の時間が出来るな。」

それから・・・・・

「あれから6000年過ごして、本当はたったの1分しか経っていなかったというのが驚きだな」

レイは考察を終えたあと自分の限界を知るために本気で時の魔法を発動した結果今に至る。

「もう大分魔力操作も出来るようになったし。自分のステータスも確認して、スキルの使い方も全部覚えたしね。」

そして、レイはある力に目覚めた。

「魔法は適性の属性が無いと魔法が使えないらしいけど、古代の書物を読んでみると適性が無くても魔力そのものを使って戦ってたらしいから、読み進めてみたら…。」

レイはその古代の書物のページをめくり、そこに書かれている力の名前を呟く。

「"魔衣"魔力を自分の体内と体外で循環させ驚異的な身体強化を施す術、これがあれば僕は戦える。」

そう言って、レイは魔衣の技の一つ"察"を発動させる。

「これは自分の操る魔力を薄く周囲に広げていろんな気配を察知する技だったな。よし、察!」

そして、レイは察を発動させた。

「おお…!今誰が何処にいるのかが正確にわかるな。」

レイは察を発動させ、今の自分の位置とその他の人達の気配で正確な場所を認識した。だが、

「………?あれ?あんな所に部屋なんてあったっけ?」

そう言って、レイは書物庫の端の本棚に目をやる。この時レイは察を城の中までしか発動させていなかった。レイはもう城の構造を完璧に理解していたのだが、自分が知らない場所を発見したのだ。城の地図にも載っていなかった場所だ。この時レイは謎の部屋に気を取られこの書物庫にもう一人誰かがいることに気が付かなかった

「少し調べみるか。」

そして、レイは謎の部屋の前に立つ。

「察で調べてみて多分ここが入り口っぽいんだけど。どうしようかな。」

レイは謎の部屋に行く前に目の前に立ちはだかる本棚を見ていた。この先に部屋があるのだがどう見ても本棚を無理矢理動かすのは得策ではないと判断できる。

「・・・・・・・!なるほど、そういうことか!魔法陣によるトラップだったのか。」

レイはあっという間に答えにたどり着いた。レイの前にある本棚の中には幾つか魔法陣が描かれた本がある。それを動かせば本棚が動く仕組みだ。そもそも何故そんな簡単に気づいたかと言うと、まず察による魔力感知で魔法が関係していることが分かる。更にレイは時の魔法で時間を増やしたことにより魔力操作の特訓以外にも色々とやっていた事があり、その一つが残りの書物の解読だった。その中の古代の書物で魔法陣の事が記されていた。それをレイは読んだだけで神にしか扱えないとされる魔法陣の解読と作成までもをマスターしていた。

「さて、これとあれとそれをこうして、それからここをこうしてっと。よし、これで魔力を流すと…!」

レイが本棚の本を動かし魔力を注いだ瞬間本棚が光りレイは眩しさで目を瞑る。そして次の瞬間目を開けると、

「・・!本棚が消えてる。そして…………。」

消えた本棚の先に続く長くもない道を進む。

「これが、察で感じた場所で間違いなさそうだな。しかもなんか異様な魔力を感じるような。」

レイが着いたのは今の城とはデザインが全く異なる部屋だった。まるで、隠れてここで何かをしていたような赴きだった。更にその部屋に入った途端レイはどう表していいか分からない不思議な魔力を感じた。

「ん?なんだこれ、本みたいだな?」

発見したのは古代語ではなく神の言語で書かれた本だった。

「多分これは神の魔導書だな。何でこんなものがこんなところに。」

レイは不思議に思いつつも本を開けた。その瞬間突然本が光りだし輝く文字がレイと本を囲んだ。そして、フラッシュが起こる。

「うわ!!・・・・・・・・・・んん?何が起こったんだとは行っても大体分かるけどな。はぁ、にしても開いた瞬間本が光るのは流石にびっくりしたな。俺じゃなかったらこんなに冷静に対処出来てなかったぞ。・・・・・あれ?俺?」

レイは自分の口調が変わっていることに気付き焦りの表情を浮かべた。

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