ゲーム持って異世界へ

ユリカ

◆◆さて、暴れるか!~その1

「ほれスターク、剣の斬れ味が悪くなったら使え」
と俺はミスリルの剣をスタークに渡す。
「ありが…って!?これミスリルじゃねぇか!」
とスタークは剣を受け取ると直ぐに素材を見抜き驚く。流石スタークだ。
「こんなん使えねぇよ!俺には高価過ぎる!」
「心配するな、折れても代金は取らねぇよ。俺が冒険者になってからスタークは初めて出来た仲間だしな、死んで欲しくねぇからな。それにまだ同じの数本持ってるし。」
とスタークが剣を突っ返してくるがそれを俺は押し返す。
「ほんとに……いいのか?」
「だからいいって、いいって。てか使ってやってくれ、剣も使われないより使われた方がいいだろう?」
と俺は渋々受け取るスタークにそう言い放つ。目はめっちゃ嬉しそうだが。これが俗に言う目は口ほどに物を言うってやつか?

『冒険者は持ち場に着いてくれ!』
俺達が話しているとギルマスの声が響き渡った。
「さて、行くか!スターク」
「おう!ハヤト!」
と俺とスタークも持ち場に向かった。

俺とスタークの持ち場は最前戦だ。
俺達の他には、AランクパーティーやBランクパーティー、Sランク数人とギルマスが来ているらしい。(※スターク情報)
「ギルマスも最前戦なのか?」
と俺はギルマスを見つけて声を掛ける。
ギルマスは数名と話していた。
「ハヤトか、俺も一応Sランク冒険者だからな。」
「この人らは?」
「ハヤトは会ったことがなかったな。紹介する、この赤髪のやつが【炎牙狼】のリーダーのエンガン、このナイスバディの蒼い髪の女性が【雫の鎮静】のリーダーのエローナ、ゴリラ見たいなやつが【鉄鋼】のリーダーゴルガルだ。全員Sランク冒険者だ。」
と三人の紹介をするギルマス。
「お前が最近話題になってるハヤトか。どっちが倒す数が多いか競わないか?」
とエンガンと呼ばれる赤髪の男がクク…と笑いながら言った。
うん。ヤバいやつだ。しかも武器が長いしでかい。
槍と大剣合わせたような、よくわからん武器だ。
「ふふ…よろしくねハヤト君。頑張りましょう~」
とエローナさんは手を振ってにっこり微笑む。
マジでナイスバディの人だ。締まるところは締まって出る所は出ている。
武器は持っておらず、杖を持っている所を見ると魔法使いなのだろう。
「俺がゴルガルだ。俺の武器はこの拳だ。よろしく。」
とゴルガルさんは丸太の様なごつい腕を見せてくる。
ゴリラとギルマスが言ったことわかる気がする。
なんでも殴り飛ばしそうだわ(笑)
「俺はハヤトよろしく。」
「おっ…俺はスタークです!よろしくお願いします!」
とスタークは敬語で挨拶をしている。
「何緊張してんだよスターク‪w」
「馬鹿かおめぇは!AランクパーティーのリーダーでありSランク冒険者だぞ!Bランク冒険者と比べれたら天と地との差があるんだぞ!」
とスタークは必死に説明をしてくる。
天と地との差って……言い過ぎじゃないか?
「そんな大袈裟な(笑)」
「スタークって言ったか?そいつの言うことはあながち間違っていないぞ。まぁハヤトの方が強いと思うがな。」
と俺とスタークの話にギルマスが割り込んできた。
「へぇ~」と関心する。
カーンカーンと音が鳴り出した。
「見張り台からの合図だ!絶対ぇ街の方に行かせるんじゃねぇぞてめぇら!」
とギルマスの声が風魔法の一種、“拡声”によって全域の冒険者に届き渡った。
「では、また後ほど~」
「ハヤトこれが終わったら闘おうぜ!」
「じゃあな。」
とエンガンとエローナさんとゴルガルはパーティーメンバーの所に戻って行った。




前方から大量の魔物と共に地響きが来る。
「近くで見るとすげぇ数だな。」
と俺は呟く。
まぁ…弱そうだけど(笑) 後なすっげー気になっているんだが…
「…って、ギルマスなんでまだ居るんだ?早く戻れよ…」
「ん?良いじゃねぇか!俺も暴れたいんだよ。心配するな指揮は部下に任せてある。」
とギルマスは吐かした。
それっていいのかよ!……とツッコミたいが今は魔物の群れだ。
もうどこかでは戦闘に入っているのか爆発音などが聞こえる。
“先に行くぞ!”とギルマスがどデカいハンマー?を担ぎ我先にと走り出して行った。
「スターク!俺らも行くぞ!」
と俺とスタークもその後に続き、他の冒険者もそれに続き走り出した。

レイピアで突いて突いて突きまくり魔物を倒していくがやっぱり感覚が違うと違和感があるな。あと軽い。
「ほぉーハヤトはレイピアも使えるんだな!結構難しいんだろそれ。」
と近くにいたスタークは珍しそうな顔をして言ってくる。
俺は“まぁな”と答え、また戦闘に戻る。
そうレイピアは難しいのだ。見た目の割に重く、相手の剣と絡まり易く、突くと言う動作の他に断ち切りにも使われる(と何かで読んだ。)まぁいつもの剣よりは断然軽いが…。
「それにしてもキリがないな…司令塔見たいな奴が居れば即片付きそうなのにな~」
「それなら二百メートルほど先に数体居るぞ。」
と俺の独り言にギルマスが入って、超大事な事をサラッと吐いてくる。
「・・・・・・・・・は?マジで?」
と俺は呆れ半分、怒り半分の顔で返すと“マジだ”とギルマスは返してきた。
「それを早く言えーー!!!!司令塔さえ倒せばこっちのもんだろが!?」
「言った。」
「は?」
「だから言ったぞ。」
「そう言えば、ハヤトが来る少し前に話してたな」
とスタークが話に割って入って来た。
マジで?俺が遅くに来たのが行けねぇ訳?
そんな理不尽な…。スタークも聞いてたなら教えてくれよ…。
「聞かれなかったしよ…知ってると思ってたんだよ。」
あれか?聞かなかったのが悪いってやつか?
なんか…仲間はずれにされているような…。
「イライラしてるから、ちょっと司令塔ぶっ飛ばして来るわ」
と俺は言って司令塔前まで風の魔法で超高速で飛んで行く。
『ブフォッ!?』
といきなり飛んできた俺に司令塔であろう奴らが驚き声を上げる。
が、直ぐに敵だと認識し“ぶひっーーー!!”
と叫び周りを囲んでくる。
「ここの司令塔はオークジェネラルか、って事はもっと奥にはキングとクイーンが居るかな! ……ッと!」
襲いかかってくるオーク達を倒しながら独り言を言う。
ぁあっー!くそっ!レイピア使いづれぇ!こんだけ離れていれば剣でもバレないだろ!もう変える!
と相棒の剣をアイテムボックスから取り出し、レイピアを仕舞う。
ふむ…落ち着く。やっぱこっちじゃねぇとな!
「さてと…ちょっと本気出しますかね!«殺気!»あんど…«超加速!»«スラッシュ!»」 
とスキルを発動させる。
殺気で相手の動きを止め、超加速で一気にスピードを上げ、時計回りに円状に斬る。
この技はこっちに来てから編み出したものだ。ゲームでは超加速とスラッシュは併用出来なかったからこっちでは出来るのではないかと思いつきダンジョンで試しに併用をしてみた。
そしたら出来たんだよなこれが…(笑)
なんでもありだなこれ……。
『ブモォオオオオオオオオオオ!!!』
とオークジェネラルが雄叫びを上げると、他のオーク達が下がりだした。
「一騎討ちでもしようってのか?」
『ブモォオオオオ!!!』
とオークジェネラルはもう一度上げ、超大型の斧を振り上げ、それを俺に向けて振り下ろしてくる。
それを真正面から受け止める。
やる気満々ってわけね。
「次はこっちから行くぜ!«重い一撃(ヘビー・ブロウ)!»」
と俺はオークジェネラルの真上に飛び上がり魔力で身体と剣の重さを数倍に上げる。
せぃ!と声を出し、振り下ろす。オークジェネラルはそれを斧で受け止めたが地面に足がめり込み始める。
「これで止めれたと思うなよ。」( ̄∇ ̄)
と俺はにやりとオークジェネラルを見て笑い、更に力を加える。
『ブモォ!?』
オークジェネラルの顔が驚きと焦りを隠せず顕になる。
「あばよ…」
と俺はかっこよく言う。
言ってみたかった言葉の一つだ。
オークジェネラルは真っ二つになり倒れた。
司令塔を失ったオーク達は慌て出し、後方に逃げるものまで出始める。
「これでここらのは形勢が崩れるだろ。一度戻ってからスタークとギルマス連れて行くか、このまま行くか、ん~~…戻るか。」
とまた俺は風魔法で超高速でスターク達の方に戻った。

ズゴーンと音を立て、クレーターを作り着地する。
「ただいま」
「やっぱハヤトだったか。」
「やっぱりってなんだよ?あとスタークは?」
「いや…超高速で近づいてくるものが見えたからな。そんな事するのは今はハヤトくらいだろうと思ったからな。」
「それは分かった。で?スタークは?」
と俺はスタークの姿が見えないからギルマスに聞く。
「流石に体力が持たんと思ってなポーションを貰いに行ってもらうと言う口実でさっき後ろに下がってもらった。」
「そうか…じゃあボスは俺一人で行くかな。」
「俺も行くぞ」
「ギルマスも来るのか?別にいいけど」
「こいつらでは全力が使えねぇ…。」
あ…暴れたいのか…ギルマスは。
よしギルマス=戦闘猛獣と付け足しておこう。
「ここはどうすんだよ?まだ魔物は来るぞ?」
「ハヤトが司令塔を倒したおかげで、魔物の統一感が消えた。後は倒す間くれぇなんとかなる。ここの冒険者は強ぇからな」
とギルマスは自慢げに言う。
「分かったよ。そんじゃ飛ぶぞ«風の大砲(ウィング・キャノン)!»」
と唱えると俺とギルマスの身体を風が包み、大砲から弾が出るように超高速で飛んだ。
ボス戦だー!

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