幻想妖華物語

ノベルバユーザー189431

幻想妖華物語~第三話.マガモノ-1~

楽園の素敵な巫女・博麗霊夢。
 人間界と幻想郷を博麗大結界で分け、弾幕ごっこを作り上げた張本人。
その雰囲気が感じられないのは今の彼女の状態を見ればわかる。詳しく、細かく見なくてもわかる。
それほどの禍々しさが目に見えてわかった。今の彼女を禍霊夢と名付けよう。
 「でも、あれは本物の霊夢だよ……何かに取り憑かれているみたい」
 「でも、どうやってその禍物を下ろすか……が問題だな」
 針妙丸の推察に影都は課題で返す。
 禍霊夢はまだその場を動いていないが、いつまでもとは限らないだろう。
 「舞狸、頼む」
 「……1、禍物を斬る」
 「禍物はきっと霊夢自身に根を張っている。それには霊夢ごと斬るしかない」
 「……2、お祓いする」
 「現時点でそれが出来る人がいない。探せばいるかもしれないが、時間がない」
 「……3、霊夢自身が禍物に打ち勝つ」
 「一番平和的な解決法だが、本人が覚醒しなければ意味がない。俺たちが出来ることもない」
ここまでいくつか案を出してみたが、中々良い案が浮かばない。
 「やっぱり、奇跡を信じて1を……」
 「待って!」
 突如大声を出して割って入る針妙丸に影都は出かけた言葉を閉じた。
 針妙丸は少し鼻声で抗議する。
 「霊夢は禍物に操られているだけなんだよ……霊夢ごと斬ったら、霊夢が……」
 「……それはわかるが、それ以外に方法が」
 「方法がないから、犠牲を出すの!?霊夢はそんなこと、一度もしなかった……」
 「…………」
 「いやだよ……霊夢、霊夢を〝助けて〟よ……!」

 「…………依頼か?」
 「…………え?」
 「俺たち『影之屋』への依頼だな?」
 「……頼まれたら、何でもやる。それが私たち」
 「私情で動くのは興が乗らない」
 「……自己心中な依頼は受け付けない」
 「だが、利益があるなら受け付ける」
 「……正当意見ならば、受け付ける」
 「「それが俺(私)たち『影之屋』だ」」
 「たまには世界を救う依頼を受けるのもいいんじゃないか?」
 「……同意見」
 「金は」「……正義」
 「客は」「……神様」
 「依頼料は後できっちりと払って貰おう」
 「……『影之屋』は客を裏切らない」
 「それに……」
その時、禍霊夢が二人に向かって数発の弾幕を射ってきた。
 影都は振り向きながら脳内で鎌鼬を想像して手を払うように振る。その一瞬で数発の弾幕は真っ二つに斬れて消滅。
 舞狸は手に霊圧を込めて、迫ってくる弾幕を薙いだ。これも消滅した。
 「「喧嘩事なら絶対に負けない」」
 禍霊夢はゆっくりと、しかし重みのある足取りで近付いてくる。
それを見た影都と舞狸はそれぞれの武器を構える。
 「解決法は舞狸に任せた。少しずつ削るぞ」
 「……了解」
 禍霊夢が飛びかかってきた。

さあ、弾幕ごっこ……もとい、戦闘だ。

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