新世界と転生の賢者

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天生健司とフレンド

共有している視覚を通じて私は確信する
これは私の元いた世界をベースに作られている
こんな芸当ができるのは私の世界を知るものしかいない



天翔は自分を救ってくれた英雄にして初のフレンド
フーキに手を振りながら別れを告げる

「いやぁ・・・かっこよかったなぁ!」

ゲームはしない俺だが相手を見てすぐにわかった事がある
赤髪と金髪は間違いなく腕のたつ冒険者だ
あの足さばき、恐らくなんらかの武術を心得ているのだろう(実際はスキルによるものです)
それを圧倒したフーキはまさに達人
時折見える青いきらめきが更に彼を幻想的な者に魅せた

「しかし・・・」

なんとかしてグラフ街まで行きたいが出鼻を挫かれてしまった
ここからもあんなやつが沢山いてはとても街まで行けそうもない

『やれやれ・・・仕方ない・・・ぬ?』

どこからともなく聞こえた空耳に頭を傾げていると一人の男が近づいてくる

「やぁ!君は初心者のようだね!私の看破のスキルがそう言っている!」

太くて大きなランスを持った眼鏡の長身が爽やかな笑顔でこちらに話しかけてくる

「最近ここは初心者狩りが多くてね・・・よかったら街まで護衛しようか?」
「それは・・・助かりますが・・・」
「なら私についてくると良い・・・ペガサス君だね」

ペガサス・・・幻想種の一種だった記憶がある

「いえ・・・僕は天翔てんしょうって言います」
「ああ!呼び方はそのままなんだね!私はランズロットしがない冒険者さ」

ランズロットは僕の肩に手を回すと頬を赤らめすぐ真顔になる

「・・・君は男かい?」
「?そうですけど・・・どうしてですか?」
「いや・・・何故だろうね・・・私にもわからないが・・・失礼した!」

ランズロットが少し体を離して謝る
親しい友人が少ない僕には正直このぐらいの距離感のほうが落ち着くからよかった

「じゃあこっちの道が一番近いからついてくるといい」

ランズロットさんが眼鏡をあげながら道案内をしてくれる

「・・・・・・」
「・・・・・・」

ち・・・沈黙がつらい・・・!
ランズロットさんは周囲を油断無く看破しながら先を進んでいるからなのだが・・・

「ランズロットさんはいつも人助けを?」

ついに沈黙に耐えれなくなった

「いや・・・普段はしないんだけどね・・・君と似たような経験が私にもあってね」
「ああー確かにゲームしなさそうな感じですもんね」
「そうだね・・・その時私に親切にしてくれた緑髪の良い男がいてね」

ランズロットさんは興奮しているのか頬を蒸気させて話を続ける

「お礼にひと肌脱ごうとしたんだが・・・奥ゆかしい人だったのか逃げるようにさってしまってね」
「へぇ・・・良い人だったんですね」

ランズロットさんの目が怪しく光る

「ああ・・・とても良い男だった・・・これだけプレイしても一向に見つからない・・・一体どこにいるんだ」

きっと本気で恩返しをしたいのだろう
その緑髪の人は初心者から何か貰うのが嫌だったに違いない・・・!
そして今のランズロットならそれが可能なのだろう
なんとかして協力してあげたいな・・・

『・・・話の雲行きが怪しいのう・・・情報を集めるならクランがおススメじゃよ』
「クラン・・・?」

ふと頭によぎった言葉が口に出る
ランズロットさんが口に手を当てて呟く

「クラン!その手があったか・・・最近初心者狩りが流行ってるみたいだし・・・それを抑制するクランという形式をとれば・・・!」

何やら一人でぶつぶつ呟いているランズロットの後ろをついて歩いているうちにグラフ街に到着した

「あ・・・ランズロットさん!街まで護衛ありがとうございました!僕のほうでも緑髪の男の人探しておきます!」
「こちらこそありがとう!君のおかげで何か道が開けた気がするよ!」

二人握手をしてフレンド交換を行う

「こうしちゃいられない!はやく手続きを済まさねば!」

走り去っていく新たなフレンドの姿が見えなくなるまでお辞儀をする

「さて・・・初めて来た街だが・・・この違和感に間違いがなければ・・・」

街の裏路地に入る

「この先に武器屋とかがあったな・・・」

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