新世界と転生の賢者

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青葉太郎と転生の賢者

青葉太郎は困っていた

「ない・・・ないぞ!?」

屋上で自分のカバンの中身を全部床にぶちまけて今日の宿題の算数のプリントを探す
今日の宿題は学校の不良共に見せないといけない
朝から変なやつに会って散々だっていうのに!
昨日の夜からプリントがカバンから出る可能性を全部考える

「サトミ姉は・・・あれで真面目だからプリントには手をつけないし・・・ひろかずはまだ僕のカバンに届かないし・・・」

家でプリントが外に出る事は無い・・・朝・・・
その時太郎に電流走る

「あの時か・・・!」

今日の登校途中、変なやつに出会ったときにカバンを落とした
今から戻って探しに行くのは・・・無理だろう、無遅刻無欠席の記録を潰す事になる
かと言ってプリントが無ければ不良共に絡まれる事になる
太郎は体育座りになって涙を流す

「最悪だ・・・今まで宿題も忘れた事もなく完璧に過ごしてたのに・・・」
「なーにを泣いておる!男の子じゃろ!」

唐突な掛け声と共に背中に衝撃が走る

「っつ!痛い!」

涙目のまま声をかけられた方を睨みつけて固まる

「なんじゃ?私の顔になにかついておるか?」

金と白を混ぜたような髪の色の少女が自分の顔を触りながらこちらを訝しげに見ている
朝会った変なやつだ
嗚咽を抑えながらも少女に問う

「な・・・なんでここにいるんだよ?その服!この学校の生徒じゃないだろ?まさか不良か!?」

不良という言葉を自分で出して足が震える

「ただお主に届け物をしにきただけじゃよ青葉?しかし学校・・・なるほどのう・・・」

なるほどなるほどと言いながら周りを見る少女

「届け物?なんで僕の名前を・・・まさか!」

少女がクシャクシャにして右手に持っている物に気づき取り上げる
途中少女がぬわっ!?とか言っていたが気にしない

「やっぱり!僕の算数のプリントだ!」

唐突にプリントを取り上げられた少女は頬を膨らませながら文句を言う

「届けに来たというのに感謝の言葉もでんとは・・・若いのはこれだから・・・」

僕からしたら君のほうが若いけどと言いかけて口を紡ぐ
まずは他に言うことがある
背筋を伸ばし頭を下げる

「プリント・・・届けてくれてありがとうございました」

すると少女は目を丸くした後不敵な笑みを浮かべる

「なんじゃ、ちゃんと言えるではないか」

僕だって真面目に生きてきてるんだ、礼くらい言える

「それにしても・・・魔法はダサいじゃのなんだの言ってた割には魔法の勉強もしとるんじゃな?」

少女が意味不明な事を言ってきて今度はこっちが目を丸くする
どういうことだろう?少女の視線の先には算数のプリント

「それじゃそれ!それこそ物的な証拠じゃよ!魔法陣の練習じゃろ?」

算数の図形のプリントを指さす少女に吹き出す
いくら厨二病真っ盛りでもキャラ作り過ぎだろう

「なんじゃ?何がおかしい?」

首を傾ける少女、話に乗っかるのは簡単だが僕は厨二病には疎いし今は適当にあしらうとしよう

「悪いけどもうすぐ授業だから!プリント届けてくれてありがとう!」

手を振りながら何度もお礼を言いその場を後にするのであった

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