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新世界と転生の賢者

ツリー

死霊と転生の賢者

走り去る少年の背中を見守りながら呟く

「ふむ・・・なにやら吹っ切れたようじゃな」

彼の周りに潜んでいた死霊を軽く睨み消滅させる

「こんな平和な世界にも湧いて出るものかのぅ」

死霊とは人間を死に追いやる存在
人の心の負の感情を増幅させ、周りに拡散
周囲に負の感情を撒き散らす害虫の一種だ
負の感情が強くなれば強くなるほど強力かつ強大になり
前の世界では国一つ滅ぼす程の力を持っていた

青葉太郎に纏わりついていた死霊はまだ弱かったが
放っておけば成長期の人間など簡単に死に追いやる事が出来ただろう

「あのような若者が死霊が潜むとは、何か他に原因があるのかもしれんのぅ」

顎の髭をなぞるように撫でて今は少女の体である事を思い出す
ここに来るまでにこの学校とやらで女性が着用している服を模写、複製する

「こんなものかのぅ」

目の前にあった鏡で自分の姿を確認する
髪の色や目の色さえ黒ければこの学校の生徒と言える姿だが、本人は気づいていない

「これも何かの縁じゃ」

青葉太郎を追いかけ走る
階段を降りて屋根伝いの別の建物に

「おったおった」

青葉が見える所まで来ると隠れて様子を伺う
そこには三人の大柄な少年に囲まれ
震えながら三人に殴られている青葉がいた
先程消したはずの死霊が三人から放たれて青葉に集まっていくのが見える

「やれやれどこの世界にもこういった輩も湧くものじゃな」

溜息をつきながら四人に声を掛ける

「なーにをしとるんじゃ?」

四人は驚きの表情でこちらを見たが私一人とわかると大柄な三人は下卑な笑顔を浮かべる

「なんでこんな所まで!」

対照的に焦った様子でこちらに詰め寄る青葉

「なんだー?太郎の友達かー?」
「太郎の友達は俺達の友達ーだよなー?」
「オマエ、ヨコセ、カネ」

近づいて来る三人の間に青葉が私を守るように立つ

「ちゃちゃちゃんと宿題は見せたんだ!これ以上付き合ってられない!それに俺以外の人間を巻き込むな!」

更に口を歪ませて青葉を見る三人からは大量の死霊が湧き出ている

「こいつらくさいのう」

あまりの死霊の量につい口が滑る

「良い度胸だ!」
「ヒーヒーヒー、コロス!」

三人を無視して青葉に話しかける

「のう少年、私も暇ではないでのう」

青葉は頭にハテナを浮かべてこちらを見る

「あやつらの相手は任せた」
「え!ちょ!?」

そう言って青葉の背中を押して殴りかかってきていた男の懐に放り込む

「相手を恐れて後ろに下がるのはかえって危険じゃぞー」
「あれ!?なんでこうなったんだ!?」

尚も疑問を口にする青葉は無視して身体能力向上の魔法をかける

「最初から巻き込むつもりは無かったけど!なんで更に状況が悪化したんだ!?」
「そう言っとる割にちゃんと避けれておるではないか、がんばるのじゃー」

大柄な三人の懐に入っては同士討ちを狙うように隙間を縫って移動する青葉が拳をカタコトの男に向ける
届いていない・・・

風の魔弾を作って軽く男の脳を揺らしておく
男が倒れたのを見て青葉含めた三人が驚愕の表情を浮かべる

「あれ?俺が、倒した?」
「やれば出来るではないか!あと二人じゃぞ!」

正確には倒せてないが調子に乗らせておく
一人倒したという心のゆとりから青葉が見様見真似の格闘スタイルをとると男の一人に殴りかかりそのまま乱闘になった



「見事じゃぞ」

三人を倒し床に寝そべった青葉に手を差し伸べる

「おれ一人で三人を倒した?もしかして強い?」

放心状態で呟く青葉の手を取り私の背後に隠す

「わっ!な!なんだよ!急・・・に・・・」

倒れた三人の不良が人形のように立ち上がるのを見て絶句する青葉
そんな青葉の背中を押して後方に避難させる

「よくやったぞ少年、あとは私の仕事じゃ」

三人から死霊が放出して一つの形が浮かび上がる
黒い霧を纏った成人男性並みの大きさのカマキリになる

「ほう、この大きさの死魔霧しまきりは珍しい、これは近くに親玉がおるのう」

死魔霧は自殺などのエネルギーを助長させる
前の世界では自殺しようと考える者等皆無だった為この大きさは珍しく思えたのだ

死魔霧の首を狙った目にも留まらぬ一閃を懐に入り避ける
喧嘩も魔物退治も基本は同じだ

「なにはともあれ、今はこいつを始末せねばな」

ガラ空きの腹を蹴り上げて後方に吹き飛ばす

「人の負の感情で生きる害虫よ、我が一撃にて灰塵となれ!」

両手に炎の渦を纏わせる

「りょ・・・両手に火が!?ほんとに魔法!?」
「フレイムトルネード!」

瞬間死魔霧を中心に炎の渦が立ち上りシマキリは跡形もなく消え去った

「かっカッコイイ」
 
放心状態の青葉を残し、上空に飛翔する

「親玉はあっちじゃの」

転生の賢者は次の目標に向かっていくのであった


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