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新世界と転生の賢者

ツリー

成虫と転生の賢者

男から溢れ出た黒い霧が周りの霧を吸収しながら上空に飛翔していく

「少しましになってこれか・・・骨が折れそうじゃな」

呆然とする男の前に黒い霧の集合体から一つの塊が落ちてくる
落ちてきた塊に不思議そうに手を伸ばす男の胸元が唐突に白く光り風で後方に吹き飛ぶ

「フィー!そ奴を守ってやっておれ!」

カマキリの形を形成した一際大きな死魔霧に接近して手の中に込めていた魔力を解放する

「マジックブラスト!」

死魔霧は内側から破裂して大量の粘液をぶちまけながらその場で霧になる
その光景を見ていた男が呆然と呟く

「や・・・やったのか・・・?」
「そんなわけなかろう・・・」

そう言って上空を見上げるとこの建物を覆いつくさんばかりのカマキリの巣のような物が出来ている
巣からは目算でも30は超える異形の者がボタボタと粘液と共に落ちてきている
それを見た男は顔を蒼くして小さく悲鳴を上げている
カマキリの巣から落ちてくる粘液に触れた地面はまるで猛毒をかけられたかの如く溶けていく
おまけにさっきの死魔霧と同等、変異体が大量に湧き出てくる始末だからきりが無い

「あの巣を燃やし尽くすには演唱が必要じゃが・・・」

真上より羽切音が聞こえ手に風を纏う
羽が特化した個体の空中からの攻撃をギリギリで避けて風の刃を形成、真っ二つに切り裂く
同じように地中にいた個体に風の刃を当てるがびくともしない
近づき蹴りを銜えるとガインという鈍い音がなるだけだ

「硬いのう・・・」

カウンター気味の遅い攻撃を楽々避けて魔力の糸で動きを封じる
倒せはしないが時間稼ぎにはなるだろう
更にボトッという音と共に死魔霧が5体落ちてくる

「演唱する時間は無さそうじゃのう」

5体から繰り出される10本の凶刃を避けながら更に死魔霧が落ちてくるのを確認する
万事休す・・・かのう

「はああああ!!」

フィーを預けた男が白い光を放ちながら5体のうち3体を肩で吹き飛ばす

「だ・・・大丈夫か?」

汗を流しながら私の前に出て来た男を見る

「やるではないか?」

これなら形勢逆転も狙えそうだ
男に能力向上魔法をかける

「お主よ!しばし私を守ってくれ!あの巣を焼き払う!」
「君は俺の希望だ・・・傷一つつけさせない・・・フィー!力を貸してくれ!」

今まで少女の姿故少女並みの力をベースに魔力で強化していたが
成人男性の力をベースに魔力で強化すれば少女の力の比ではない
男が硬い死魔霧を殴ると死魔霧の体がへこみ苦しそうに倒れていく
そんな様子を確認して演唱に入る

「万物に宿りし炎の御霊よ我が呼び声に応じ現世に神の炎を結び賜え・・・」

演唱に入った私に向かって空中から飛来してきた死魔霧を男が白い光源で撃墜する
フィーの手助けがあるとはいえ初めて使う魔法をああも容易く使うとは
才能があるやもしれぬ
倒せはしないが確実に戦線を押し上げる男を見て感心する
魔法の準備が出来たのでフィーに念話を送る

「!わかった!」

男が軽く跳躍して私の後ろまで飛びのく
さっきはよくもやってくれたな?害虫如きが!

「火ノ加具土命!」

ビルの屋上に天と地を結ぶ火の柱が立ち上がり死魔霧の巣を燃やし尽くす
まだ巣の中にいた死魔霧はキーキー甲高い声をあげ
すでに地上に生まれ出た死魔霧は火の柱から逃げるように街に移動しようとする

「逃がすわけなかろう?貴様等害虫を一匹でも残せば後が困る」

火ノ加具土命ともう一つ演唱していた魔法を放つ

「捕えろ!捕縛の炎!」

炎の鎖が火の柱から現れ逃げようとする死魔霧を柱の中に引っ張り炎上させる
全ての死魔霧が消滅したのを確認して炎を消して呟く

「次生まれてくる時は仲間である事を願うぞ」

事が終わったと判断した男が駆け寄って来る

「君!大丈夫・・・そうだね・・・それよりこんな騒ぎになったんだ!どう説明したら・・・」
「なんじゃ・・・それなら結界を張っておるから誰も気づいとらんよ」
「ハハハ・・・ご都合主義結界ってやつですね・・・」

遠い目をしている男が何を言っているかはわからないがニヤリと笑みを浮かべて教える

「それより・・・先ほどから下の階の者が主を探しているようじゃが・・・大丈夫かのう?」

男は顔を先ほどとはまた違う蒼色に染めて急いで服装を整えて建物の中に走っていく

「そうだ!今度また君に会いに行く!妻を生き返らせる方法について・・・魔法について色々教えてくれ!」

男の晴れやかな笑顔に手を振りながら自然と笑みが浮かぶ

「迷いは晴れたようじゃな」

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