俺の幼馴染2人がメンヘラとヤンデレすぎる件

のりしお

遠足にて……

 
  眩しい日差しの中で朝から電柱にとまっている小鳥たちはさえずり暑さは一層増していった。

  今日は絶好の天気で何よりユンに会うのが楽しみで仕方がない、それに今日は遠足の日だ。

  パンにがっつく俺の姿を見て妹は唖然としていた。

  「どしたの?お兄ちゃん?元気だね?」

  「うん?そうか?」

  俺が軽くそう返すと妹は手に持っていたパンを皿に置くとこちらに近づき顔を覗き込ませると

  「それよりお兄ちゃん、お土産の件よろしくね」

  妹は俺に寄りかかりながらそう言った。

  くっ……なんてあざとい目だ……きっと全国の男子は妹のお願いを断る事が出来ないのではないのだろうか。

  「お兄ちゃんに任せなさい!」

  そして俺は妹から一枚の紙を受け取るとポケットにしまっておいた。

   しかしこの元気はすぐに消え失せた。

  「美代が雪くんの隣に座るんだもん!ほら、雪くん、昨日オススメしてくれた本読んだよ、一緒に話そうよ〜」

  美代は先に座って手招きをしてくる。

  そういえばバスの座席、決めてなかったな〜。

   学校に着いて早々厄介ごととは。

  「あの……私はどうすれば?」

  ユンは俺の隣で困った顔をしながらあたふたとしていた。

  私服姿はとても可愛く気温が高いせいか、どれも裾が短く肩とか凄く綺麗だった。

  ……抱きしめてあげたい!

  「雪くん……またそうやって金髪にデレデレしているの?最低ね……」

  「ち、違うんだ!……そうだ!じゃんけんで決めよう、あのグーとパーで別れるやつ」

  こうして俺たちの座席は決まった。

  俺は志保の隣になった……ついてないな〜。

  「なに?不満でもあるの?」

  ギクッ!

  「あるわけないだろ〜いや〜志保の隣は楽しいな〜この後もきっと良いことだらけだろうな〜」

  「そう……」

  志保はそう言って目線をそらした。

  きっと頬を赤らめていたのは俺の気のせいだろう。

  「そ、そういえばお菓子を持って来たのだけれど……よかったら雪くんも食べる?」

  そう言って志保はカバンからポッキーを取り出した、なぜポッキーなのかは分からないが……貰っておこう。

  「ありが……」

  「美代も食べるね〜」

  前の席から体を乗り上げ美代は志保のポッキーを一本取り出すと唇にポッキーを咥えたまま自分の席に戻っていった。

  「ちょっと!これは雪くんのために買って来たの!よくあるシュチュエーションで端から食べるやつ!」

  お前そのために買って来たのかよ……。

  「へ〜、もぐもぐ……そうなんだ〜」

  「はっ!」

  すると志保は我に返りポッキーを俺に押し付けて来た。

  「べ、別に全然違うのだけれど……いいから早く食べなさい!」

  「は、はい!」

  俺も美代と同様に一本取り出して食べると無言で笑顔を見せた。

  「ふん!」

  そう言って志保は頬を赤らめるとそっぽを向いた。

  「皆さん仲が本当に、よろしいんですね〜羨ましいです」

  いやいや!だから違いますって!そこの男子も睨みつけてくるなよ!

  「美代もお菓子持って来たけど……食べる?」

  そう言って美代は袋の中に入っている大量のお菓子を見せて来た。

  「すごい量だな……」

  「でも……雪くんのはこっち」

  美代は新たにカバンの中から大きめの箱を取り出すと俺に渡して来た。

  「はい!」

  「お、おう、ありがとう」

  てか、これなんで、ラッピングされてるの?俺だけ別ってところが怖い……。

  美代の笑顔を見るに何か仕掛けがある気もするが今は何か志保とへんな空気だから気にしないでおこう。

  俺は恐る恐る紐をほどくと中にはハート型のチョコレートが入っていた。

  「美代の気持ちだよ……受け取って欲しい……な?」

  おい、首をかしげるのやめろ、それ俺が弱いの知ってるだろ……てかハート型のチョコレートってバレンタインかよ……。
   
  するとユンは美代のチョコをまじまじと見つめると驚いた表情をした。

  「まぁ……これをお一人で作ったのですか?」

  「雪くんには、美代の愛が伝わるように隠し味も入れておいたから……食べて見て」

  え!怖い!怖い!なんか興奮するクスリとかじゃないよね!?

  3人とも俺のことをジッと見ていた……これは逃れられない……。

  俺は思い切ってかぶりついた。

  ……うん、味は悪くない、味は。

  俺は食べ終わると美代はすごい喜んでいたが俺が質問をすると、もじもじし始めた。

  「で?隠し味ってなんだったの?」

  「そ、それは……美代のだ・え・き♡」

  は?嘘だろ……。

  「は?ちょっと!」

  「まぁ!」

  全部食べちゃったよ!……うおぉ!!!!

  俺はどうして良いか分からずとりあえず志保の方を見ると美代に突っかかろうとしていた。

  「あなたね!……ついにやってはいけない事をしてしまったみたいね」

  手にはさっき用意してたポッキーの箱がぐちゃぐちゃに握りつぶされていた。

  うわぁ〜俺もああなるのかなぁ〜。

  「う〜ん、美代はやっちゃいけない事なんてしてない気がする〜それより味はどうだった雪くん?美味しかった?美代の味がした?」

  「きっと愛情たっぷりの美味しいチョコだったですよね?」

   なんでユンは余裕なの!?口に手を当てながら笑ってないで助けてよ!

  「雪くん、答えなくて良いのよこいつに冥土の土産なんて必要ないわ」

   志保は怒りで謎のオーラを纏っているのが見えた、下に落ちているボロボロのポッキーの箱を見て俺は身震いした。

  これは……終わりましたわぁ〜。

  それと同時にやっと高速道路に入った。

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