時の異能者

茶影さん

13話

【7時00分】置き去りにされた公園で俺は一人悩んでいた。正直潰そうとは思うが...いや決定事項だがそれがどのタイミングで行うべきものなんだ?というか俺はこれからどうしようか......ということで頭がいっぱいになっていた。家に帰ってもどこかで見られているならどうしようもないし...それでも明日は亜美の家に行くことになってるし...どうしたものか

「はぁ」とついしたくもないのにため息が出てしまう、この数日いろいろな事がありすぎた。まず、異能に目覚めた。親友を公園と共に止めてしまった、警察に連れて行かれ、急に犯罪組織【クライマー】が襲ってきて警察に弄ばれたし...心臓に悪い、それにしてもなんで気絶した振りなんかしていたんだ?意味が分からない。それで一日がやっと終わって...いや優のことがあったな、あいつは何をしたいんだ?...考えても分からないか..........そして今日...公園に行ったらつかまり、拉致され解放され、脅迫付きで...俺は...どうしたらいいんだ.......


「あーーーー!んなんわかるはずねーだろ!くそったれ!」

頭をガシガシとかきむしりそんなことをつい叫んでしまっていた。しかししょうがないと思う。いくら考えたって答えなんて出ないし。とりあえず決めたことと言えば最終目標だけか...もういいや、とりあえず帰って飯食って風呂入って寝よう。明日は亜美の家だもんな...うん大丈夫...きっと、そう思うことにして俺は帰ろう

俺が公園から出て帰ろうとしたところで、見たことがない人がこちらを見ていたのを気がついた、その人は暗くてよく分からなかったが灰色のスーツと灰色の帽子をかぶっていた。ような気がする。その人は俺が見ていると気付くと少しずつ近づいてきた。正直、下手なホラー映画より怖い。俺は嫌な予感がして逃げようとしたが...

「...君が新しい異能者...で合っているよね?」

といきなり目の前に現れていきなり質問してきた。意味が分からない、それに...

「おっとこちらだけ知っているのは公平ではないね、では自己紹介を「けっこうです。警察呼びますよ?」...ふむ、なるほど警戒心が強いのかな?いいことだ「いや、だから」では改めて名乗らせてもらおうか「べつに」おや、そこは聞いておいた方がいいよ。「俺には関係な」いはずがないんだよね。「は?」だってわたくし【クライマー】ですから。「!!!!」そんなに驚かないでください。あなたは私を一度見ていますよ?」

どういうことだ?俺がクライマーに会った?確かに今日とか会ったけど一体いつだ!そしてこいつの事など知りたくない。早くこの場から逃げたい。そうだ!異能を使えば...

「...あ、そうそう異能を使って逃げようだなんて思わないことです。それは私たち【クライマー】に対する抵抗行為とみなしますよ?」

......先手を取られた。これで俺は手出しが完全に出来なくなってしまった...

「そんな怒った様な顔しないでくれるかな?正直、私がするような仕事ではないのだけれどもね、最近は周りの幹部がうるさいからね...」

この男どれだけ不満がたまっているのだろうか、愚痴が止まらない。もう帰ってもばれないんじゃね?いや、でもここで逃げたら亜美が危険にさらされてしまう。それだけはやはり止めておいた方がいいと思ったからここにとどまっているのに、長すぎないか?さすがに...

「...申し訳なかったね。いろんな悪いところが出てきてしまった。まぁでもこれで公平な話し合いになるかな?まず君に出会ったのは警察の襲撃した時かな?おそらくそれが最も始めかな覚えている限りは。こんなことはとりあえず置いておこう、とりあえず自己紹介をさせてもらおうか、私の名は三島みしま 公平こうへいだよろしく頼むよ。『冬馬とうま 海音かいと君?』」

名前は出されるだろうと予想していたが本当に聞くことになるとは...一瞬とはいえ身体が動かなくなった。そしてこの男があの時の奴か!フッと何かが俺の中に生まれた、おそらく奴もそのことに気付いていると思うけれども話を続けた

「とりあえず、私から言えるのは一つだけさ、‘あまり普通の人間と関わらない方がいい’それだけさ。また会うかもしれないけどそのときはよろしく頼むよ」

そういって俺の方をポンと叩き俺の進行方向とは逆方向に歩いて行った...不思議と足音は聞こえなかった。不意に後ろを振り向くがやはりというか何というかそこにいなかった。俺は背筋が「ブルっ」っと震えた。どうしようもないほどの恐怖を感じたからだ、クライマーという存在そのものに、そして挑もうとしている事の無謀さに......

しかし、それでもやらねばならぬ、俺と俺の大切なものを守るためにどんな手を使ってでも!しかしどうしたものかと考えながら家に帰る俺であった。明日の予定もあることは忘れてはいないけどな

そして、夜、家の人が寝静まった時、また奴は現れた。奴と言ってもクロニスのほうだがな。そして奴はいきなり俺の前に現れていきなり言いやがった

「やぁ、君に言わなくてはいけないことがあったのに忘れててさ、でも大体の異能者にはいってないし別に言わなくてもいいんだけれどまぁ、君には言っておこうと思ってね」

「...いきなり出てきてなんなんだよ。」

「実は君を含めたすべての異能者に言えることなんだけれども...使いすぎるとね.......死ぬんだよね、身体が耐えられなくてね、それはもちろん暴走状態になっている時でも過言ではない、少しづつ命は削られている、例外はない、そして一回使うごとに少しづつ寿命は短くなる。100年生きる奴が暴走の影響だけで82歳まで縮む。そして異能にもよるが例外なく異能を使えば一回につき少しずつ寿命は減る。」

「はぁ?どういうことだ!」

大声で怒鳴りそうになったが近所迷惑になると困るので一応は声を抑えたが俺の内心はどうしようもないほど焦りに駆られていた。ただでさえ悩んでいるのにもかかわらず、いきなりこういうことを言われるとどうしようもないほどの言葉にできない何かが湧きあがってくる。この感情はなんだ...

「...いや、分かってるよ?その感情、言葉にできないのもわかる。でもこの話は本当だ。十年前にもこの話をしたことがあるんだ、そのときも同じようなことを言われた気がするんだよね。気にしてないけどね、それでそのことについてなんだけれどもね。簡単なことだよ人が人ならざる力をデメリットなしで使えると思っていたのか?」

そんなことしらねぇよ!じゃあなんでそんなのが発現しているんだよ!ふざけるな!じゃあ異能発現した人はどうしようもないってか!

「じゃあ受け入れろと?そんなことを?そんな無情な事を?」

「そういうことだよ。お前は特に異常な異能を持っているんだ、正直な話、お前の寿命はかなり短くなっている。俺はそういう特殊な奴にしか会わない。だからこの事を知っているのはお前ともう一人しかいなんだけれどもな、そいつはたしか【不老】の異能者だったかな、もう一生現れないだろう、唯一の死なないかもしれない異能だ。自然ではしなない死ぬには自殺か他殺のどちらか...ん?待てよ?確かもい一人いたな。俺が言うのもなんなんだがあいつは死ぬことは無いだろう、【不変】とかいうバカみたいにチートの異能持ちがいたかな...」

おい!なんだその目は!遠くを見てるんじゃねえ!俺についてなにか言うことはないのかよ!ないならさっさと帰れよ!無駄な情報...ではないけれども!

「...なにかを言いたいってわけではないけれども。使いすぎには気をつけろ。あとお前に限った話でいえば効果範囲を広くすればするほどお前の寿命はすぐに減る。覚えておけよ?お前に今死なれると困るんだ」

「どういうことだ?なんで俺が死んでは困るんだ?」

「そんなこと教えるはず無いだろ、一応そういうことだ、気をつけろよ」

「あ、おい!」

マジで意味のわからない事を言って行きやがって!死ぬなってか?ふざけやがってよ!じゃあどうすればいいんだよ!俺にどうしろと?夜も更けてきたしさっさと寝ないと...一応携帯見て時間くらい確認ぐらいしておこうかな.........【0時03分】マジかよ、もうこんな時間かよ、早く寝とこ。

そして、夢の中で

「...またここにきて夢でも会うのかよ」

「俺だってこんなに頻繁に会うことになるとは思ってなかったっての!」

そうだよね、そうですよね知ってる。俺だって嫌だし!嫌なのはお前だけじゃないっての!好きでこんな空間に来るはずないだろ!

「でもまぁ、上からの命令じゃ仕方ないからな」

「上からの命令だと?どういうことだ?なんとなくは分かるけれどもな、あんたも苦労してんだな...同情するぜ」

「......上司と言ってもクロニスじゃないぞ?」

「...そうか、俺の早とちりだったようだな。すまない.......」

俺が早とちりしたことを感じ取ったのかすこしため息をつきながらそう言った。逆にあいつが上司と思ってしまうのは仕方のない事なのではないか?まぁいいけど

「そして今回おまえに聞かせるのはある話だ...とある1人の異能者の話だ...

その男はお前と似たような異能を持っていた。そいつは時を操作する異能だった。再生、逆再生、倍速......そんな感じの異能だった。たしか、クロニスも話していた気がするが......覚えていないのだろうな...」

......覚えていない?...その言い方からして記憶を弄られたか...

「...あいつは禁忌を犯した。その影響でクロニスの記憶からそいつについての事を忘れたのだ。
...話がずれたな、奴は当時一人だけの時の異能者だった、そして...研究材料として捕らえられた異能者の中で唯一脱出を単独でこなした、その異能を使って......多大なるやり直しの果てにな...」

「......なにが言いたい」

「わかってるんだろ?昔、そのような逆境に立たされても夢を遂げたやつがいるって事だよ......俺はお前に対して何かをしてやることはできないがお前が何かしらの行動を起こすことはできる。しかし、それなりのリスクが当然のことだが付きまとう。それを忘れるなよ?」

「...当然だ、俺が死んだら元も子もねぇからな」

「それならいいけどな...ま、周りには気をつけるこったな」

「...あぁ、気をつける」

「んじゃそろそろ起きる時間かね、それじゃまたな」

そして俺はここでの意識を失った

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