Waving Life ~波瀾万丈の日常~
67話 もう1つの課題
もう1つの課題
1
昨日、蘭華と付き合い始めた。
遊び倒して、家に帰ったあとの俺は正直気持ち悪いと思う……。
嬉しさが、顔に出てしまって思わず表情が緩んでいた。
ずっとニヤニヤしていたと思う……。
そして、今日。
朝になってもその気持ち悪い表情は変わらず、学校へ行く時に、妹にこう言われてしまった……。
「なに、そんなにニヤニヤしてるの?気持ち悪い……」
相当痛かったけど、今は嬉しさの方が何倍も上だ。
舞い上がる気持ちに包まれたまま、約1ヶ月ぶりの集合場所へと向かう。
「おはよ!」
声の主は、俺の彼女。
一気に距離が縮まった気がする。
別に大した変化はないはずだけど、付き合っただけで別世界にいるみたいな感じまでする。
「お、おはよ」
俺たちは並んで歩き出す。
こうして学校に登校するのは久しぶり。
懐かしい気持ちが胸にあった。
「本当、久しぶりだね……」
「あぁ」
「1人での登校、本当に辛かったなぁ……」
蘭華は空を見上げてそう嘆く。
その頃、つまり昨日までの寂しい登校の様子を思い出しているのだろう。
「でも、辛かった分だけ今がより幸せに感じるよ」
蘭華は弾けた笑顔でそう言う。
「俺も同感だよ。辛かったし、寂しかったし……。今こうして一緒に居られるのなら、今までの苦痛も意味があったのかなぁって思う」
多分、俺たちの距離は間違いなく近づいている。
その証拠に歩いている時のお互いの距離は短くなっていた。
別に、意識したわけじゃなかった。
自然と近づきたいと体が反応していたのだ。
「ところでさ、せっかく付き合い始めたんだし何か変わったことしない?」
そう言われてみると、付き合ったからと言って何か変わったわけではない。
元々、登下校は一緒だったしなぁ……。
「何か、案があるのか?」
俺がそう聞くと右手に柔らかいものの感触があった。
俺は視線を自分の右手へと向けた。
彼女は、俺の右手を掴んでいた。
「手、繋がない?」
そう言った彼女の頬は真っ赤に染まっている。
恥ずかしいのだろう。
「良いよ」
俺は、彼女と手を繋いだ。
そう言えば、キスはしているのにこっちはしてなかったな……。笑。
手を繋ぐと、次は蘭華は俺の右肩に頭を乗せてきた。
「やっと恋人らしくなったね!」
彼女の声は今の青空のように明るい。
「そうだな」
俺たちは、学校の手前にそびえる大きな坂に差し掛かった。
すると後ろから声がかかった。
「おはよう!」
こんな時に空気も読まずに話しかけてくるのは半弥に違いないと思っていたが、振り返って見るとそこに居たのは意外な人物。
「西島!」
2
暖かい格好をした西島がそこにはいた。
「2人、付き合い始めたんだよね?おめでとう」
「って、なんで知ってんだよ?」
「今までやってなかったことをやってるでしょ?それにこんな目立つ所で」
ここは学校近く。
他の生徒だって当然いる。
「そういうことか……。で、なんか用?」
「用がなければ、挨拶したら駄目だった?」
その言い回しはよく聞くけど、大体用がある人が言う台詞だよな……。笑。
「用あるんだろ?滅多に挨拶してこないだろ?」
彼は普段、俺に挨拶はして来ない。
挨拶をするとしたら、その時は必ず用件があるのだ。
俺たちは校門をくぐった。
「その通りだよ。実は、白川さんに皆田さんの件聞いてね」
白川さんと西島はそれなりに仲がいい。
だから、同じように絵里のことは気にかけていた西島に話したのだろう。
「この問題、僕に任せてくれないか?」
「任せるって……」
「策があるんだ。きっと元の彼女に戻ってくれるはずだよ。それに、君にはいろいろ悪いことしたと思ってるから……」
彼の表情を見る限り、どうやら本当に策があるらしい。
ここは優等生の彼に任せても大丈夫なのかもしれない。
たくさんの生徒が玄関へと入っていく。
俺達も揃って入った。
「分かった。いつでも俺達は協力するから、何かあったら連絡くれ」
「うん。じゃあ僕は先に行くよ!予習しないと行けないからね」
流石、優等生。
彼は一足先に教室へと向かっていった。
「策って何だろうね」
「さぁな。でも、かけてみる価値は十分にあると思う」
「彼は、本当に頼りになる人だね!」
「あ、そう言えば、テストどうだった?」
今は10月下旬。
中間テストは1週間前に終わり、確か2日前に個票を渡された。
「私……。西島君に負けた……。だから、次は絶対に負けない!」
「俺も勉強しないといけないな」
「だったら、勉強会しようよ!」
勉強会……。
夏休みのあの時に股間を蹴られた記憶しかない……。
あれは、何度も言うが本当に痛かった。
「そうだな」
「やった!決まりね!」
「また俺の家か?」
「もちろん!」
「了解!」
こうして今度勉強会をするという約束を取り付けた。
3
放課後になった。
ほとんどの生徒は帰って、蔭山君や岸川さんも帰っていった。
この教室にいるのは俺と皆田さん。
「何?話って」
俺は、彼女に『話があるから』と予め、伝えておいた。
俺には策があった。
「君が演じているのは、一昔前の自分じゃなくて今の自分じゃないのか?」
1
昨日、蘭華と付き合い始めた。
遊び倒して、家に帰ったあとの俺は正直気持ち悪いと思う……。
嬉しさが、顔に出てしまって思わず表情が緩んでいた。
ずっとニヤニヤしていたと思う……。
そして、今日。
朝になってもその気持ち悪い表情は変わらず、学校へ行く時に、妹にこう言われてしまった……。
「なに、そんなにニヤニヤしてるの?気持ち悪い……」
相当痛かったけど、今は嬉しさの方が何倍も上だ。
舞い上がる気持ちに包まれたまま、約1ヶ月ぶりの集合場所へと向かう。
「おはよ!」
声の主は、俺の彼女。
一気に距離が縮まった気がする。
別に大した変化はないはずだけど、付き合っただけで別世界にいるみたいな感じまでする。
「お、おはよ」
俺たちは並んで歩き出す。
こうして学校に登校するのは久しぶり。
懐かしい気持ちが胸にあった。
「本当、久しぶりだね……」
「あぁ」
「1人での登校、本当に辛かったなぁ……」
蘭華は空を見上げてそう嘆く。
その頃、つまり昨日までの寂しい登校の様子を思い出しているのだろう。
「でも、辛かった分だけ今がより幸せに感じるよ」
蘭華は弾けた笑顔でそう言う。
「俺も同感だよ。辛かったし、寂しかったし……。今こうして一緒に居られるのなら、今までの苦痛も意味があったのかなぁって思う」
多分、俺たちの距離は間違いなく近づいている。
その証拠に歩いている時のお互いの距離は短くなっていた。
別に、意識したわけじゃなかった。
自然と近づきたいと体が反応していたのだ。
「ところでさ、せっかく付き合い始めたんだし何か変わったことしない?」
そう言われてみると、付き合ったからと言って何か変わったわけではない。
元々、登下校は一緒だったしなぁ……。
「何か、案があるのか?」
俺がそう聞くと右手に柔らかいものの感触があった。
俺は視線を自分の右手へと向けた。
彼女は、俺の右手を掴んでいた。
「手、繋がない?」
そう言った彼女の頬は真っ赤に染まっている。
恥ずかしいのだろう。
「良いよ」
俺は、彼女と手を繋いだ。
そう言えば、キスはしているのにこっちはしてなかったな……。笑。
手を繋ぐと、次は蘭華は俺の右肩に頭を乗せてきた。
「やっと恋人らしくなったね!」
彼女の声は今の青空のように明るい。
「そうだな」
俺たちは、学校の手前にそびえる大きな坂に差し掛かった。
すると後ろから声がかかった。
「おはよう!」
こんな時に空気も読まずに話しかけてくるのは半弥に違いないと思っていたが、振り返って見るとそこに居たのは意外な人物。
「西島!」
2
暖かい格好をした西島がそこにはいた。
「2人、付き合い始めたんだよね?おめでとう」
「って、なんで知ってんだよ?」
「今までやってなかったことをやってるでしょ?それにこんな目立つ所で」
ここは学校近く。
他の生徒だって当然いる。
「そういうことか……。で、なんか用?」
「用がなければ、挨拶したら駄目だった?」
その言い回しはよく聞くけど、大体用がある人が言う台詞だよな……。笑。
「用あるんだろ?滅多に挨拶してこないだろ?」
彼は普段、俺に挨拶はして来ない。
挨拶をするとしたら、その時は必ず用件があるのだ。
俺たちは校門をくぐった。
「その通りだよ。実は、白川さんに皆田さんの件聞いてね」
白川さんと西島はそれなりに仲がいい。
だから、同じように絵里のことは気にかけていた西島に話したのだろう。
「この問題、僕に任せてくれないか?」
「任せるって……」
「策があるんだ。きっと元の彼女に戻ってくれるはずだよ。それに、君にはいろいろ悪いことしたと思ってるから……」
彼の表情を見る限り、どうやら本当に策があるらしい。
ここは優等生の彼に任せても大丈夫なのかもしれない。
たくさんの生徒が玄関へと入っていく。
俺達も揃って入った。
「分かった。いつでも俺達は協力するから、何かあったら連絡くれ」
「うん。じゃあ僕は先に行くよ!予習しないと行けないからね」
流石、優等生。
彼は一足先に教室へと向かっていった。
「策って何だろうね」
「さぁな。でも、かけてみる価値は十分にあると思う」
「彼は、本当に頼りになる人だね!」
「あ、そう言えば、テストどうだった?」
今は10月下旬。
中間テストは1週間前に終わり、確か2日前に個票を渡された。
「私……。西島君に負けた……。だから、次は絶対に負けない!」
「俺も勉強しないといけないな」
「だったら、勉強会しようよ!」
勉強会……。
夏休みのあの時に股間を蹴られた記憶しかない……。
あれは、何度も言うが本当に痛かった。
「そうだな」
「やった!決まりね!」
「また俺の家か?」
「もちろん!」
「了解!」
こうして今度勉強会をするという約束を取り付けた。
3
放課後になった。
ほとんどの生徒は帰って、蔭山君や岸川さんも帰っていった。
この教室にいるのは俺と皆田さん。
「何?話って」
俺は、彼女に『話があるから』と予め、伝えておいた。
俺には策があった。
「君が演じているのは、一昔前の自分じゃなくて今の自分じゃないのか?」
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